生活雑貨を取り扱う「ハンズ広島店」が２月２４日、３０年の営業に幕を閉じました。広島市の中心地で刻まれた歴史、そして、次の時代に求められる店舗の姿に迫ります。

広島市中心部でも雪が舞った２月２４日は、「ハンズ広島店」最後の営業日です。店長の内山雅章さん。毎日の朝礼も、この日で最後です。

■ハンズ広島店・店長　内山雅章さん
「おはようございます。いよいよ最終日を迎えました。３０年分の思いをね、感謝の気持ちを、お客様１人１人に全力でね、お伝えしていきたいと思いますので、どうぞ１日よろしくお願いいたします。」

午前１０時の開店。入り口で客を出迎えます。

■ハンズ広島店・店長　内山雅章さん
「おはようございます。いらっしゃいませ。」

６万点を数える品ぞろえ。訪れた客も、思い出がよみがえります。

■訪れた客は…
「革製品に塗るクリーム。財布とかに塗るのが、残り少なかったので。（今度から）遠くなるというか、行きづらくなるので最後に来て良かったです。」
「ここで全部暇つぶしできるし。「何階におるよ」って言ったら、それぞれ好きなところにいられる。なくならんかったらね。どこかで続くならいいですよね。」

開業は１９９５年。東京・大阪・名古屋の３大都市圏以外への出店は、広島店が初めてで、大きな話題を集めました。それから３０年。ハンズは３月、イオンモール広島府中と広島駅ビルのミナモアに店を移します。

都市地理学の専門家は、ショッピングモールの誕生で、町の機能のすみ分けが進んでいると指摘します。

■広島修道大学　川瀬正樹教授
「１９９０年代までは紙屋町と八丁堀で争ってたんですよ、トップを。今は２つ足してもイオンモール広島府中と張り合っている。中心部は働く場、プラス飲食店。買い物としては駅とか郊外とか、そちらに流れる。」

新しく店を構えるショッピングモールでは、開店準備が進んでいます。出店の狙いは、時代とともに変化しているといいます。

■ハンズ 広報部・次長　本田浩一さん
「アクセスの良い場所に店を移して、さらに新しいお客様にも来ていただきたいと。普段の買い物のついでに立ち寄れて、目的のものがさっと買えると。時間短縮を意識されるようなニーズが増えてきておりまして、 ワンフロアの構成で目的のものがすぐに手に入ると。」

店長の内山さんに、来店客からサプライズがありました。

■ハンズ広島店・店長　内山雅章さん
「こちらなんですけども、何だと思います？風船なんですけど。３０年前ですね、オープンの時に配っていた景品になります。３０年間大切にされて保管されていた方が、実は昨日来ていただいたんです、ご家族を連れて。その時にお話をさせていただいて、「最後にもしよろしければ受け取ってください」ってことで、お預かりさせていただいた品物になります。」

中村淳也さんは、１９９５年からのスタッフ。見せてくれたのは、開業時に作られたシャツです。

■ハンズ広島店　中村淳也さん
「着たいんですけど、もう着られないんです。僕がサイズアップしてしまったので。３０年の積み重ねで。」

サイズは少し変わってしまいましたが、３０年間、変わらないものも…。

■ハンズ広島店　中村淳也さん
「お客様が「これが欲しいです」とお越しになられて、それを見つけて買っていかれる姿とか、あるいはハンズに来て「何かいいもの見つけた」って言って、帰って行かれるときの笑顔ですよね。そこは変わらないですね。」

■ハンズ広島店・店長　内山雅章さん
「いらっしゃいませ。お客様、何かあったらお声がけください。お客様、最終処分になっていますので、 お手に取ってみてください。ありがとうございます。」

店には、感謝のメッセージが届きました。

■メッセージ
「３０年前にハンズがオープンしたときは、都会になったようでうれしかったです。」
「高校生の時、福袋。社会人、彼女とデート。妻とショッピング。子どもたちと買い物になりました。」

迎えた午後５時。店の前には多くの客が集まり、閉店を惜しみました。

■ハンズ広島店・店長　内山雅章さん
「本来であれば、こちらがありがとうを伝える立場でしたが、お客様からもたくさんのありがとうをいただきました。今まで以上、これからもどうぞよろしくお願いいたします。そして最後に、３０年間本当にありがとうございました。」

広島店のスタッフは今後、新店舗などに活躍の場を移すといいます。広島市中心部で培った経験は、次なる流行の発信地に受け継がれていきます。

【テレビ派　２０２５年２月２５日放送】