北陸電力が志賀原子力発電所を報道関係者に公開 能登半島地震で何が起きたか
北陸電力は3月7日、石川県にある志賀原子力発電所を報道関係者に公開しました。能登半島地震から2か月余り、志賀原発では何が起きているのか、取材しました。土井記者のリポートです。
原子力規制委員会 山中伸介委員長
「あのような事故は二度と起こさない、原子力に100パーセントの安全は無いということを肝に銘じながら常に科学技術に基づいた判断をしてください」
東日本大震災から13年を迎えた11日、原子力規制委員会の山中委員長が指摘した「あのような事故」。
東京電力の福島第一原子力発電所は水素爆発などを起こし、大気中に放射性物質を放出しました。地震と津波で全ての電源を失ったためです。
原子力発電所で事故が起きた際、求められるのは、止める、冷やす、閉じ込める。実行するには電源の確保が重要です。
2024年1月の能登半島地震では、志賀原子力発電所で震度5強を観測。当時、原子炉は1号機、2号機ともに長期停止中でした。
北陸電力原子力部 中田睦洋部長
「原子力発電所で何があっても守らないといけないのは、放射性物質を外に出さない、これに尽きると思っている。使用済み燃料は、ちゃんと冷やしているし、閉じ込めている。絶対守らなければいけないところは地震があっても壊れてはいけません、そこは担保できました」
安全確保のために必要な施設の損傷はなく、使用済み核燃料と新燃料を冷すための電源も、外部、所内ともに十分確保しています。しかし…
土井あゆみ記者
「こちらは2号機の変圧器です。つなぎ目に亀裂が入って油が漏れ、外部電源を受電できなくなりました」
外部からの電気を受け取る変圧器の一部が1号機、2号機ともに故障しました。
1号機の起動変圧器は、放熱器の上部に亀裂が生じて、油が漏れましたが、現在、仮復旧しています。
一方、2号機の主変圧器は、復旧のめどが立っていません。
冷却器のつなぎ目から漏れた油は、1万9800リットルにも及び、内部も故障しています。外部電源は今も、5回線あるうち、2回線が使えないままです。
福島原発の事故を教訓に、外部電源に頼らないことが求められていますが、原子力規制委員会はこの変圧器の故障に注視しています。
山中伸介委員長
「外のいわゆる電路・鉄塔等が損傷がないのに、発電所内の変圧器が損傷したということの原因は私も非常に注視をしているところでございますし、この点についてはきちっと原因を究明して、分析をしていかなければならないと思っております」
志賀原発内の設備全体の復旧も、めどは立っていません。
北陸電力原子力部 中田睦洋部長
「2号機の主変圧器、あれの内部点検を終了したばかりで、並行して2号機のタービンが少し揺れたような形跡があるので、どの程度影響があるのかを今調査をしている。この2つの調査が取りまとまらないと(設備全体の復旧が)いつまでというところが出せませんので…」
北陸電力は現在、2号機の再稼働をめざし、新規制基準の適合性審査を受けています。
原子炉など重要施設の真下に活断層があると廃炉になりますが、以前、有識者に活断層の可能性を指摘された敷地内の断層について北陸電力は、活動性を否定。
原子力規制委員会は2023年3月、その主張を認めました。
北陸電力土木建築部 吉田進部長
「今回の地震を受けて敷地内断層が動いたかどうかは当然大事な話。動いていれば断層面が少し割れ目ができたり、引きずりができたり、動いた痕跡が分かります。しかし全て確認した場所は密着していて、動いた痕跡はありません」
北陸電力は、敷地内の断層は動いておらず、敷地内の11か所で確認した隆起と沈降も規模は大きくはないととしています。
このほか、情報の発信を巡っては、火災が発生したと誤った情報を発表するなど、修正や訂正が相次ぎました。
北陸電力原子力部 中田睦洋部長
「いろいろと二転三転する公表をした件に関しては真摯に受け止め、初動対応、いろいろな情報が錯そうするなかで迅速かつ正確、さらに丁寧な説明をするということで社を上げて何が悪かったか徹底的に洗い出して、第三者を入れたような訓練をしながら底上げしたい」
