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【解説】「子育て支援」…自治体で“格差” 無償化や出産支援を最も多く実施しているのは…

2023年3月14日 20:43
【解説】「子育て支援」…自治体で“格差” 無償化や出産支援を最も多く実施しているのは…

新年度を前に、それぞれの自治体が4月以降の予算を発表していますが、「子育て支援策」をめぐって、地域による格差もみえてきました。

◇9割が予算“増”
◇支援手厚さランキング
◇「無償化」にばらつき

以上の3点について詳しくお伝えします。

■「子育て支援策」で68の自治体にアンケート実施 該当項目が最も多かった自治体は…

現在、各地の自治体で2023年度の市区町村の予算案が審議されていますが、実は国が「こども予算倍増」を掲げる中、自治体でも子育て支援策などに予算を増やしています。

そこで、日本テレビでは、東京23区と島しょ部を除く市町村、関東の政令指定都市、中核市のあわせて68の自治体に、来年度の子育て支援策の中身についてアンケートを実施しました。

【実施したアンケート項目】
◇出産時祝い金・贈答品
◇産後の戸別訪問
◇宿泊型産後ケア
◇産後一時預かり
◇未就学児医療無償化
◇小学生医療無償化
◇中学生医療無償化
◇高校生相当医療無償化
◇0歳から2歳児保育料無償化
◇小学校給食無償化
◇中学校給食無償化
◇病児保育の充実
◇家事代行
◇遊び場・交流の場の常設
◇母親の孤立対策
◇2人目以降の出産支援

まず、来年度の「子育て支援策」に関する予算の規模を聞いたところ、「2022年度に比べて増額する」と答えた自治体は、68の自治体のうち62の自治体と約9割にのぼりました。

では、子育て支援の予算を増額して、具体的にどんな政策に力を入れていくのか。アンケートの中身として、「宿泊型産後ケア」、「産後の一時預かり」、「0歳から2歳の保育料や、小中学校の給食費などの無償化」、さらに「2人目以降の出産支援」まで、16項目について自治体に聞きました。

その結果をみてみると、「実施している」、または「実施予定」の項目が最も多い「荒川区」では、16項目のうち15項目で実施を予定しています。

14項目を実施・実施予定としているのが、「世田谷区」「中央区」「品川区」。13項目で実施・実施予定としているのは、「渋谷区」「豊島区」「杉並区」「足立区」「葛飾区」「練馬区」「武蔵野市」の7つの自治体です。46自治体で8項目以上が実施予定で、最も少なかった自治体では3項目を実施していました。

該当する項目が一番多かった「荒川区」が実施するのは、「産後一時預かり」などの15項目。「小学校や中学校の給食費無償化」は、来年度から始めるということです。

これらの詳しいデータは、日テレニュースの特設ページで公開予定です。

特設サイト「子育て支援、どこが手厚い?関東68自治体アンケート」

■「医療費」「保育費」「給食費」…無償化に踏み切った自治体は

続いて、子育て支援の中で大きなインパクトがあるのは「無償化」です。まずは「給食費の無償化」です。2023年度に「小・中学校ともに無償化する」と回答した自治体は、68の自治体中、8の自治体と1割程度でした。実施を予定しているのは「荒川区」「中央区」「葛飾区」「世田谷区」「北区」「品川区」や「檜原村」「奥多摩町」で、全て都内の自治体でした。

なぜ無償化に踏み切ったのか。23区で最初に「給食費無償化」を打ち出した「葛飾区」を取材しました。

10日、葛飾区内の小学校を訪れてみると、この日のメニューは、3色丼とけんちん汁、デザートのオレンジと牛乳でした。葛飾区では、今年度保護者負担分をもとに計算した、子ども1人あたりの1年間の給食費は、小学校の低学年で4万2900円、中学生では5万8080円となっています。小・中学校の9年間で、1人あたりの給食費は葛飾区だと45万1220円かかります。これが「ゼロ」になるということで、保護者にとってはかなり大きいです。

葛飾区は、給食費の無償化に約14億円の予算を計上しました。区の担当者である羽田学務課長は、「無償化を実施するにあたって、特定の予算を削ったわけではない」と話しました。あくまで“やりくり”をして予算を捻出したとした上で、「学校給食費の無償化は、葛飾区の『大きなPR』の1つになる」として力を入れているということです。

次に「保育料」をみてみます。現在、国では3歳以上の保育料を無償化していますが、自治体での0歳から2歳児への支援はどうなっているのか。「一部の費用補助」と答えた自治体が33か所、「無償化も補助もなし」と答えた自治体が34か所とほぼ半々に分かれる中で唯一、「奥多摩町」は「条件なしで無償化」に踏み切っていました。

「奥多摩町」の担当者によると、「奥多摩町では、少子化に歯止めをかけるために子育て支援に力を入れている」ということです。

続いて、子どもの「医療費」です。実は、東京23区では来年度から、高校生相当まで条件なしで無償化されます。一方、東京の23区以外で高校生相当まで条件なしでの無償化は、武蔵野市や宇都宮市など10自治体で2割程度にとどまっています。

地域によって、“中学生まで”や“未就学児のみ”無償化や、1回の診療で数百円の負担を設ける自治体もあり、対応はばらばらです。地域による格差が大きいことがわかりました。

   ◇

自治体からは、「自治体単独の策には限界がある。大きな格差が広がらないように、国の責務として支援策の設計をしてほしい」などの声が相次ぎました。政府は、今月中に「子育て支援策」のたたき台を打ち出す予定です。当事者の声に耳を傾けながら、政策決定してほしいです。

(2023年3月14日午後4時半ごろ放送 news every.「知りたいッ!」より)