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ワンオペ育児などにどう対応?自治体担当者に聞く「新設の子育て支援」の中身

2023年3月25日 17:00
ワンオペ育児などにどう対応?自治体担当者に聞く「新設の子育て支援」の中身
核家族化に加え、夫婦共働き家庭が珍しくなくなった今、子育てをめぐっては「気軽に相談できる人が近くにいない」「ワンオペ育児」など新たな課題が浮き彫りになっている。ライフスタイルの変化に合わせた支援策が求められる中、各自治体はどのような政策を打ち出しているのか。

日本テレビは2月、関東の68自治体(東京都内の島しょ部を除く53自治体、関東の5政令指定都市、10中核市)に2023年度の子育て支援策の中身についてのアンケートを行った。

「2023年度に自治体として新設する子育て対策がありますか」という問いに対し、『新設予定の対策がある(令和5年度予算案に計上)』と回答した自治体は61自治体と全体の約9割にのぼり、各自治体の特徴やこだわりがつまった多くの子育ての支援策の回答が寄せられた。

今回は、その一部として【家事・育児のサポート】【宿泊型産後ケア】【産婦人科・小児科等のオンライン健康相談】【妊婦や子育て世代の交通サポート】の事業を紹介する。

■東京・墨田区は、『家事・育児サポート事業』で妊婦や乳幼児がいる家庭に寄り添う

出産前後に行う支援として、東京23区では『家事代行』をあげたのが20自治体、つまり8割を超える自治体が実施していると回答している。一方で23区を除いた45の自治体では、これを実施している自治体は半数に満たない結果となった。

東京・墨田区では、2023年度から約3550万円の予算を計上し、『家事・育児サポーター事業』を開始する。妊婦や3歳未満の子どもがいる家庭を対象に、家事・育児の支援サービスを提供することで、出産や子育てに関する不安や孤独感の軽減を図りたいという。

区の担当者によると、具体的なサポートの内容は、家事支援(食事の準備や片付け、食材などの買い物、洗濯、居室内の掃除・整理整頓)、育児支援(授乳等のサポート、育児相談)、同行支援(通院等の付き添い)、きょうだいなどの育児、世話などを想定しており、協力する事業者との調整を重ねた上で、2023年度の早い時期の開始を目指しているとのことだ。

また、区の担当者は「育児・家事は今まで家族がやるものという考えもあり、家庭で担うところがあったと思うが、サポート事業の対象となる妊娠時~子どもが3歳未満という、親の精神的な負担が大きい時期に、育児疲れなどが生じる家庭も多い。サービスを手軽に利用していただける環境づくりをしていけたら。」「家事育児サポーター事業を活用することでなるべく子育てしやすい、育児に寄り添う環境にしたい、そのための第一歩だ。」と新規事業への思いを話した。

今回調査した自治体のうち、23区以外の45自治体では『家事代行』を実施するのが半数未満にとどまる一方で、『宿泊型の産後ケア』については、45自治体のうち8割を超える37自治体が実施すると回答している。

■東京・日野市は、「宿泊型産後ケア」で出産後の母に心身の休息を

産後ケアとは、退院直後の母子に対して、助産師等が心身のケアや育児のサポートを行う事業のことで、訪問型・通所型・宿泊型など様々な形態がある。

今回の調査で、2023年度から『宿泊型の産後ケア』を実施すると回答があった東京・日野市の担当者に話を聞いた。

日野市は、2020年6月から訪問型、2022年度から通所型の産後ケア事業を実施しており、訪問型と通所型を合わせると去年4月から12月までの利用数は150件を超えているという。

実際に利用した女性などから「宿泊での利用ができたら」という声があったといい、2023年度からは宿泊型の産後ケアのサービスも開始される。

産後ケア事業のサービス内容は、母の乳房ケアや、赤ちゃんの体重・健康チェック、育児の相談(授乳・沐浴・スキンケア)などで、利用者のニーズに応じて提供している。宿泊を伴う産後ケアサービスは、希望に応じて、宿泊中は夜間、赤ちゃんを助産師らに預け、母が一人で過ごす、寝る時間を確保することで、心身共にしっかりと休養することが可能となるという。

