ビッグモーター新社長“涙の会見”後に「LINE削除」指示 「証拠隠滅としか…」現役社員 新たな疑惑も続々と…
涙ながらに「企業風土改革」を誓ったビッグモーターの和泉伸二新社長が、会見後に全社員に向けて、LINEのアカウントを削除するよう指示する内容のメールを送っていたことがわかりました。また、社内LINEで暴言をはかれた元店長が、パワハラや残業代の未払いがあったとして、訴えを起こしていたことも明らかに-。
店舗前の街路樹が切られたり、枯れたりする被害も相次いで確認されています。
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26日正午過ぎ、ビッグモーターの和泉伸二新社長が国土交通省に姿を見せました。損害保険会社への保険金不正請求問題にゆれるビッグモーターについて、調査報告書をもとに、修理の実態などについて国土交通省の聞き取りが行われました。
25日の会見では…
ビッグモーター 兼重宏行前社長
「本当耳を疑った。こんなことまでやるのかと、がく然としましたね。ゴルフボールで傷をつける。ゴルフを愛する人に対する冒とくですよ。天地神明に誓って知らなかったと言えます」
不正請求問題について、“組織的な関与はなかった”と否定していました。
和泉伸二新社長は、2時間に及ぶヒアリングを終え会見しました。
ビッグモーター 和泉伸二新社長
「様々ヒアリングは受けましたが、内容につきましてはきょうのところのコメントは控えさせていただく」
――内容は言えないとして説明は果たせたか?
ビッグモーター 和泉伸二新社長
「私どもはそう理解してます」
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ビッグモーター 和泉伸二新社長
「現場の声に耳を傾け、風通しのいい企業風土をつくってまいります」
25日、涙ながらに「企業風土改革」を誓った和泉新社長ですが、この会見の後、全社員に向けてあるメールを送っていたことがわかりました。
「本気の風土改革」と書かれたメッセージのなかには、次の文言がありました。
「改革の第一弾としてまず全店のLINEの使用をすべて止めることにします。会社支給携帯に入っているLINEのアカウント削除をしてください」
LINEを削除するように、という指示でした。
このLINEでは「書類の不備があるぶっ殺すぞ」「適当な仕事するクソボケまじ殺すぞ」といった罵詈雑言の数々が交わされていました。また、「ふざけた報告すんなボケクソが!」「返答もできねーなら店長おりろ、ボケが」「隠蔽(いんぺい)ごまかすなら、営業してろボケが」と、不正の隠ぺいをにおわすやりとりもありました。
“新社長によるLINEの削除指示”に、現役社員は…
ビッグモーター現役社員
「現場の僕らからすると、まあそこではないでしょ、というのが正直な意見。僕らからすると証拠隠滅にしか受け取れない」
さらに、別の現役社員のもとには上司からのLINEで「和泉社長からLINEは使用しないこと」「グループLINEは抜けるように」といった“念押し”ともとれる指示がありました。
LINEは、強制退会の場合は履歴が残りますが、自主退会の場合は履歴が残らない仕様です。
ビッグモーター現役社員
「都合の悪い履歴の隠ぺいを図っていると思わざるをえない。社長や副社長が社内の別の人間に変わるだけで、会社が変わるわけがない」
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削除指示を送った本人、和泉伸二新社長に聞きました。
――全店でLINEの使用停止、社用携帯からアカウント削除の意図は?
ビッグモーター 和泉伸二新社長
「休みの日であっても連絡の返答したり、そういったことが確認できたので、まずいったん即やめよう。縛るのはやめようと」
――過去の履歴が出てきたことへの対策では
ビッグモーター 和泉伸二新社長
「まったく違います」
――隠そうという意思は
ビッグモーター 和泉伸二新社長
「ありません。隠ぺいするということでしたら、改革でもなんでもありませんから」
――それまでのやりとり、保存しておかないと調査に影響ない?
ビッグモーター 和泉伸二新社長
「そこはおっしゃる通りで、言われてみればそうだなと…」
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LINEでのやりとりについては、岐阜県の店舗で、上司からLINEで暴言をはかれた元店長が、パワハラや残業代の未払いがあったとして、訴えを起こしていたことも明らかになりました。
訴状によると、元店長の男性は他の店舗の店長らが参加するグループLINEで、上司から「何年店長やってんだよ」「舐めてんの?」「会話すら成立しないなら店長下りろタコが」と暴言をはかれ、男性はうつ病を発症し、解雇されたといいます。
男性は訴えを起こした後、交通事故で亡くなっていて、男性の両親が裁判を引き継いでいるということです。
ビッグモーターの代理人の弁護士事務所は「回答を控えさせていただきます」とコメントしています。
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さらに26日に新たにわかったのが、内部告発者の証言の書き換えです。
去年、ビッグモーターには「保険金を不正に請求している」と内部告発がありました。このとき行われた従業員への聞き取り調査で「工場長から不正の指示があった」と回答があったといいます。
しかし去年6月に、ビッグモーターが損保会社に調査報告をした際には、「指示はなかった」と書き換えられていたといいます。
このことについて、和泉伸二新社長に聞きました。
ビッグモーター 和泉伸二新社長
「私も初めて知りまして、そこに関してはこれから調査してまいります。隠ぺいがあれば厳正にさかのぼって対処していかないと」
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そして不正請求以外でも、新たな疑惑が浮かびました。愛知・名古屋市にあるビッグモーター名東店の周辺の街路樹は生い茂るなか、店舗前の木だけが切られていました。土木事務所によると、2019年6月に木が枯れているのを発見したといいます。
過去の映像をさかのぼってみると、同じ場所にコンビニがあったときは街路樹が立っていましたが、ビッグモーターに変わると、どんどん枯れてしまっているようにも見えます。名古屋市は、今後、土壌調査なども含めて枯れた原因を調べる方針だということです。
同様の状況は、群馬・太田市の店舗前でも起きていました。去年、街路樹17本が枯れているのがわかり、その後、伐採・撤去されました。群馬県太田土木事務所による調査の結果、除草剤の成分が検出され、土木事務所は警察に被害届を出したということです。
ビッグモーター 和泉伸二新社長
「業界全体の信用を失墜させた一因はあると深く自覚しているので、再発防止を粛々と進めていきます」
(7月26日放送『news zero』より)