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“頂き女子りりちゃん”控訴審判決 名古屋高裁「一審判決は重すぎる」 女は「獄中日記」で人気…被害者はネットで誹謗中傷を受けるいびつな状況に

2024年9月30日 16:41
“頂き女子りりちゃん”控訴審判決 名古屋高裁「一審判決は重すぎる」 女は「獄中日記」で人気…被害者はネットで誹謗中傷を受けるいびつな状況に

“頂き女子りりちゃん”を名乗る女の裁判で、名古屋高裁は一審判決より軽い懲役8年6か月を言い渡しました。

事件をめぐっては女の「獄中日記」が注目される一方、金をだまし取られた被害男性が誹謗中傷を受けるいびつな状況がうまれています。

30日午前11時ごろ、名古屋高裁。

田辺裁判長:「主文、原判決を破棄する」

一審の判決が覆った渡辺真衣被告(26)。泣きながら裁判長の言葉を聞いていました。

マッチングアプリなどで知り合った男性らに恋愛感情を抱かせ、現金をだまし取った詐欺の罪などに問われています。

だましとったとされる額は1億5000万円以上。

そして今年4月、名古屋地裁は、「男性心理を手玉にとり好意につけこむ狡猾な犯行」「ホストのために犯行に及んだ動機は身勝手」などとして渡辺被告に、懲役9年・罰金800万円を言い渡しました。

弁護士は、一審の判決に不服申し立てを行い、8月7日に始まった控訴審。

30日の判決には、渡辺被告を一目見ようと170人以上が足を運びました。

傍聴に来た人:
「話題になっている。興味があったから」
「カリスマ性があるというか、どうやってだまされたのかに興味がある」

注目されている理由のひとつ。

渡辺被告が一審のときからSNSで発信している「ごくちゅう日記」。

拘置所内での出来事から、今の心情などが書かれていて、今や30万人近いフォロワーがいます。

「不謹慎だけど応援したくなる」「毎回毎回涙出ちゃう」「この子文才ありすぎるな、天才やわ」「彼女の孤独な感じは共感できるなぁ」と、被告人を応援する声が相次ぐ異常な事態。

一方で、被害者の男性は苦しみの日々が続いているといいます。

約3800万円の被害をうけた男性:
「数え切れない言葉(誹謗中傷)がありました。今思い出しても震えが止まらない」

SNSでは渡辺被告が話題を集める中、被害者に届くのは心ない暴言の数々でした。

約3800万円の被害をうけた男性:
「“50代が20代の女の子と付き合えるわけないだろ”とか、“お前が刑務所行け”とか、だまされた俺が悪かったんだとすら感じました」

8月7日に行われた被告人質問では…

検察:「3人の被害者に弁済は行いましたか」
渡辺被告:「弁償はしていません」
検察:「被害者からの手紙に返事はしましたか」
渡辺被告:「していません」
検察:「日記で被害者への気持ちを書いたことは」
渡辺被告:「ないです」

被害者への“謝罪”について検察から何度も指摘された渡辺被告。

9月に中京テレビの接見に応じた渡辺被告。被害者に謝罪をしない理由を語りました。
渡辺被告:「被害者の人たちにごめんなさいって言って心が安まるのならいいけど…謝罪の文章に何の意味もない」

しかし、獄中日記で「被害者の方へ 申し訳ございませんでした」と便箋一枚に書かれたわずか12文字の謝罪文。

被害者に直接届けられることもありませんでした。

約3800万円の被害をうけた男性:
「あんなのは謝罪じゃない。人のことをどれだけ怒らせれば気が済むのかな」

そして、30日。控訴審で言い渡された判決は―。

田辺裁判長:「主文、原判決を破棄する」

名古屋高裁は「被害者に謝罪の意思を示すなど反省しているほか、ホストが被害者に一部弁済している」などとして、一審の懲役9年の判決を破棄し、懲役8年6か月、罰金800万円の判決を言い渡しました。

言い渡されたあと、渡辺被告は過呼吸になり号泣する場面も。裁判は約1分間中断しました。

その後、裁判長は。

田辺裁判長:
「あなたが与えた損害は金銭的なものだけでない。これから(罪と)どう付き合っていくか考えてください」

渡辺被告は静かにうなずき、法廷をあとにしました。

中京テレビのニュース