徳島県の阿南市が実施した全世帯への10万円給付で、市の貯金である財政調整基金から約25億円を取り崩したことなどが違法だとして、9月5日に阿南市民と阿南市議のあわせて4人が、岩佐義弘阿南市長に対して損害賠償を求める訴えを徳島地方裁判所に起こしました。

この日の午後、4人は代理人弁護士とともに徳島地裁を訪れ、岩佐市長に対して約25億円の損害賠償を求める訴状を提出しました。

訴えによりますと、2023年11月の阿南市長選挙では、岩佐市長が公約として市内全世帯への10万円給付を掲げて当選し、給付のために市の貯金である財政調整基金から約25億円を取り崩しました。

この給付が財政調整基金の取り崩しを認める条例に該当せず違法であるなどとして、岩佐市長に約25億円を阿南市に支払うことを求めています。

4人はこれまでに、この件に関して阿南市に対して市長に25億円の支払いを求める住民監査請求を行っていましたが、8月、基金の取り崩しに違法性はないとして、阿南市監査委員は請求を棄却する監査結果を公表しています。

（訴状を提出した阿南市民）
「（10万円給付が）裁量権の逸脱・乱用ではないという監査委員のご判断、そしてこれを止められなかった議会には、市民の1人としてとても残念に思っています。裁判で厳粛な判断をお願いしたいと思っています」

この提訴を受けて、岩佐市長は「訴状の内容を精査したうえで、 対応してまいります」と、コメントしています。