【能登半島地震】災害関連死を防ぐ「口のケア」 汚れをつけない・乾燥させない・今できる備えも
長期化する避難生活では「口のケア」が重要とされています。災害関連死につながる恐れもある被災地での「口のケア」について、災害現場に詳しい歯科医師に聞きました。
福岡県太宰府市のおおた歯科クリニックの太田秀人医師は、歯科医師としてこれまで多くの災害現場で活動してきました。
■阿部まみフィールドキャスター
「災害が起きた時に口腔(こうくう)ケアは大切なんでしょうか。」
■おおた歯科クリニック太田秀人 医師
「忘れがちになるのですがすごく大事で、最悪、死に至るようなこともありますので、注意が必要かと思います。」
太田医師は、被災地では口のケア次第で「死」につながる可能性があると指摘します。
■太田医師
「口の中の細菌が原因で起こる誤えん性肺炎というのを、私たちは一番危惧しているところです。普段はきれいな肺の中に口の中の細菌が落ちるイメージ。過去の災害でも、いわゆる肺炎の大半は誤えん性肺炎だろうといわれているので、(災害)関連死の大きな原因の一つになっていますね。」
誤えん性肺炎とは、食べ物や唾液が気道に入ることをきっかけに、口の中の細菌が肺に入り込んで起こる肺炎のことです。
震災後に、ストレスや災害の負荷による病気で死亡する「災害関連死」は、災害現場の大きな課題となっています。
能登半島地震で、石川県では1日午後2時までに240人が死亡し、うち15人が災害関連死です。
避難所では歯科医師らが巡回して支援していますが、水が思うように使えなかったり、ケア用品が十分でなかったりと、いつも通りの口の手入れはできません。
災害関連死を防ぐため、被災地では、どのような「口のケア」が有効なのでしょうか。
太田医師があげたポイントは汚れをつけないことと、乾燥を防ぐことです。
汚れをつけないためには歯磨きが有効ですが、歯ブラシがない場合はガーゼやティッシュでも代用できます。
■太田医師
「湿らせても湿らせなくてもいいですが、順番に(磨いていく)。」
乾燥対策としては、唾液を出すことが重要です。
■太田医師
「唾液の中には消毒の酵素がもともと含まれているから、出れば出るほど、口の中がきれいになります。」
口の中で舌を大きく動かすことのほか効果的なのが「唾液腺の刺激」です。
■太田医師
「場所が2つあるのですが、まずは耳の前の所を後ろから前に円を描くように押します。2つ目があごの下です。あごの下のえらの所から真ん中の所までを奥から順番にゆっくり押していく。」
災害が起きる前に私たちができる備えについて聞きました。
■太田医師
「一番は普段、自分が使っている口腔ケア製品を非難袋に入れておくことをおすすめします。忘れがちなのが、入れ歯の洗浄剤やケースです。」
災害で助かった命を守るためには、口のケアの大切さを理解しておく必要があります。