町に戻る若い世代も…原発の廃炉作業きょうも 東日本大震災から13年、福島・富岡町から中継
東日本大震災から11日で13年となります。震災から13年の現状や課題について伝えてもらいます。福島県の現状について、地元で取材を続けている福島中央テレビの直川貴博アナウンサーとお話を進めていきます。
――直川さんは夜の森地区でも取材を続けているということですが、住民の帰還の状況はどうでしょうか。
夜の森地区を含む富岡町では、避難指示の解除が2017年から除染の進捗(しんちょく)などに応じて段階的に進められてきました。ただ、避難指示の期間が長くなれば長くなるほど、避難先が避難先でなくなってしまい、生活基盤が確立され、戻ってくる方も少なくなる傾向が見られます。
ただ、町の力になりたいと、移住してお店や事業を始める人も出ています。さらに、町に戻ってきた20代の若い世代もいて「自分のお店が、ほかの誰かが戻るきっかけになれば」と話していました。
――新しい力が加わり、新しい町づくりが進むのは非常に心強いですね。福島県全体では、どのような課題があるのでしょうか。
富岡町や、福島第一原発のある大熊町や双葉町などの住民意向調査では、およそ5割の人たちが「戻らない」と答えた一方、「まだ判断がつかない」と答えた人が全体の1割から2割を占めます。
その方たちが帰還を判断するために必要な条件として、最も多く挙げたのが、医療機関や介護施設などの充実で、課題になっています。「ふるさとに戻りたい」と思っている人たちが安心して帰還できる環境づくりが重要です。
――福島第一原発は去年、処理水の放出がありました。廃炉に向けての作業は、どうなっていますか。
30年~40年かかるとされる廃炉作業は、11日も昼夜を問わず続けられています。
処理水については今年度4回目の放出が進められています。タンクの撤去を進めるためで、原発の敷地内では、早ければ来年度から空いたタンクの解体が始まる見通しです。
タンクの撤去によって空いた敷地には、溶け落ちた核燃料(=燃料デブリ)の取り出しに向けた施設が建設される見通しです。ただ、今年度中に計画されていた試験的な取り出しが来年度に延期されるなど、全体としては不透明さを残しています。