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世界的な建築家が能登から日本の仮設住宅事情を変える!被災地の住環境の改善へ

2024年8月1日 18:34
世界的な建築家が能登から日本の仮設住宅事情を変える!被災地の住環境の改善へ
世界的な建築家坂 茂さんが今、能登半島地震の被災地で様々なプロジェクトを進めています。一体どのような取り組みなのでしょうか?そして、その取り組みに込めた思いとは…

7月20日、珠洲市の倒壊した住宅の周りに多くの人が集まり作業を進めていました。

瓦の回収です。
その様子を見守っていたのは坂 茂さん。世界的な建築家で、これまでに何度も能登に足を運んでいます。

建築家・坂 茂さん:
「とにかく能登に通うようになって、この能登の風景がこのまま放っておくと能登瓦も使われない、伝統的な木造住宅も無い。あまりにもさみしいので少しでも残していきたいと」

集める瓦は「能登瓦」。回収して保管し、新たな住宅などを建てる際や修繕する際に再利用してもらう計画です。

県内外の学生をはじめ、瓦職人も協力していました。

小松市の鬼瓦職人・森山茂笑さん:
「両面に釉薬がかかっていて黒く光る黒瓦が瓦業界の能登瓦の定義。(能登は)海に近いから塩害とか、寒いので冷害とか、それに強い。これを再利用することによって能登の新たな復興の手助けのひとつになればなと思ってやっています」

黒い瓦屋根は能登の大切な景観のひとつ。公費解体が進められる中、今が瓦を集める貴重な機会となっています。

一方、こちらは珠洲焼作家の支援に向けて建てられた 仮設の工房です。材料に使われているのは「紙管」と呼ばれる紙製の筒で、土台には砂袋を詰めたビールケースが敷き詰められています。

珠洲焼作家・篠原敬さん:
「この窯を直さないといけないので、全国からたくさん手伝いに来てくれるのでその人たちの休憩場所、宿泊場所に使います。その後は、焼けた作品のストックとか、細かい作業をするのに使おうと思っています」

職人のなりわいを支えます。実は、坂さんが考案したこの紙の建物は珠洲市で2023年5月の地震の後にも仮の住まいのひとつとして建てられました。

坂さん:
「紙管という材料は全部再生紙でできているけれども、安くて強度もしっかりしている」

学生たちも協力し、建設期間はわずか2日というスピード感。2024年の元日の地震では隣の建物が崩れてきたものの、この家自体は無事だったといいます。

そして、坂さんが設計を手掛け、今、着々と整備が進んでいるのがこちらの仮設住宅。木造2階建ての建物で、入居期間の2年間を過ぎても恒久的な住宅として利用することができます。

坂さん:
「従来の仮設はプレハブ住宅、2年間で出ないといけない。その後解体してほとんどのものがごみになってしまう。日本の仮設住宅をつくるシステム自体を何とかしないといけないと考えている」

すでに入居し、暮らし始めている人たちもいます。

坂さん:
「どうですか住み心地は」
住民:
「とても素敵です。木が気に入りました。落ち着いて何でもできます」

坂さん:
「住み心地どうですか?」
住民:
「良いです」
坂さん:
「僕らが作らせてもらったので。笑顔を見せて頂いてやりがいがあったなと。被災者にいつも言うんですけど、「もっとわがままになってください」と。こういうものが欲しい、こんなものが困っていると。レベルを上げていかないと。仮設住宅もそうだと思う。もっといいものを作って行政にも見せなきゃいけない。日本全体のレベル上げるために僕がやっていかなきゃいけないと思っているので」

能登の復旧復興に向けて欠かすことのできない住まいの再建。
世界的な建築家が能登の課題解決を図るとともに、さらなる住環境の改善へと動いています。

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