“ひとりの少年のため”誕生したヒーローを絵本に 養護学校に通う生徒の「友情物語」が復刊《長崎》
川棚町にある「県立桜が丘特別支援学校」の生徒たちの友情を描いた絵本『ワタルがわらった』です。
20年前に出版され、その後は絶版となっていましたが先月、復刊しました。
当時、絵本を手掛けた教員たちが町の教育委員会を訪れ、寄贈しました。
3月下旬、川棚町の県立桜が丘特別支援学校の校長室を訪れたのは…
桜の花びらをモチーフにした顔に、草色のマント。
名前の頭文字の「S」を胸の前で示すのが決めポーズの「さくらンダー」。この学校のヒーローです。
この日は、松尾 徳男校長にある絵本の復刊を報告しました。
(野本 晃希教諭)
「ワタルがわらったが絶版だったが、今回復刊することになった。学校にもまた置いてもらいたいので持ってきた」
絵本『ワタルがわらった』。
舞台は、26年前の桜が丘特別支援学校。4人の生徒たちの友情物語を描いた作品です。
体を動かすことが苦手な4人は、頭を使って活動する「右脳クラブ」を結成。
絵を描いたり、歌をつくったり…。
みんなで協力しながら楽しんで活動していました。
しかし、主人公の「ワタル」だけは話ができず、手足も思うように動かせず、みんなのようには遊べません。
《 ワタルくんって、どがんしたら笑うとやろか? 》
いつしか、ワタルを笑わせることがクラブの目的に。
そこで誕生したヒーローが「さくらンダー」です。
文化祭の日。ステージには「さくらンダー」の姿が…。
会場は大盛り上がり。計画したメンバーの3人も、満足そうに笑っています。
《 それは、自分たちが考えたヒーローがたくさんの人をたのしませているから…。
いいえ・・・ワタルが笑っていたからです 》
「ワタル」こと宮﨑 渉さんは現在43歳。
川棚町で暮らしていて、2019年に絵本の原画展が開かれた際は、高校時代を過ごした母校を訪れていました。
ワタルさんたち4人が在校時に「右脳クラブ」の担当教員だった野本 晃希さん。