引退後の競走馬は 富山市で命支える活動 引退後は「モデル」!?
競走馬のセカンドライフを考えます。競馬などで走るサラブレッドは引退すると、多くは殺処分されているのが現状です。馬の新たな役割をみつけることで、命を支える取り組みと富山で活躍する元競走馬を山田記者が取材しました。
ドレスや和装で記念写真を撮影するフォトウエディングです。新郎新婦の2人がまたがっているのは…元競走馬のサラブレッド。一生に一度の記念写真を馬と一緒に撮りたいと、今、全国から富山へ馬が好きな人たちがやってきています。
長野県から
「こうしてウエディングという形で撮ってもらえるのが嬉しい」
馬を提供しているのは、富山市にある乗馬クラブです。中村さん夫妻が3年前に開きました。
芦倉ホースヴィレッジ 中村舞乃さん
「この子は元競走馬なんですけど、4年前くらいまで浦和競馬場で走っていて」
フォトウエディングの撮影を手伝うのはアルブクール、愛称はアルちゃんです。競走馬としての現役時代は38戦1勝で、実績を残すことができずに4歳で引退しました。
中村舞乃さん
「(引退後は)馬はどこにいったか、SNSとか出てこなくて詳細がわからない馬は沢山いると思うんですけど」
引退馬協会によると、全国では年間およそ7000頭のサラブレッドが生産され、ほとんどは5歳から6歳で引退しています。馬の平均寿命は25歳から30歳ですが、飼育するにはエサ代など年間100万円ほどの経費がかかります。そのため、競走馬は引退後、ごく一部は乗馬クラブに行きますが、その他の多くは食肉として殺処分されているのが現実です。
認定NPO法人引退馬協会 沼田恭子代表理事
「寿命を全うしないで亡くなっていたことが現実にあった。馬は年をとっても美しい動物だし、人間にとっても優しい生き物で、乗る以外の仕事が増えてもいいんじゃないか」
中村さん夫妻の乗馬クラブでは現在、8頭の馬を飼育しています。中には他の乗馬クラブから引き取った馬もいます。
中村舞乃さん
「うちに来てくれた子たちは自分たちに出来る仕事、ウエディングフォトだったり、得意な仕事を見つけてあげて、そうすれば生涯、この子たちはずっと稼いで食べてていけるわけですから」
フォトウエディングを始めたきっかけは、中村さん夫妻が結婚した際、馬と一緒に撮影したことでした。現在は県内でウエディングを手掛ける会社と一緒に行っています。
富山の豊かな自然の中で撮影できるため全国の人たちから注目され、人気を集めています。
中村舞乃さん
「人生で大切な時に一緒に写真を撮らせてもらって、そういった幸せな中でお仕事できるのは馬たちにとってもいいんじゃないか。少しでも多くの馬がいろんな形で、その子に会った活躍ができればいいな」