志賀原発を巡っては、能登半島で家屋の倒壊が相次ぎ、屋内退避ができないことや道路が寸断されてすみやかに避難ができない現状が浮き彫りとなりました。県内も氷見市の一部が避難の対象地域です。避難の課題については、あらためてお伝えします。
原子力規制委員会 山中伸介委員長
「あのような事故は二度と起こさない、原子力に100パーセントの安全は無いということを肝に銘じながら常に科学技術に基づいた判断をしてください」
東日本大震災から13年を迎えた11日、原子力規制委員会の山中委員長が指摘した「あのような事故」。
東京電力の福島第一原子力発電所は水素爆発などを起こし、大気中に放射性物質を放出しました。地震と津波で全ての電源を失ったためです。
原子力発電所で事故が起きた際、求められるのは、止める、冷やす、閉じ込める。実行するには電源の確保が重要です。
2024年1月の能登半島地震では、志賀原子力発電所で震度5強を観測。当時、原子炉は1号機、2号機ともに長期停止中でした。
北陸電力原子力部 中田睦洋部長
「原子力発電所で何があっても守らないといけないのは、放射性物質を外に出さない、これに尽きると思っている。使用済み燃料は、ちゃんと冷やしているし、閉じ込めている。絶対守らなければいけないところは地震があっても壊れてはいけません、そこは担保できました」
安全確保のために必要な施設の損傷はなく、使用済み核燃料と新燃料を冷すための電源も、外部、所内ともに十分確保しています。しかし…
土井あゆみ記者
「こちらは2号機の変圧器です。つなぎ目に亀裂が入って油が漏れ、外部電源を受電できなくなりました」
外部からの電気を受け取る変圧器の一部が1号機、2号機ともに故障しました。
1号機の起動変圧器は、放熱器の上部に亀裂が生じて、油が漏れましたが、現在、仮復旧しています。
一方、2号機の主変圧器は、復旧のめどが立っていません。
冷却器のつなぎ目から漏れた油は、1万9800リットルにも及び、内部も故障しています。外部電源は今も、5回線あるうち、2回線が使えないままです。
福島原発の事故を教訓に、外部電源に頼らないことが求められていますが、原子力規制委員会はこの変圧器の故障に注視しています。
山中伸介委員長
「外のいわゆる電路・鉄塔等が損傷がないのに、発電所内の変圧器が損傷したということの原因は私も非常に注視をしているところでございますし、この点についてはきちっと原因を究明して、分析をしていかなければならないと思っております」
志賀原発内の設備全体の復旧も、めどは立っていません。
北陸電力原子力部 中田睦洋部長
「2号機の主変圧器、あれの内部点検を終了したばかりで、並行して2号機のタービンが少し揺れたような形跡があるので、どの程度影響があるのかを今調査をしている。この2つの調査が取りまとまらないと(設備全体の復旧が)いつまでというところが出せませんので…」
北陸電力は現在、2号機の再稼働をめざし、新規制基準の適合性審査を受けています。
原子炉など重要施設の真下に活断層があると廃炉になりますが、以前、有識者に活断層の可能性を指摘された敷地内の断層について北陸電力は、活動性を否定。
原子力規制委員会は2023年3月、その主張を認めました。
北陸電力土木建築部 吉田進部長
「今回の地震を受けて敷地内断層が動いたかどうかは当然大事な話。動いていれば断層面が少し割れ目ができたり、引きずりができたり、動いた痕跡が分かります。しかし全て確認した場所は密着していて、動いた痕跡はありません」
北陸電力は、敷地内の断層は動いておらず、敷地内の11か所で確認した隆起と沈降も規模は大きくはないととしています。
このほか、情報の発信を巡っては、火災が発生したと誤った情報を発表するなど、修正や訂正が相次ぎました。
北陸電力原子力部 中田睦洋部長
「いろいろと二転三転する公表をした件に関しては真摯に受け止め、初動対応、いろいろな情報が錯そうするなかで迅速かつ正確、さらに丁寧な説明をするということで社を上げて何が悪かったか徹底的に洗い出して、第三者を入れたような訓練をしながら底上げしたい」
志賀原発を巡っては、能登半島で家屋の倒壊が相次ぎ、屋内退避ができないことや道路が寸断されてすみやかに避難ができない現状が浮き彫りとなりました。県内も氷見市の一部が避難の対象地域です。避難の課題については、あらためてお伝えします。