芭蕉ゆかりのそば店 60年の歴史に幕 常連客ら名物とろろそばに舌鼓 敦賀「民芸茶屋 孫兵衛」
松尾芭蕉ゆかりの店としても知られる敦賀と滋賀の県境にあるそば店「民芸茶屋 孫兵衛」が30日、60年の歴史に幕を下ろしました。歴史薫る店内は、昔を懐かしむ常連客などでにぎわいました。(11月30日)
かやぶき屋根が目を引く店。店主の西村久雄さんは妻と母親の3人で店を切り盛りしてきました。築190年の店には昔ながらの調度品が並び、奥のショーケースには西村家に代々伝わる「おくのほそ道」の原本「素龍清書本(そりゅう・せいしょぼん)」のレプリカが飾られていて、松尾芭蕉ゆかりの店としても親しまれてきました。
体力の衰えから店を閉めることを決めた西村さん。営業最終日となった30日は多くの常連客が訪れ、天然のジネンジョを使った店の名物「とろろそば」などを楽しみました。
常連客
「本当によくお世話になった。なかなか来れなかったから最後に来ました」
久しぶりに来た人
「なんか寂しい。また何年か経ったら再び開いてくれるといい」
店主・西村久雄さん
「ほとんどしゃべったことのないお客さんまで『長い間ご苦労様でした』と言ってくれて、商売していてこんなありがたいことはない。自分でもやり切ったと思う」
60年の歴史に幕を閉じた芭蕉ゆかりのそば店。今後は博物館に資料を貸し出すなどして、「芭蕉の杖置きの地・敦賀」の歴史を後世に伝えます。