能登半島地震 富山市沖の富山湾で海底崩落か その痕跡は
1月5日の放送で、地震発生直後に県内に到達した津波の第1波が海底地滑りの可能性が高いという専門家の指摘をお伝えしました。それを裏付けるような海底での斜面崩壊の痕跡が海上保安庁の調査で確認されました。
海上保安庁は、1月15日から17日にかけて、測量船から海底に音波を発射して海底地形を調査しました。その範囲は、沿岸部を除く富山湾のほぼ全域です。
海上保安庁 佐藤勝彦 沿岸調査課 課長補佐
「神通川の河口域に、津波がわずか3分で到着したということから、海底地形に何かしらの変化が生じているんではないかと思われたためです」
今回、調査したデータと、2010年のデータを比較したところ、海底の斜面の一部が崩壊していることが分かりました。
それが、神通川の河口から4キロ沖合いにあるこの場所。水深260mから330mにある海底の谷です。長さおよそ500m、幅およそ80mにわたって崩れていたのです。
映像を俯瞰して立体的に見ると、黒い影となって斜面が崩れているのが分かります。断面図で見ると、斜面が崩れ落ち、最大40mほど深くなっていることが分かります。
海上保安庁 佐藤勝彦 沿岸調査課 課長補佐
「やはりあったかというのが正直な感想です。陸上の崩落を想像してみると、今回の崩落範囲が長さ500m、幅が80m、落差が40mにもなると、それなりの規模の斜面崩落ではないかなと思っています」
数家キャスター
「神通川の河口です、ここからわずか4キロの沖合いで海底斜面が崩壊し、津波が発生したとみられます、その津波の第1波を捉えた映像が、こちらの国交省のカメラが撮影していました」
これが、その映像です。地震が発生した1月1日午後4時10分すぎ、激しい揺れが1分ほど続きます。そのおよそ3分後、画面の左側下にある波消しブロックを見ると、水面が徐々に下がっています。富山に押し寄せた津波は、引き波から始まったのです。
神通川河口の富山港にある津波観測地点です。その観測結果を見ると、地震から3分後に、50cmほど水位が下がる引き波が観測されていました。国交省の映像からも推定で数10cm、水位が下がっていることが分かります。
そして、地震からおよそ10分後に津波の押し波が到達していたのです。最大波が記録されたのは、25分後の4時35分ごろで80cmでした。
津波研究の第一人者、東北大学の今村文彦教授は、1月5日のKNBの取材に。
東北大学 災害科学国際研究所 今村文彦教授
「今回、第1波が引き波で始まったことは、海底地滑りを示唆していて、海底が地滑りをすると、かなりの(土砂)量が深いエリアに落ちていく、落ちるとともに海面が下がりますので、その下がった引き波が富山を中心に伝播してきたものと考えられる」
海底斜面の崩落が地震によるものかどうかは、今のところ断定できませんが、可能性は高いということです。
数家キャスター
「この他の斜面でも、崩壊している可能性についてはどう考えていますか?」
海上保安庁 佐藤勝彦 沿岸調査課 課長補佐
「今回の調査範囲の外ですね、調査範囲以外、特に陸寄りの海域で崩壊している可能性は否定できないと思っています」
海上保安庁は、今後、海底が崩壊した地点にカメラを入れるなどして、さらに調査を続けたいとしています。海底崩壊によって津波が発生することも念頭に入れて避難行動につなげてほしいと思います。