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元自衛官が語る「私がウクライナ義勇兵に志願したワケ」大使館に依頼された“会社”とは

2022年3月22日 15:19
元自衛官が語る「私がウクライナ義勇兵に志願したワケ」大使館に依頼された“会社”とは
在日ウクライナ大使館前で、取材を受ける元航空自衛隊幹部自衛官(51)

ロシアによるウクライナへの侵攻を受け、在日ウクライナ大使館が2月末にツイッターで「外国人義勇兵」を募集しました。ツイートはその後、削除されましたが、大使館に義勇兵に志願するメッセージを送った元自衛官(51)がいます。胸の内を取材しました。

■在日ウクライナ大使館は公式サイトで義勇兵を募集

ウクライナのゼレンスキー大統領が先月27日、志願者による外国人部隊を編成すると表明したことを受け、在日ウクライナ大使館は同日、公式ツイッターで「共に戦いたい方々」を募りたいという投稿を出しました。

「ゼレンスキー大統領は27日、ボランティアとしてウクライナ兵と共にロシア軍に対して戦いたい格国の方々へ、新しく設置されるウクライナ領土防衛部隊外国人軍団への動員を呼びかけた。お問い合わせは在日ウクライナ大使館まで」(原文ママ)と記されていました。

ウクライナ大使館のSNS投稿を見て、翌日、応募したのは、元航空自衛隊の幹部自衛官のOさん(51)です。

Oさんは、フェイスブックのメッセンジャーを使って、応募のメッセージを大使館宛に送りました。

「ウクライナに対するロシア侵攻に憤りを感じています。ウクライナの皆様に協力できることがあれば、自衛隊での経験を活かせたらと思います」

2日後に、大使館のアカウントから“電話番号”が案内され、直接問い合わせるよう言われたといいます。

■元自衛官が語る「私がウクライナ義勇兵に志願したワケ」

Oさんは約10年前に自衛隊を辞め、1人でイベントなどのコンサルティング会社を経営しています。

現在は独身で、子供は成人しているといいます。

記者が「なぜ、義勇兵を志願したのか」を聞くと、「プーチン大統領の侵略行為に強い憤りを感じた。自分は約25年間自衛隊にいて、かつて中東での国際貢献活動にも関わった。また、武器使用の教官などの実績もあるので、ウクライナでも隣国のポーランドでも、必要とされる場所に行って、命をかけて戦いたい」「具体的にどんなことをしたいか」という問いに対し、

「例えば、ウクライナの人々に銃の使い方を教えることができる。これまで銃を手にしたことのないウクライナ人が多いだろうから、銃をどう有効的かつ安全に使うかを学ぶ必要がある」さらに、「日本国として軍事的にウクライナを応援できない分、個人としてやりたい。将来的に、核を持つ中国、北朝鮮が日本に攻めてくる可能性がある中、こういう時こそ、国際社会に対し日本人は何にもしない訳にはいかない」と話します。

■大使館が案内した“電話番号”の会社の正体とは…「関係ない」と主張

ところが、SNSで義勇兵募集を行った在日ウクライナ大使館は、3月2日午後になって、投稿を削除しました。

削除の背景には、林外相が1日の会見で「現在、外務省としてウクライナ全土に退避勧告を発している。目的のいかんを問わず、同国への渡航をやめていただきたい」と呼びかけたことが指摘されています。

日本テレビは、ウクライナ大使館が案内した”電話番号”の会社に複数回電話をかけたところ、その会社の代表と名乗る人物から折り返しの返事がありました。

「うちはウクライナ大使館に頼まれただけで、今は何もしていない。まったく関係ないから」と強く否定しました。

一方、志願した元幹部自衛官のOさんは、「実は、その会社代表から何度も連絡があって、面談もした」と証言しました。

しかし、Oさんに対し、「ウクライナ義勇兵になることはお勧めしない。日本でやれることもたくさんある」などと話し、ウクライナに行くことを勧めなかったといいます。現在、この会社は義勇兵の派遣業務を行っている形跡はないようです。

■陸上自衛隊幹部OBが「銃を取ることだけが支援ではない」とコメント

「ウクライナの人々を助けたいとの思いには敬意を表する」と語る元陸将で中部方面総監を務めた千葉科学大学客員教授の山下裕貴さん。

「ただし元自衛官、日本政府の一員であった者であれば、やはり政府の指示に従うべきだと思う。私戦予備罪などの法的問題もある。次に相手のロシアがどう判断するかだ。日本が特殊部隊を派遣したと判断すれば敵国となる。日本としてふさわしい支援、日本人らしい支援の形がある。災害派遣のノウハウを生かして隣国で難民支援もできる」

また「銃を取ることだけが支援ではない」と語りました。

■今でも覚悟を変えていない

Oさんは、「在日ウクライナ大使館が必要としてくれるなら、常にパスポートを所持しているので、いつでも一兵卒として現地で戦う覚悟でいる」と、今も戦場に向かう覚悟を変えていません。