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1粒で500円超も…希少イチゴ「桃薫」苗譲り渡しか イチゴ農家ら男女12人検挙

2024年12月3日 20:21
1粒で500円超も…希少イチゴ「桃薫」苗譲り渡しか イチゴ農家ら男女12人検挙

1粒で500円以上にもなるブランドイチゴ「桃薫」。その苗を無許可で譲り渡したとして、男女12人が検挙されました。

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淡いピンク色の見た目と、あまい香りが特徴。真っ白で柔らかい実をほおぼった瞬間、その名の通り、桃のような味と香りが口いっぱいに広がる、桃薫。1粒500円以上で販売されることもあるブランドイチゴです。この桃薫をめぐり…

近藤容疑者(64)
「小遣い稼ぎのために(桃薫の)苗を売った」

会社員の近藤信宏容疑者ら、あわせて12人が検挙されました。容疑は、種苗法違反などの疑いです。

警視庁によると12人は、2022年から今年にかけて、桃薫の苗を、許可を得ずに譲り渡した疑いなどがもたれています。

そもそも桃薫の生みの親で、品種登録しているのは、農業などを研究している「農研機構」という国の機関。開発者の権利を守るため、品種の種や苗木を、無許可で販売することなどを禁止しているのが種苗法です。

例えば今回、桃薫の苗を農研機構の許可なく、個人の趣味として家庭菜園で育て、食べることはOKですが、許可がない場合、苗を増やして他人にあげることは違法行為。無償でもダメです。

他にも、他人にあげる前提で苗を増やし、保管する行為や、増やした苗をフリマサイトで出品することも違法行為にあたります。

今回、農研機構からの相談やサイバーパトロールをきっかけに、一斉摘発に動いた警視庁。苗は、1つ150円から1200円ほどで、フリマサイトに出品されていたといいます。

検挙された12人の中には、イチゴ農家だった男性(70)もいます。男性は「いらない(桃薫の)苗だったので譲渡した」と話しているということです。桃薫を育て、販売する許可は得ていたといいますが、苗の譲渡については無許可だったといいます。

また、別の男(25)は「一獲千金を狙えると思った。桃薫を売って自分の名前を全国にとどろかせたかった」と話しているということです。

桃薫に、夢を思い描いたのでしょうか。ただ、苗を手に入れたところで、簡単に栽培はできないようです。

10年以上、桃薫を栽培している農家に話を聞くと…

シックスベリーファーマーズ松田農園・松田義人さん
「(栽培している農家の)数は、全国的にもかなり少ないはず。(桃薫は)国が作ったイチゴなので、作り方の指導は一切ない。本当に繊細なイチゴ。地域の気候に合わせて、各農家が試行錯誤しなければいけないという難しさはあります」

苗作りから収穫まで、試行錯誤を繰り返し、栽培しているといいます。

──影響は?

シックスベリーファーマーズ松田農園・松田義人さん
「(イチゴは)苗作りがかなり大切で、大変な作物。不正なもの(苗)が入ってくると(農家の)努力とか苦労も水の泡になってしまう。そこは、本当に気をつけていただけるとありがたい」

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検挙された12人は、調べに対し、容疑を認めているということです。

最終更新日:2024年12月3日 20:21