「赤ちゃんポスト」東京の病院が運用開始 「内密出産」の費用本人負担に熊本の慈恵病院は懸念
■賛育会病院 賀藤均院長
「予期せぬ妊娠、悩みを抱える女性の増加、虐待死などの痛ましい事件が後を絶ちません」
東京都墨田区の賛育会病院が31日、会見を開き、何らかの事情で育てられなくなった赤ちゃんを親などが身元を明かさずに病院に託すいわゆる「赤ちゃんポスト」の受け入れを始めると発表しました。名称は「いのちのバスケット」とし、31日午後1時から運用しています。
対象は生後4週間以内で、赤ちゃんが預けられたら1分以内に職員が駆けつけ、可能なら親と話す機会を得たいということです。
妊娠・出産を周囲に明かせない場合に、病院の一部職員にのみ身元を明かすいわゆる「内密出産」も受け入れますが、費用は原則、本人負担としています。
国内2例目となる医療機関での運用開始について、先行してきた熊本市の慈恵病院の蓮田理事長は、内密出産における費用の自己負担に懸念を示しました。
■慈恵病院 蓮田健理事長
「内密出産を求める女性は、ほとんどお金がなくて来ます。あまりにもこれは非現実的です。いったん中止していただいて、保留していただいて、体制を整えて直してもう一度試みていただきたい」
【スタジオ】
赤ちゃんポストや内密出産などの取り組みに対し、国内では法制度がありません。慈恵病院は受け入れに必要な費用は病院が負担しますが、東京の賛育会病院では原則、女性の負担となります。
一方、法制度の整ったドイツやフランスでは、公費でまかなわれています。望まない妊娠に悩む女性のたちの背景にある実情にどう向き合うのか。社会全体で考える必要があるのではないでしょうか。