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長崎市浜町の『バッグの市丸』が132年の歴史に幕 "話しかける接客"を惜しむ常連も《長崎》

2024年7月15日 20:18
長崎市浜町の『バッグの市丸』が132年の歴史に幕 "話しかける接客"を惜しむ常連も《長崎》

「浜町の顔」がまた一つ、長い歴史に幕を下ろします。長崎市中心部で130年あまり続く老舗カバン店が15日で閉店します。店には朝から常連など多くの客が訪れました。

長崎市万屋町、ベルナード観光通りのほぼ中央に店を構える「バッグの市丸」。15日で132年の歴史に幕を下ろします。

(市丸嘉紀社長)
「132年頑張ったのもひとえに客のおかげ。頑張って最後を迎える」

明治25年、1892年に今と同じ場所で玩具店として創業。

戦時中にいったん廃業しますが、戦後、ネクタイとバッグの店に業態を変えました。

その後も、火災や長崎大水害などの苦難を乗り越えてきましたが、建物の老朽化や後継者不足のため閉店することになりました。

15日、オープン20分前。

4代目、市丸嘉紀社長最後の朝礼です。

(朝礼)「132年、その中の一番最後」

閉店セールを始めた5月、2000点近くあった商品は多くが売れてしまいましたが、それでも次々と客が訪れます。

(常連客)
「いい思い出がいっぱいある」
「さみしくなる、きょうが最後?」

スーツケースを求めてやってきた女性。市丸社長が声をかけます。

(市丸社長)
「こっちのほうが厳密に言うと壊れにくい。フレームよりファスナーのほうが痛みは少ないし投げられたときも傷みにくい」

客を放っておかず話を聞いた上で、希望に合った商品をすすめる。市丸が長年続けてきた接客のスタイルです。

(市丸社長)
「専門店の良さ(がある)。接客しながら販売するので、自由に見てくださいという商売は商売じゃない。そこは最初から最後まで信念として持っていた」
(客)
「おすすめポイントとかいいところをいっぱい聞いて参考になった。修学旅行に行くための大きいバッグを両親と選びに来た思い出がある」
「さみしい。長い間お疲れ様でした」

開発が進む長崎駅周辺とは対照的に看板を下ろす店が相次いでいる浜町。市丸社長は「まちなか」のにぎわいが長崎市全体の発展にとって欠かせないと期待を寄せます。

(市丸社長)
「浜町が廃れてしまうとほかの地域も廃れるのでは。ほかのお店の頑張りで盛り上がるのを期待している」

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