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クマ捕獲へ箱わな設置 北八甲田入山規制で観光業に影響

2024年7月1日 19:10
クマ捕獲へ箱わな設置 北八甲田入山規制で観光業に影響

北八甲田のクマによる死亡事故を受け青森市が駆除用の箱わなを設置しました。一方、入山規制で観光にも影響が見え始めています。

★青森放送 木下玲斗
「人を襲ったクマの捕獲に向けて現場周辺では箱わな設置の準備が進められています」

先月25日、八甲田の地獄沼近くでタケノコ採りに入った女性が体長1.5メートルほどのクマ1頭に襲われ亡くなりました。きょう現場周辺では青森市や猟友会の13人が人を襲ったクマを駆除するため箱わなを設置しました。わなは縦横60センチ、奥行き1メートル80センチの鉄製で、クマをおびき寄せるエサは蜜ろうとドッグフードです。4つの箱わなを用意し、あすまでに規制区域内4か所に仕掛けます。

★青森市環境部 柴田一史次長
「先週、先々週の人的被害を踏まえまして、まずは関係者会議の中で捕獲するのが第一だということを決定しました 1日でも早く捕獲をして安全な山に戻してきたい」

市と猟友会では2、3日に1回クマが捕獲されていないか箱わなを確認するということです。入山が規制されているのは死亡事故の現場から半径3キロの範囲と区域内につながる登山道の入り口7か所です。県はきょうも関係機関による会議を開いて国道103号は通行できることを周知するなど情報を共有しました。

★八甲田山ガイドクラブ 石館宙平さん
「被害を与えてしまったクマはもう駆除するしかないと思いますが、八甲田と人との関わりが変わっていく可能性は大いにあります 今までなんとなく保たれていたバランスが崩れてしまった」

ガイド歴29年の石館さんはこれまでにない状況に危機感を抱いています。入山規制が始まってから最初の休日となったおととい、八甲田大岳につながる登山道にはロープが張られていました。一方で多くの観光客でにぎわっている様子も見られ、反応はさまざまでした。

★千葉から
「(クマの事故ことは)全然知らなかったです 怖いです」
★東京から
「(登山は)クマが出るということで念のためやめておきました」
★東京から
「山道でもクマが出るかもしれないと思いながら、注意をして運転したので怖さが半面あって、楽しさは半減した部分はあります」

酸ヶ湯温泉では宿泊のキャンセルなどの影響はまだあまりないということですが、規制が長引くことによる不安は拭いきれません。

★酸ヶ湯温泉営業チーム 高田新太郎主任
「これから登山する人たちが増えてくると思うのですが、今後どうなるかはわからないです」

観光客に人気の八甲田ロープウェーは山頂公園駅から田茂萢岳周辺を巡る散策コースには通常通り行くことができます。ただ、その先の赤倉岳や大岳に向かう登山道が閉鎖されたため、訪れる人には往復の乗車券を購入するよう呼びかけています。

★八甲田ロープウェー業務課 鈴木壮太郎主任
「これから特に登山のシーズンが始まるということで、多くのお客様がいらっしゃっていただく予定ではあったんですけどお客様の数は少し減ってくるのかなと危惧しております」

★八甲田山ガイドクラブ 石館宙平さん
「もちろんツアーは行けないですし、きょうもキャンセルがあったし、夏休みで来る予定だった方もキャンセルが結構入っています しょうがないですよね 山にも入れないですし、どうしたものかなというところではあります」

青森県を代表する観光資源でもある八甲田。入山規制により周辺への風評被害も懸念されるなか影響がどこまで広がるのか、関係者の不安は続いています。

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