被災した志賀原発めぐり 北陸電力「新たな知見反映させ再稼働へ」
北陸電力は能登半島地震により損傷を受けた石川県の志賀原子力発電所について、活断層などの「新たな知見を反映させて再稼働につなげたい」という見解を示しました。
北陸電力は31日、2024年3月期の第3四半期の決算発表に伴い、記者会見を開きました。
志賀原発では、志賀町で震度7を観測するなか、1号機の原子炉建屋の地下で震度5強を観測し、安全確保に必要な電源設備も相次ぎ被害を受けました。変圧器は、1号機、2号機ともにつなぎ目に亀裂が入るなどして油が漏れて、外部電源の一部が使えなくなりました。
余震では、1号機の非常用ディーゼル発電機が試運転中に自動停止しています。
北陸電力は、いずれも必要な電源を確保し、使用済燃料の冷却など安全性に問題はないとしています。
さらに、能登半島北部にある海底断層について、北陸電力は連動するのは、合わせておよそ96キロと評価していましたが、今回の地震で推定される震源断層は、およそ150キロと想定を大きく上回りました。
こうした事態に松田社長はー。
北陸電力 松田光司社長
「今後の審査、安全対策、しっかりやっていかないと地元のみなさまが理解されないので、地震による新しい知見を的確に反映して、みなさまに説明して安全安心を確保しながら再稼働につなげていきたい」
北陸電力は現在、2号機の再稼働をめざし、新規制基準に適合するかどうか審査中です。原子力規制員会の山中伸介委員長は、震源の断層について「確定するにも年単位でかかり、審査はそれ以上の時間がかかる」と述べ、審査の長期化を指摘しています。
北陸電力は去年6月に規制料金を値上げする際、志賀原発を2026年1月に再稼働させると盛り込んでいました。
北陸電力 松田光司社長
「料金の上昇幅を抑えるという意味もありまして、審査があの当時、最速で進めば無理ではないと(盛り込んだ)。2026年1月が目標ではない。期限を決めずにしっかりとした安全対策、知見を反映させる。(原子力発電の)重要性は引き続き変わらない」
第3四半期の連結決算は、営業収益が5937億円、純利益が603億円となり、4年ぶりの増収増益、3年ぶりの黒字となりました。今後の見通しについては、石川県七尾市にある七尾大田火力発電所が損傷し、復旧のめどが立たないなど、地震に伴う特別損失をまだ算定できないとして通期の純利益を未定としています。