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【記者解説】冤罪「松橋事件」国に賠償命じる判決 弁護団が主張した「6つの違法」熊本地裁の判断は

2025年3月14日 19:36
【記者解説】冤罪「松橋事件」国に賠償命じる判決 弁護団が主張した「6つの違法」熊本地裁の判断は
宮田浩喜さん(2019年)
今から40年前の1985年に現在の宇城市松橋町で男性が殺害された「松橋事件」。犯人として有罪判決を受け、服役後に再審=裁判のやり直しで無罪となった男性が「違法な捜査があった」と訴えた裁判で、熊本地裁は14日、国に賠償を命じる判決を言い渡しました。その一方で、熊本県の責任については訴えを退けました。

■弁護士(2016年の会見)
「再審が認められました。あなたの無罪に向けて、これから裁判が始まります。わかりますか?」

裁判のやり直しを求めながら、認知症と闘っていた宮田浩喜さん。1985年に現在の宇城市松橋町で男性が殺害された「松橋事件」で逮捕され、懲役13年の判決が確定しました。

しかし、有罪の根拠とされたのは、捜査段階の「自白」のみ。宮田さんは服役後、「自白は強要されたもの」と訴え、再審を請求しました。

やり直しの裁判で注目されたのが、宮田さんの自白調書で「刃物の柄に巻き付けて犯行に及んだ後、燃やした」とされていた“シャツの袖”でした。弁護団が、燃やしたはずの袖が熊本地検に保管されているのを発見し、「自白の信用性を揺るがす」として冤罪を主張しました。

そして2019年、熊本地裁は「宮田さんを犯人とする証拠がない」と述べ、無罪を言い渡しました。事件から34年が経っていました。

■齊藤誠弁護士(2019年)
「宮田さんの無実が認められました。裁判所で無罪の判決が出ましたよ。とうとう。宮田さんは無罪です。よかったですね」

宮田さんは翌年、「警察官がウソの自白を誘導し、検察官は無罪の証拠を裁判に提出せず隠した」と訴え、国と県に8400万円あまりの賠償を求めて提訴。その後、87歳で亡くなったため、遺族が裁判を引き継ぎました。

冤罪はなぜ起きたのか。警察と検察に違法性は認められるのか。迎えた判決の日。

■内藤有希子記者
「『一部勝訴』を掲げました。国への責任が認められたということです」

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