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原爆資料館の展示更新へ基本計画の素案示す 加害の側面も「多角的な視点から」展示へ《長崎》

2023年11月30日 20:47
原爆資料館の展示更新へ基本計画の素案示す 加害の側面も「多角的な視点から」展示へ《長崎》

2025年に予定されている長崎原爆資料館の展示内容の更新について、長崎市が策定した基本計画の素案が30日、示されました。
日本の戦争加害の歴史の展示に対し、委員から様々な意見が挙がりました。

長崎原爆資料館について、長崎市は2025年の被爆80年に合わせて展示内容を更新することにしています。

30日開かれた資料館の運営審議会では、展示のあり方を検討する小委員会での議論を踏まえて、市が策定した展示更新の基本計画の素案が示されました。

更新対象の展示のうち、特に意見が分かれているのが、「原爆投下に至る歴史」に関する部分です。

現在、資料館では「日中戦争と太平洋戦争」と題したコーナーで「南京大虐殺」を含めた日本の戦争加害の歴史も展示しています。

素案では、「戦争には被害と加害の両方の側面がある」として「多角的な視点から考えることができるよう客観的事実に基づいた展示とする」方針が示されました。

展示の具体的な内容は示されず、来年度以降、引き続き議論されることとなりましたが、この点に関して、委員からは様々な意見が出されました。

(長崎原爆被災者協議会会長 田中重光委員)
「日本の加害責任は大人でも知らない人が結構いる。今まで通りの(内容で)述べてもらいたい」
(長崎の原爆展示をただす市民の会 渡邊正光委員)
「本当の日本の歩んできた道と今教えられていることは全く内容が違うので、見直しをしてほしい」
(慶応義塾大学法学部教授 細谷雄一委員)
「(歴史的事実を)どう解釈するかは多義的な解釈が依然として残るだろう。しかしそれをどう見るかというときに多角的な視点で論じることは重要な意義を持つ」

素案ではこのほか、デジタル技術の活用や、周辺の被爆遺構への誘導を充実させることなども示されています。

市は、委員の意見などを踏まえて最終的な基本計画を策定し、来年2月の審議会で示す予定です。

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