【特集】東日本大震災から13年~備えは進んでいるか~「次世代に伝える防災教育」
東日本大震災から13年、県内での防災対策の現状を検証します。
震災の教訓をどう次世代に伝えていくのか、そして伝える意義について考えます。
2011年3月11日午後2時46分。
東日本大震災はそれまでわたしたちが持っていた災害への意識を大きく変化させました。
きょうであの日から13年です。
青森放送 菅原厚 キャスター
「いまの小学生は震災の後に生まれたこどもたちそれだけに伝えていくことは欠かせません津波避難ビルに指定されている八戸市の根岸小学校で防災教室が開かれます」
八戸市では震災後から学校での防災教室を続けています。
この日開催した根岸小学校があるのは海から1.5キロ。
新しい巨大地震の想定では津波の浸水エリアに入っています。
県防災士会 立花悟 八戸支部長
「根岸小学校の周りにどれぐらいの津波がくるって聞いたことある?」
「もしも大津波が来るとピンクに塗られているところには津波が来るかもしれない」
13年という年月。
小学生は全員が震災を体験していない世代です。
根岸小学校の児童
「(当時)自分はまだおなかの中にいてふだん船とか絶対にないような所に船が揚がっていたり写真とか見てもこれが本当に八戸なのかと驚きました」
「こういうことがあったんだなってちょっと怖い思いとともにそういうことを乗り越えて僕たちが生まれてきたんだなって思って改めて幸せに思いました」
県防災士会 立花悟 八戸支部長
「こどもたちに生き残るための知恵を少しでも持っていただきたくて講話を続けています」
震災が歴史のできごとになるなか、専門家は改めて「防災教育」が必要だと呼びかけています。
弘前大学教育学部 小岩直人 教授
「3.11以降は自分で逃げる力 どこで災害が発生するかもわかりませんし地域を離れていろんなところに行って生活する将来に向けて生き延びる力をつけなけばいけない そういうことを踏まえながら小中学校で学ぶことが大事」
県は3年前から海に近い地域は津波、大きな川に近い地域は河川洪水など、地域ごとに異なる「防災教育モデル」作りに取り組んでいます。
現在は小中学校で実施していますが、来年度からは高校で行われます。
次の世代に受け継ぐために地域ぐるみの協力も必要です。
全国の優秀な防災教育「ぼうさい甲子園」で連続受賞している青森市の東中学校では地域の大人たちと一緒に避難所の運営訓練を行うなど「支える側」の意識を高めています。
青森市立東中学校 福士小和 1学年会長
(東日本大震災のときは何歳でしたか?)
「生まれていません 去年8月に岩手県釜石市に行ってきて 釜石の生徒も自分で動きたいという意思を持っていてその考えを青森でも使っていけたら良いなと考えています」
原別まちづくりを進める会 大坂美保 会長
「命をつなぐ手だてをこどもたちと地域住民とともに進めていきたい 誰一人取り残さない地域防災をめざしています」
むつ市では次世代の防災リーダーを育てる取り組みが進んでいます。
「下北BOUSAIネットワーク」は市内4校の高校生たちが避難訓練を企画したり、防災士の資格をとるなどしています。
先月24日には74人の児童が犠牲になった宮城県石巻市の震災遺構大川小学校を訪れました。
下北BOUSAIネットワークの生徒
「現地に行って学ぶことって必ずみんなができることじゃないからこそ私たちが学んできたことを伝えて青森だけじゃなくて日本全体島国としての防災意識も高まるんじゃないかなと思うので伝えて、語られてというのが大事かなと思います」
元日には能登半島地震が発生し、いまも1万人以上が避難生活を送っています。
さらに「南海トラフ」や「千島海溝」「日本海溝」といった巨大地震が近い将来高い確率で発生すると予想されています。
そのとき、どう行動するのか。
防災教育は命を守るための最初の備えです。