一畑百貨店閉店まで残り1か月 そこにあった人々の思いとは 島根県松江市
2024年1月14日の閉店が決まっている島根県松江市の一畑百貨店。閉店まで残り1か月を迎えた店舗の今を取材しました。
Q.めくるたび実感って湧くものですか?
一畑百貨店 販売促進部 前田 聡 部長
「そりゃね、やっぱり1日1日カウントダウンなので。身に染みて閉店までっていうのがありますけど。やっぱり1日1日皆さんもこれを見てそう思っていただけてるんだと思います」
閉店の日が迫る松江市の一畑百貨店では、閉店までの想いを多くの人と共有しようと11月初旬から日めくりのカウントダウンを行っています。
一畑百貨店 井上智弘 専務
「今家庭用品が特に売れてります。こちらは切子なんですけど今日からちょうど50%オフということで非常にこれから活発化するものと考えております」
現在は全館で閉店セールが行われていて、5階のリビングフロアでは多くの商品が2割~5割の大幅割引となっています。
そうしたなか、最後まで百貨店ならではの接客を心がける人も。吉山節子さんは一畑百貨店勤務33年を誇るベテラン販売員です。
~接客の様子~
吉山さん
「これとこれ重ねて着られてもいいですよ。シャツはいっぱい持っておられますか」
客
「ここのものだよ。みんな」
この日も馴染みの客が、吉山さんの見立てで買い物を楽しんでました。
客
「いいですよ。いつも買うのでみんなわかっちょーけんね」
接客をする吉山さん
「3点入ってますからね。ありがとうございました。良かったですお会いできて。1月の14日までです。また一緒にいらして下さい。お正月の話も聞きたいし。ありがとうございました」
吉山節子さん
「やっぱり接客長い間してるとそのお客が人(販売員)につくんですよ。頼ってきてくれますのでね。そこが商売の良いところ、面白いところじゃないですか。仕事していても醍醐味です」
一方で閉店を待たずに営業を終了したテナントもあります。オーダースーツの専門店は、注文してから納品まで1か月以上かかるため、11月いっぱいでの閉店を決めました。
荒木淳司 専務
「寂りょう感っていうんですか?寂しさっていうのはありますよね。自分たちもちょっと何かできたんちゃうかな?なんていう風に思ったりもするんですけど」
一畑百貨店に出店して30年以上。近年では(バスケットボールBリーグ)島根スサノオマジックのオフィシャルスーツも作っていました。その縁もあってか、閉店作業中に島根スサノオマジックのチームのエース、ビュフォード選手の姿がー。
荒木淳司 専務
「黒いズボンが2本いるんですけれども、ちょっと早や早やでっていうことだったので」
Q.泣く泣く断ったんですか?
「そうですね~、日にちのことがあるので…」
今後は倉庫のある鳥取県米子市で営業を続けますが、百貨店で得た人脈は大事にしていきたいと話します。
荒木淳司 専務
「最初の頃はやっぱり寂しさとかどうしようとか複雑な感情はあったんですけど、もう前を向くしかないので、次はもうどうして行こうかな?っていう風な感覚の方がどっちかと言えばウエイトは高いかもしれないですね」
様々な別れが伴う閉店。一畑百貨店1階のメッセージボードには、常連客からの別れと感謝の思いがつづられています。
客
「おばあちゃんとおじいちゃんがラコステが好きで、私もよく買ってもらったりしてて。化粧品も初めて買ったのがここのSK‐Ⅱの化粧品買ってもらったのが初めてでした。多分通り過ぎる度に寂しいなーって思うんだろうなと思って」
「お世話になりましたっていうのが、ここまで大きくしてもらった活力の1つかもしれないので。ありがとうございましたっていうのを思いながら、一畑さんの姿を見ようと思います」
あと1か月で65年の歴史に幕を下ろす一畑百貨店。
一畑百貨店 井上智弘 専務
「今弊社の従業員は再就職先のこともやりながら現場の仕事も今忙しくなっていて大変なんですけど、来月の1月14日まできちんとお客様に寄り添って商売をしていきたいと」
吉山節子さん
「たぶん最後1月になるとお客さん多いと思いますよ。帰省客も寄ってくれますでしょうし。ごった返すほど人が来てくれるといいですけどね」
そこには百貨店のプライドと、少し早い別れがありました。