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アメリカ人の56%「原爆投下は正当だったと思う」 読売新聞・ギャラップ 日米共同世論調査 

2025年1月10日 20:42
アメリカ人の56%「原爆投下は正当だったと思う」 読売新聞・ギャラップ 日米共同世論調査 

2025年がスタートしましたが、今年は被爆80年となる年です。原爆に関するアメリカ人の意識について考えます。

読売新聞社はアメリカのギャラップ社とともに日米共同世論調査を実施しました。
有権者を対象にアメリカでは11月18日から24日まで電話で実施し、1013人から有効な回答を得ました。

「広島と長崎への原爆投下を現時点からみて、正当化できると思うか」という質問に対し、「思う」が56%。「思わない」が38%。「答えない」が6%でした。過去の調査と比較します。原爆投下直後、1945年8月のギャラップ社の調査では、原爆投下に賛成という答えが85%でした。 原爆投下が正当化されると思うと答えた人の割合は、1991年、デトロイトフリープレスによる調査では63%。

2015年、ピューリサーチセンターの調査では56%。

そして2024年の調査でも56%のままです。

原爆投下が正当化されると考える人の割合が下げ止まってしまったように見えます。

広島出身の被爆2世で、アメリカのデュポール大学で核に関する問題を教えている宮本ゆき教授に話を聞きました。

■デュポール大学  宮本ゆき教授
「2015年の時点ではトランプ政権の前でしたし、私もこれから(「正当化できる」が) 下がっていくんじゃないかと思っていました。ちょっと下げ止まりという感じですよね。予測はしていなかったです」

今回の調査を政党支持別に見ると、民主党支持層は「原爆投下を正当化できる」が42%にとどまるのに対し、共和党支持層は72%にのぼります。

■宮本ゆき教授
「トランプ政権はMAGA(Make Ame rica Great Again)、もう一度アメリカをグレートに しようと、強いア メリカを押し出しているので核兵器も強いアメリカの象徴として、もう一度取り上げられている感じがあります 。自分を大きく見せるとことを得意としている政治家なので、核兵器は相性がいい。」

今回の調査を年代別に見ると、18~39歳では「正当化できると思わない」という回答が「正当化できる」という回答を上回っています。
若い世代ほど原爆投下を正当化できないと考える割合が高いという結果でした。

一方で、アメリカの核戦力が同盟国の攻撃への抑止力になっているかという問いに対しては、「思う」がアメリカでは75%。日本でも69%に達します。

■宮本ゆき教授
「正当化できないけれども、持っていることは大事、持たないことは不安というのはあると思います。ですから、正当化できる使い方はどういう使い方かという議論になってしまって、道徳的な使い方はファーストストライク、先制攻撃をしないということが 道徳的という流れになってしまうこともある。」

残念ながら原爆投下を正当化できないという人が、必ずしも「核廃絶すべき」と考えているわけではありません。
では、核兵器の正当化できる使い方が存在するのかと言えば、例えば、国連のグテーレス事務総長が呼びかけている「先制不使用宣言」。万が一、他国が核兵器により攻撃してきたときのみ核兵器で反撃するのは、正当化できる使い方だという理屈になる余地があるということです。
先制不使用宣言をしないよりはした方が、核の不使用という点では一歩前進と思えますが、被爆地の最終的な目標である「核兵器廃絶」とは溝があります。

被爆80年の今年、核兵器がもたらす結果を被爆地から発信していくことの重要性を、改めて考えさせられた日米共同世論調査でした。
【2024年1月10日放送】

最終更新日:2025年1月10日 20:42
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