「教員免許は取るが先生にはなりたくない」増加 学生が現役教員へ突撃インタビュー
学校の教員の“なり手不足”が深刻化するなか、「教員免許は取るが先生にはなりたくない」という学生が増えています。教員を目指す学生たちに現場の魅力を知ってもらおうと、福岡市で6日、新たな取り組みが行われました。
11月6日、福岡市早良区の次郎丸中学校を訪れたのは大学生9人です。
■学生
「教員としての生活がハードになると思うんですけど、その中でやりがいを感じるのは、どんな部分ですか。」
その目的は、学生みずから現役の教員へ突撃インタビューです。
教員を目指す学生に学校現場のリアルな声を聞いて魅力を改めて知ってもらおうと、福岡大学が初めて企画したものです。
■次郎丸中学校・東拓海 教諭(24)
「教員なりたい人?」「迷っている人?」
参加者の一人、大学3年生の吉野礼二郎さんは、中学校の教員を目指しています。
■福岡大学3年生・吉野礼二郎さん
「(中学から)スポーツをやってきて、スポーツを通して学ぶことは結構あったんですよ。中学校のスポーツを通して、学べることを子どもたちに教えていけたらと思って、中学の教師を目指すことになりました。」
吉野さんは、来年教員免許を取得する予定ですが、教員になることに迷いもあるといいます。
■吉野さん
「(教員が)“ブラック”っていう言葉が強いし、そのイメージが本当に強くて。」
名古屋大学の調査によると、公立学校の教員が1か月に行う時間外労働は小学校で平均98時間、中学校で114時間に上ります。『過労死ライン』とされる80時間の倍、160時間を超える教員も1割を超えていました。
また、公立学校の教員には、月額給与の4パーセントを基本給に上乗せする代わりに、時間外手当などは支給しないと法律で定められていて、“定額働かせ放題”とも指摘されています。
福岡大学では「教員免許は取るが学校の先生にはなりたくない」という相談が年々増えているといいます。
学生から『働き方』についての質問もありました。
■学生
「なかなか教材研究を作る時間がないなか、先生はどうされていますか。」
■東 教諭
「午後6時から午前1時とかまで教材研究して1コマ作って、次の日の授業をして、自転車操業の中でやっている時もあったし。きつそうな人見たら助けてくれるんで、教員って。自分がやるだけやって『きつい』と思ったら、『助けて』って言ったら助けてくれるから。周りに頼るといいかな。」
■吉野さん
「働き方についてはイメージと全然違っていて、先生独りぼっちではないんだと感じました。教職って“ブラック”というイメージが強いんですけど、その面だけを見るのではなく、福利厚生が充実していたり、他の先生との関わり合いがあって成り立っているという面では、とても温かい職業かなと思います。」
実際に学校に行って先生から話を聞くことで、学生たちにとっては教員を目指す気持ちを改めて確かめる貴重な機会となったようです。
『日本若者協議会』が去年、教員志望の学生を対象にアンケ―トを行ったところ、「教員を志望している」という回答が42%にとどまったのに対し、「志望していたが迷っている」「志望していたがやめた」という回答が半数以上を占めました。
「迷っている」「志望をやめた」理由については、「労働環境が過酷だから」「教員の求められているレベルと現実の職場環境が全く合っていない」「今の労働環境でも働く人がいるとなると、今の劣悪な労働環境をサポートするようなことになってしまうと考えたから」などと、厳しい声が聞かれました。