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広がる給食費の無償化“格差”…国は“無償化”を実現できるのか?自治体のホンネは

2023年3月23日 20:00
広がる給食費の無償化“格差”…国は“無償化”を実現できるのか?自治体のホンネは
政府が、3月末にまとめる予定の少子化対策のたたき台に先だち、自民党は、近く政府に提出する少子化対策の提言案の骨子をまとめ「小中学校の給食費の無償化」が盛り込まれた。

自治体間で“格差”も出ている、「給食費の無償化」を、国で実現することはできるのか?自治体のホンネと無償化の現状を取材した。

■“給食費無償化”実施する自治体は全体の1割

3月22日、自民党がとりまとめた少子化対策の提言案の骨子には、「小中学校での給食費の無償化」が盛り込まれた。自民党は来週にも政府に提言を提出する予定だ。

「小中学校の給食費の無償化」については、いまのところ自治体の“自助努力”に委ねられており、2023年度は、無償化の実現を打ち出す自治体が都内で相次いだ。ただ、給食費の無償化を実現する自治体がある一方で、隣り合う自治体で、無償化していないところが混在しているのが現状だ。

日本テレビは2月、こうしたこども政策の無償化などの現状を知るべく、「こども・子育て政策」の実施状況について、関東の68自治体(東京23区、多摩地域、関東の政令指定都市・中核市)に緊急アンケートを実施し、すべての自治体から回答を得た。

その中で、「2023年度、小学校・中学校の給食費を無償化するか」と尋ねたところ、「小学校・中学校ともに無償化する」と回答した自治体は、わずかに8自治体と、全体の1割程度にとどまった。

具体的には、東京・23区では、中央区、品川区、北区、世田谷区、荒川区、葛飾区で、多摩地域では、奥多摩町と檜原村だ。(台東区も、物価高騰による緊急支援として、2023年1月から当面、小中学校や幼稚園などで無償化を実施)

一方で、「無償化を実施していない」と答えたのは40自治体と、全体の6割近くにのぼり、その他の自治体では、食材費の一部を補助するといった限定的な支援をするなど、どの地域に住んでいるかによって支援の手厚さが異なる現状が浮き彫りになった。

■隣接する自治体で“格差”も…

給食費をめぐって対応が分かれる自治体だが、それは隣り合う自治体でも見られる。

例えば、23区東部の荒川区と葛飾区では、「小中学校で無償化」を実施する予定だが、両区に隣り合う足立区では「中学校のみ無償化」予定で、墨田区では「いずれも実施予定なし」。

23区西部でも、世田谷区と品川区は「小中学校で無償化」予定だが、両区に挟まれた目黒区は、「無償化予定なし」となっている。また、隣接する大田区は、物価高騰による保護者の負担軽減のため、食材購入費の支援を行うと回答した。

すぐ隣に住んでいても、給食費が無償化される子どもと、されない子どもがいるのだ。

■東京以外での「小中学校の給食費無償化」はゼロ

一方で、東京以外の自治体をみると、「小中学校の無償化」を実施する予定と回答した自治体は1つもなかった。

神奈川の4自治体(横浜市、川崎市、相模原市、横須賀市)と、埼玉県の4自治体(さいたま市、川越市、川口市、越谷市)、栃木・宇都宮市、群馬・高崎市は、いずれも「無償化しない」と回答している。

千葉県の3自治体(千葉市、船橋市、柏市)は、いずれも第3子以降は小中学校とも無償化すると回答を寄せた。第3子以降の給食費の無償化は、前橋市も同様の回答だ。

東京以外の自治体で、唯一、一部の無償化を実施するのは茨城・水戸市で、「中学生のみ無償化する」と回答した。

まとまった財源が必要な給食費の無償化は、人口がより多くなれば困難が伴う。さいたま市の担当者は、給食費の無償化について「恒久的な財源確保が課題だ」と話す。

■無償化は自治体のPRか?国の責任か?

では、給食費の無償化には、どれほどの財源が必要なのか。

当然、人口に占めるこどもの数によっても異なるが、ここでは、23区で最初に来年度の小中学校の給食費の無償化を打ち出した葛飾区を例にみてみる。

葛飾区では、2022年度の年間の給食費における保護者負担額が、小学校低学年(4万2900円)~中学校(5万8080円)。食材費の高騰などもあり、2023年度は、小学校低学年(5万2800円)~中学校(6万9300円)に上がる予定だった。2022年度の保護者負担分で計算しても、小中学校の9年間で1人あたり45万円あまりかかるため、無償化の影響は大きい。

葛飾区は、小中学校の完全無償化のため、2023年度予算に約14億円を計上し、実施に踏み切るという。区の担当者によると、「特定の財源を削ったわけではない」として、あくまでも限られた予算の中でやりくりし、実現にこぎ着けたと説明する。その上で、担当者は「学校給食費の無償化は、葛飾区の大きなPRの1つになる」と、力を入れた理由を話す。

しかし、自治体の限られた財源の中で、恒久的な無償化に踏み切るのは簡単なことではない。自治体の懐事情により“地域格差”が生まれ、育ち盛りのこどもの“食費”が、住んでいる地域によって差が出ていることに、各地の自治体関係者からは苦言が相次いだ。

「自治体ごとの財政力によって格差が生じることがないよう、必要な財源の確保と社会全体での費用負担の在り方も含め、国全体で幅広く検討を進めていくべきもの」(大田区)

「単に一自治体の決断や財政力に依存すべき問題ではなく、国も一定割合を負担するなどの制度を構築し、全国的な学校給食無償化を実現すべき」(千代田区)

「各自治体で判断して行う施策ではなく、国の責任と負担で実施すべき施策だと思う」(府中市)

自民党は近く、給食費の無償化を含めた少子化対策の提言を政府に提出する予定で、政府は3月末をめどに少子化対策のたたき台を公表する。国として、給食費の無償化についての考え方をどう反映するのか、注目される。

■給食費や医療費の無償化など…あなたの街の子育て支援は?

今回記事で取り上げた給食費の無償化や、こどもの医療費、0~2歳児保育の無償化など、自治体の2023年度のこども政策の実施状況について、全68自治体の回答を、特設ページで詳しく紹介しています。無償化以外にも、2人目以降の出産支援や産後ケアなど、どの自治体がどんな子育て支援に力を入れているのか、いま住んでいる街や気になる自治体も、ひと目でわかるようになっています。