遺族が引き継ぐ松橋事件裁判「国への賠償命令」判決に原告・被告双方が控訴
1985年に現在の宇城市松橋町で男性が殺害された「松橋事件」で、殺人犯として懲役13年の判決が確定した宮田浩喜さん。服役後に再審(裁判のやり直し)で無罪となり、捜査機関に賠償を求めた裁判で控訴の動きです。
宮田さんは2020年に「警察官がウソの自白を誘導し、検察官は無罪の証拠を裁判に提出せず隠した」と訴え、国と県に賠償を求める裁判を起こしましたが、その後87歳で亡くなり遺族が裁判を引き継いでいます。
熊本地裁は3月14日、「無罪の根拠となる証拠が出てきたのに地検が有罪を求めたことは違法」と指摘し、国に賠償を命じる判決を言い渡しました。一方で県警については「取り調べに違法性はなかった」として訴えを退けました。
判決を受けて熊本地検は27日、「上級庁と協議の上、判決を是正すべきとの判断に至った」として控訴したことを明らかにしました。
一方、宮田さんの弁護団は「冤罪を生み出した警察官の責任が認められないのは不服」として、27日付で熊本県を相手に控訴しました。判決で責任が認められた国については控訴を見送りました。