いつ誰が巻き込まれるか分からない犯罪 被害者支援の現状と課題とは
24日、静岡県警本部で開かれたのは犯罪被害者の支援に向け警察や関係機関などの連携強化を図るための協議会です。
全国被害者支援ネットワークの顧問を務める安田貴彦さんが講師として招かれ、およそ56人の参加者が耳を傾けました。
(安田貴彦氏)
「世界的に見れば、日本の長い歴史の中でも今は比較的安全であるかもしれませんが、一生の間に(犯罪)被害と全く無縁であるという風に言えることは本当に少ないのではないか」
いつ、だれが巻き込まれるかわからない…
あなたは犯罪被害者の支援について考えたことはありますか?
「兄を無慈悲に殺した相手を同じ目に合わせたいと思うのは当り前じゃないですか」
「誰が悪いと考えたくないけれど夜になると、どうしても考えてしまう」
これは静岡中央警察署に展示されている犯罪被害者のメッセージ。
2024年11月に展示をリニューアルし支援に携わる職員のメッセージも書かれています。
犯罪被害者とは犯罪などの被害にあった人やその遺族らのことで交通事故の被害者も含まれます。
この支援をしている団体の1つが認定NPO法人静岡犯罪被害者支援センター。
(相談員)
「こちら静岡犯罪被害者支援センターです」
この場所では犯罪の被害にあった人や遺族が電話や面接で支援などについて相談できます。
2023年度、この支援センターが受け付けた相談はあわせて491件。
実際、どのような相談があるのでしょうかー
(相談員)
「電話などでの相談というと、やはり性犯罪とかが多くなりまして、 性犯罪を受けたんだけれども、まだ警察に届け出ができていないとか、これからどうしたらいいんだろうとか、/すごく精神的に悩んでしまって、調子が悪いんだけれどもどうしたらいいんでしょうとか」
こうした相談に対し、相談員がカウンセリングをするほか、捜査機関の聴取や裁判に付き添うなど幅広い支援が行われています。
県内では自治体の支援も進み、2024年4月、すべての市町で犯罪被害者支援に関する条例が制定され、見舞金が制度化されました。
しかし、市町によって見舞金の金額や受け取れる条件が異なるなど、様々な課題も指摘されています。
(相談員)
「現実的な問題になると、どうしてもお金の問題っていうものが出てきまして。/ご自宅からどうしても引っ越さなければならない、仕事を辞めざるを得ないとか、いろんな方がいる/最近は見舞金とかあるが、継続的に長いことをこう支援していけるものがあればいいなとは思っています」
さらに、犯罪被害者支援の認知度も課題の1つとされています。
こうした中、2024年11月、静岡大学で開かれたのは教育学部の学生およそ120人に向けた県警による犯罪被害者支援に関する講義。
(担当者)
「いわれのない誹謗中傷、SNSもありますのでいろいろな言葉を投げかけられる」「後は刑事のほかに民事裁判の準備や対応もありまして、直接的被害ではなくて新たな被害を生む2次的被害と呼ばれている」
現状を知ってもらおうと県警の担当者が被害者の置かれている立場や心理状況について説明しました。
(学生 )
Q被害者支援については知っていたか?「いや、知らなかったです」「被害者の方がどんな状況に陥ってしまうのか、心理面とかがすごく心に残っていて、それを今回の講義みたいに知る人が増えることで支えられる人がたくさんいる社会が作れると思った」
こうした、理解を進めるための取り組みも始まっていますが…
静岡犯罪被害者支援センター理事長の白井孝一弁護士は被害者が本当に必要としている支援を届けることも大切だと訴えます。
(白井弁護士)
「被害者にとって一番大きな悩みは、被害者は受けた被害をきちんと回復してほしいが、加害者が本来やるべきであるが加害者がそういう状態でできなくなった場合、国の方できちんと賠償金などを立て替えて払い、国が加害者から取り立てる制度を作ってほしい被害者は国に求めている/犯罪による被害っていうのは、いつどこで自分や家族、友人に起こって、降りかかってくるかわからないので/ご理解をいただきたいという風に思います」