【歴史的大接戦】アメリカ大統領選挙の結果がもたらすもの…外交・経済など日本や静岡への影響は?専門家に聞く
大接戦となっているアメリカ大統領選挙は開票が進み、日本時間の午後4時半ごろ、トランプ氏が演説し、勝利宣言を行いました。演説を行ったトランプ氏は、国民への感謝、家族への感謝などを述べました。気になるのは日本や県内への影響です。外交や経済面でどのような影響が考えられるのか、専門家に聞きました。
決選前、最後の夜。ハリス副大統領が足を運んだのは、激戦州「ペンシルベニア州」。
(民主党候補 ハリス副大統領)
「勝つ準備は出来てる?」
最後の演説会場には、リッキー・マーティンさんやレディー・ガガさんなど名だたるアーティストも登場。
(民主党候補 ハリス副大統領)
「全てのアメリカ人のための大統領となることを誓います」
一方、返り咲きを狙うトランプ氏。
(共和党候補 トランプ 前大統領)
「私たちには政策があるのでスターの力は必要ない」
ハリス氏への批判は変わらず。1日で3つの激戦洲を回る強行スケジュールで応戦しました。
(共和党候補 トランプ 前大統領)
「あなたの大統領として、毎日息をするたびに戦う、共に愛する偉大な国を救おう」
歴史的な接戦となったアメリカ大統領選。気になるのは日本への影響です。
まずは、外交・安全保障分野に関して。ロシアによるウクライナ侵攻や北朝鮮の相次ぐミサイル発射など国際情勢は緊迫しています。外交や安全保障に詳しい、キヤノングローバル戦略研究所の峯村健司さんは…。
(キヤノングローバル戦略研究所 峯村 健司さん)
「トランプ・ハリス、どっちも共通しているのは、外交だけで見ると最大の一番の問題ある国というのは「中国」であると一致している」
その上で峯村さんは、2人の姿勢には大きな違いがあるといいます。
(キヤノングローバル戦略研究所 峯村 健司さん)
「ハリス氏の場合は、同盟国や友好国との関係を重視、それによって中国と対抗していくのがハリス氏のアプローチ」「もちろん、そうなってくると、アメリカ側から最も重要な同盟国であると言っている「日本」にも負担を求めるというところですね。アメリカと中国の軍事バランスの差が縮まってきている状況なので日本頑張れという状況になるのがハリスになる」「トランプ氏の場合どうなるかというとむしろ同盟よりも一か国。アメリカでやっていくんだというのがアプローチ。まずは、そこで言うとロシアウクライナ戦争、イスラエルハマスの中東の混乱を、まず早急に収めると。それによって中国と対峙していくというところがひとつのポイントです」「ただひとつ気を付けなければいけないのは、日本に対して同盟国はそれほど重視しないというところで言うと、日本との関係というのはこれまでよりも、もうちょっと薄くなるかもしれないというところがある」
一方、与党が衆議院の過半数を割った日本。新しい大統領との関係を深められるかも懸念点だといいます。
(キヤノングローバル戦略研究所 峯村 健司さん)
「トランプ氏になった場合、私は大問題だと思う」「亡くなられた安倍元首相からも直接聞いたことがあるが、トランプ氏は、とにかく『強いリーダー』が好きだと。じゃぁ強いって意味は何かというと、一番重要なのは任期を長くやる、さらに国内の支持基盤が強い、支持率が高い当然与党が多数であるということが重要なファクター。そうなってくると、今の石破政権にはそれがないとなると、トランプ氏が(日本を)重視しない可能性はあると思う」
一方、経済への影響は…?
静岡・湖西市にある機械加工メーカー「富士部品製作所」。水野社長も“大統領選の行方”を注目しています。
(富士部品製作所 水野 恵助 社長)
「中小企業だと、そんなに海外との取引が直接あるわけではないが、われわれのお客様が海外と取引しているので、政策によってかなり影響が出る可能性があるということで、気になっていますね」
この会社では、大手企業に納める自動車部品などを作っています。関税の引き上げられたり、「円高」になると、取引先の企業が“日本からの輸出”より“アメリカでの現地生産”に切り替える可能性があり、影響を受けるかもしれないといいます。
(富士部品製作所 水野 恵助 社長)
「我々みたいな小さな会社だと、自分たちの力で現地(アメリカ)に出ることも考えないといけないが、体力的に難しい部分もあるし、そうなると日本での生産量が減ってしまう懸念があるので」「(従業員の)賃上げ分を販売価格に反映して販売価格を上げてほしいとお願いしたとしても」「お客様の利益も減っている中で歓迎するのは難しくなってくると思うので」「賃上げも今まで通りできなくなってしまうという懸念があると思います」
静岡経済研究所の恒友仁専務理事は、関税引き上げを訴えるトランプ氏が大統領になった場合、影響は大きいとみています。
(静岡経済研究所 恒友 仁 専務理事)
「静岡というのは“ものづくり”県ということで、製造業が静岡県経済の4割ぐらいを占めている、その製造業に対して、原材料高以外に関税によるコストが上乗せされれくる。そうなると厳しい、マイナス面になると思う・特に静岡県から輸出する金額を見てみると、国別ではアメリカが一番大きい、その影響は少なくない」
また「中国経済への影響」の余波を受ける可能性があると話します。
(静岡経済研究所 恒友 仁 専務理事)
「アメリカだけでなく、どうしても中国を見なけれないけない、中国には、もしトランプが大統領になった場合は、追加関税がより大きなものが課せられるということで、中国経済の減速の懸念も出てくる。そうすると、そこに中国に輸出する企業、あるいは、すでに中国に進出している企業も、今後の中国の景気動向を考えた時には、売上などに影響が出る可能性はある」