多発する「ごみ収集車」の火災…何が起きているのか?バッテリーなどの分別不備起因の事故も(静岡)
26日、浜松市の中心部でごみ収集車が激しい炎を上げて燃える火災が起きました。近年、多発するごみ収集車の火災…一体、何が起きているのでしょうか。
激しい炎を上げて燃えるごみ収集車。もくもくと黒い煙も立ち上がっています。これは、浜松駅から1kmほどの市街地で起こりました。一体、何が起きたのでしょうか?
消防によりますと、26日、午前10時半ごろ、「ごみ収集車から火災。煙が上がっている」と、ごみ収集車の運転手から通報がありました。火は、通報から1時間20分後に消し止められけが人はいませんでした。
焼け跡をよく見るとキャンプなどで使われるガスボンベらしきものや電池のようなものもあります。この日は「燃えないゴミ」の収集日でしたが、浜松市では、ガスボンベや電池などは「特定品目」として分別して別の日に出さなければなりません。ごみの分別ができていなかったことが、火災の原因の可能性が高いと市の担当者は話します。
(浜松市一般廃棄物対策課 鈴木 茂 課長)
「ごみ収集車の火災はガス缶やライター、リチウム電池が原因で過去も発生している」「収集車に入れることでプレスされそこで発火して火災につながる」「ごみ収集にも支障が出たり周辺の方に危険を及ぼすことがある正しい分別をしてほしい」
ごみ収集車が燃える事故は静岡市でも発生していています。
2024年2月、「燃えるゴミ」の収集日にルールを守らず電動工具に使われるバッテリーが入れられていてそれが原因で火災が発生したのです。また、5月には沼津市の清掃工場で、小型家電などを処理する破砕機が爆発し、57歳の男性が顔に軽傷を負いました。こちらも、分別を守らずに混入していたガスボンベとリチウムイオン電池が原因とみられています。
「リチウムイオン電池」は、電圧が高いため、携帯電話やパソコンなどに使われ生活に欠かせないものとなっています。しかし、捨てる時に適切に分別しなかったり、本来は決して許されない可燃ごみと一緒に捨ててしまったりすると、大きな事故につながる可能性があります。
これは、ごみ処理施設で粉砕処理をしている場面です。ローターの中に電池が入ると…。押しつぶされた電池から火柱が上がっているのがわかります。
2023年、このリチウムイオン電池が原因で火災が発生した「湖西市環境センター」。粉砕した不燃ごみを運ぶベルトコンベヤー付近から出火。ベルトコンベヤーは黒く焼け、機械の中まで燃え広がった様子がわかります。現場からは焼けたリチウムイオン電池の残骸が見つかりました。この施設では、火災から1年近くたった2024年4月からようやく復旧工事が始まり、完全復旧は2025年3月になる予定です。
不適切なゴミ出しのために起きるこうした事故は後を絶ちません。2024年3月には、作業に当たる人たちの安全を守るため、磐田市のごみ処理施設で火災を想定した訓練が行われました。
(中遠広域粗大ごみ処理施設での訓練)
「連絡お願いしますメインコンベヤーから火災発生しました」「下降りて」「避難してください」
実は、この施設でも火災には至りませんでしたが、モバイルバッテリーから発火した事案があったということです。
(中遠広域事務組合 戸田 智浩 事務局長)
「発火したものが燃えがらになったものです」「形状が分かりづらいが携帯電話などに使われるモバイルバッテリーと思われる」「強い衝撃がかかると発火する特徴を持っている」
訓練では職員による初期消火や人命救助の手順、消防との連携について確認しました。
ルールを守らない自分勝手なゴミ出しによりゴミの収集や処理に大きな影響が出たり多額の復旧費用が必要となったりするだけでなく、作業にあたるスタッフの命に関わることもあります。各自治体や消防は分別ルールをしっかり守るように呼びかけています。