市の担当者によると、親(赤ちゃんの祖父母)に頼れない核家族の利用者も多いという。初めての育児に不安を感じたり、産後に体調がすぐれなかったりする中で、近くに親族などがおらず、産後に育児の手伝いをしてもらえる環境が少ない実態もあり、専門家である助産師にケアしてもらえる、この事業の必要性は大きいと話す。

日野市で2023年度から実施予定の宿泊型産後ケア事業は、産後4か月未満の赤ちゃんと母親の宿泊を、期間内で合計3回まで利用することができるという。

出産後の育児の悩みや、母の体調不良を専門家に相談しながら育児を進めることは、母親の負担軽減や母子の愛着形成につながる。

「制度を利用し、助産師に相談をしながら体調を整え、不安を軽減・解消してもらうことができたら、それが子育て支援にもつながっていくのでは」と担当者は話している。

さらに、日野市は『産婦人科・小児科オンライン健康相談事業』を2023年度から正式に導入する。

日野市は、去年8月から東京都の多摩イノベーションエコシステム促進事業による実証実験で「オンライン健康相談」を実施していた。利用者からのアンケートでは、「初めての育児で不安があり、質問しました。24時間以内に返答いただき安心することができました。」「気軽に医師の意見がきけるのでとてもありがたいです」などの声が寄せられ、市が実施した満足度調査によると、今後も利用したいとの回答が95%にのぼったという。

■産婦人科・小児科等への『オンライン相談』で気軽に妊娠中・育児の疑問解消

日野市が実施する「オンライン相談」は、産婦人科や小児科、助産院に行くことなく、スマートフォンから何度でも相談ができるサービスで、小児科医・産婦人科医・助産師が相談に応じる。

現在も実施されている実証実験では、平日18時~22時の夜間に一枠10分間の予約制で相談ができる「夜間相談」と、毎日24時間メッセージを送ることができる一問一答形式のサービス「いつでも相談」の2つの形式があり、2023年度からの本格導入では「日中助産師相談」も追加で始まる予定だ。

日野市が、本格導入に踏み切った背景には、市民の相談先の選択肢が増える、医師に相談ができることで、適正な医療受診や疾患の発生予防が期待できることなどがあるといい、市が費用を負担しているため、利用者は相談料などがかからない仕組みだ。(通信料は利用者負担)

担当者は、オンライン相談の開設によって、産前産後の生活での悩み、子どもの成長や子育てに関する疑問や悩みなどを気軽に相談してほしいとしており、子育て世代の不安や孤立に、妊娠期から寄り添うことができると期待を寄せている。

■栃木・宇都宮市は、妊婦やこどもを連れての外出、夜間の緊急時にも移動をサポート

栃木県・宇都宮市では、一般社団法人全国子育てタクシー協会が定める『子育てタクシー』導入を進めるため、タクシー事業者への補助を2023年度中に開始する予定だ。

「子育てタクシー」とは乳幼児を連れての外出をサポートしたり、保護者に代わって保育園や学童、習い事等の送迎をしたり、陣痛時の送迎をしたりする、子育て世代むけのタクシーのことで、地域の子育てを支える役割を果たしている。

陣痛の際の対応について、看護師による研修、子育て支援施設などでの保育実習など全国子育てタクシー協会の定める研修を受講し、認定されたドライバーは現在1570人ほど。

登録されているタクシー事業者は122社だという。

しかし、宇都宮市のように自治体が補助をし、事業者に導入を進めるケースは多くはないということで、宇都宮市の担当者は「核家族化や共働き世代の増加で、周囲に子育てを助けてもらえない家庭の増加や子どもの送迎にかかわるニーズの増加を感じている。親などが対応できない場合や、周囲に助けてくれる人がいない場合などにぜひ活用してほしい」と話す。

全国子育てタクシー協会の担当者も「タクシーを移動の選択肢にいれていただくことで、より子育てをしやすいと感じていただけたら。子育てに優しい国であってほしい。」と話した。

■あなたの街の子育て支援は?

今回紹介したのは自治体から寄せられた回答の一部です。全68自治体の回答は、特設ページで詳しく紹介しています。いま住んでいる街は子育て支援をどう進めているのか?気になるあの街の医療費は?給食費は?どの自治体が手厚いのか、ひと目でわかるようになっています。