都内の病床使用率「50.5%」でも… 現場の医師は「確保病床数=即対応できる病床数ではない」
新型コロナウイルスの全国の新規感染者数は27日、また過去最多を更新しました。東京都内の病床使用率は50.5%。都内のある病院でも、病床自体にはまだ空きがありましたが、現場の医師は「確保病床数=即対応できる病床数ではない」と訴えます。
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27日、東京・港区にあるコーヒーチェーンの店舗が臨時休業していました。店頭の張り紙には「従業員の新型コロナウイルスへの感染が確認されたため」と書かれていました。
また小田急バスでは、乗務員35人が新型コロナの影響で欠勤しました。このため、平日で188便が運休になりました。
バス利用者
「(運休は)朝はちょっと、きついと思いますよ」
さらに全国で154の郵便局が、感染者や濃厚接触者が発生したことで、窓口業務を休止していることもわかりました。
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27日、都内で訪問診療を行う医師が、基礎疾患のある70代のコロナ患者を訪ねました。
医師
「食欲とかどうですか?」
コロナ患者(70代)
「あまりない。すごく痛いんです、飲み込むとき」
発熱があり、酸素飽和度も低下。「中等症2」と診断されました。
医師
「早く入院できるように、保健所に連絡する」
20代の患者に点滴をした際には――
医師
「次から次に(往診に)行かないといけなくて…。あまりにも困ったら、電話ください」
実際に、依頼自体を断らざるをえないケースも増えているといいます。
ひなた在宅クリニック山王 田代和馬院長
「先週くらいから(問い合わせを)1日30~40件くらいいただいていて、病院にもつながれないという非常に大きな孤独の中で苦しんでいる人が多数いる」
もし往診できたとしても――
田代院長
「『この方は救急搬送が必要だ』と判断しても、どこも『受け入れできない』ということで不搬送になってしまうケースが起こっています。本当にもう見つからない…という厳しい状況です」
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実際にコロナ患者を受け入れている、東京・中央区にある石川島記念病院では。
医師
「のどの痛みは、いかがですか?」
患者
「のどはちょこっと(痛みは)ある」
都内の病床使用率は50.5%。この病院では軽症・中等症用のベッドは、18床中13床が埋まっています。まだベッドには空きがありますが…。
26日、90代のコロナ患者が運ばれてきました。
医師
「聞こえますか-。わかる?」
患者(90代)
「わかんない」
患者には“認知症”がみられるといいます。
患者(90代)
「寒い、寒い」
医師
「ちょっと待ってください」
現在の入院患者の多くは高齢者で、食事やトイレなどの介助が必要なケースもあるといいます。このため――
石川島記念病院 重田洋平院長
「手がかかる方が増えてくると、13床というのが今のうちのスタッフではかなり、いっぱいいっぱいな状況。“確保病床数=即対応できる病床数”ではない、これは事実です」
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医療体制がひっ迫する大阪府は27日夜、吹田市にある太陽の塔で非常事態を示す「赤信号」を点灯させました。28日から1か月間、高齢者に通院や買い物、健康維持のための運動・散歩などを除く、不要不急の外出を控えるよう要請しました。
27日の全国の新規感染者数は20万9694人で、4日ぶりに“過去最多”を更新しています。
(7月27日放送『news zero』より)