経営統合“破談” 業績悪化の日産…次の手は 「ホンハイ」には警戒感も
ホンダと日産自動車は13日、昨年末から検討してきた経営統合の撤回を正式に決定しました。統合を主導してきたとされるホンダの三部社長が急遽、会見を行いました。今回の撤回の背景を詳しく解説します。
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日産とホンダは去年の12月から経営統合に向けた検討を進めていました。背景の一つには、それぞれ単体での生き残りに危機を感じていたことがあります。
自動車メーカーの販売台数でみるとホンダは7位、日産は8位となっていて、統合すれば世界3位の巨大グループになる見通しでした。
もう一つの背景は、日産の業績悪化です。
アメリカでの販売不振などもあり今年度前半までの決算で、営業利益が一年前と比べて9割を超える減益となり、再建のために国の内外で9000人規模の人員削減を行うとしていました。
そうした中、経営統合の検討が進められていましたが、13日午後にホンダと日産が撤回を発表しました。
撤回の背景の一つは、当初の合意からの方針転換がありました。
当初、両社は対等な立場で新たに設立する持ち株会社の傘下に入る形を検討していました。しかし、ホンダでは当初から幹部の反対の声があった他、経営統合の話が明らかになると、ホンダの株価は下落し、ホンダの経営陣や株主から反発する意見が上がりました。
また、日産のリストラ案の進ちょくが遅れていることなどからホンダ側が不信感を募らせ、「日産をホンダの子会社にする案」を提示したのです。
関係者によりますと、これならばホンダの株主の理解も得られるという感触などから浮上した案だといいますが、ホンダの子会社になることには当然のことながら日産内部から、強く反対する声が上がりました。これが決定打となって破談となったのです。
13日にそれぞれの社員の受け止めを聞きました。
日産社員
「残念としか言えない。一過性ですぐ回復できる見込みがあるのであれば楽観できると思うけど、そうではない感じがしている。不安しかない」
ホンダ社員
「会社双方の体質が違うので、それを一つにというのは難しいと思っていた」
それぞれ、一社での生き残りが厳しいと言われている中で、今後はどういった展開が考えられるのでしょうか。
ホンダも日産も、今後、世界で戦える競争力をつけなければいけませんが、急速に経営悪化している日産は、すぐに次の手を打つ必要があります。その日産をめぐっては、台湾の「ホンハイ精密工業」が提携を模索していることが明らかになっています。
ただ、外資系との提携には不安の声も聞かれています。
日産と取引のある自動車関連企業
「もし外資系だったりと組むのであれば、自動車産業は日本の宝なのでそこの技術流出はすごく怖い。恐怖だなと思う」
政府関係者の一人もホンハイとの資本提携には抵抗感を示していて、技術力を共有し合う提携などの形で競争力を上げることが重要としています。
日産は「ホンダとの提携を撤回して、どう業績を改善するつもりなのか」が注目されます。
(2月13日午後5時すぎ放送『news every.』より)