この秋またしても“値上げ”が控える中で あえて“値下げ”するスーパーや企業が…そのわけは?(静岡)
原材料価格や物流費の高騰さらには円安の影響などから生活を取り巻く様々なものが値上げされていますが、こうした状況の中、あえて“値下げ”をするスーパーや企業があります。その中身や理由を取材しました。
止まらない値上げの波…。プリマハムは9月1日納品日分よりハムやソーセージなど約200品目を3%から28%値上げすると発表。森永製菓は9月2日出荷分よりチョコレート菓子やアイスなど45品目を3%から10%値上げすると発表。帝国データバンクによりますと8月は642品目が値上げされましたが、9月・10月にはさらに4000品目近くが値上げされると予想されています。この状況に街の人は…。
(街の人)
「全てちょっと高くなっているのかなという感じがしますけど、これがというより全体的にお金がかかるかなとは思っています」
(街の人)
「物価がやっぱり高くて、前は4個入だったのが今は3個入とか。人数も多いので、ちょっと物価高が一番大変かなと思っています」
私たちの生活に大きな影響を与える“値上げ”。しかし、この状況の中、あえて“値下げ”を行う店もあります。「イオングループ」では、「イオン」や「マックスバリュー」など全国約2000店舗で、菓子や冷凍食品、日用品の一部商品を今週21日・水曜日から11日間限定で値下げしています。
(イオン浜松市野店 福本 慶子 店長)
「こちらが期間限定の売り場でございます。その中でもこちらの唐揚げは、当店では180円値下げして販売しております」
この店舗では他にも…。シーチキン缶4缶が通常価格494円が429円。ゴマドレッシングは通常価格429円が321円となるなど、需要が高い商品約40品目が、10円から180円値引きされます。
(イオン浜松市野店 福本 慶子 店長)
「食料への支出が多くなる夏休み、お出かけなどで家計の負担が多くなる8月に、期間限定で価格の見直しを実現した」
ところで、この値下げ、どのように実現させたのでしょうか。
(イオン浜松市野店 福本 慶子 店長)
「値上げが続くなか、自社センターや物流網を活用して、できる限りコスト上昇の圧縮に努めている」「お客様の暮らしに貢献するために、グループのスケールメリットを生かして値下げを実現している」
一方、ディスカウントストアの「ドン・キホーテ」でも、スマホアプリで会員登録した人を対象に、会員から評価が高い商品から店ごとに毎月20~70アイテムを、通常価格の最大3割引きで販売しています。
(MEGA中部第7支社 比嘉 幸史 支社長)
「会社が売りたい商品を安くするのではなくて、お客様が選んでいただいた支持の高い商品を安くしているのもありまして、大変反響いただいております、ご好評いただいております」
例えば、このカップ焼きそばは通常価格198円が107円に。このソーセージは通常価格429円が323円に。
(MEGA中部第7支社 比嘉 幸史 支社長)
「やはり、日常消耗品の洗剤、ティッシュペーパー、食料品のドリンク、お水、お菓子、カップ麺などが人気」「洗剤というのは必ず“鉄板”で人気になっていますし、ドリンクなどもお水などは毎月人気」
また、「ユーコープ」でも、9月から3か月間、暮らしに身近な商品 約100品目を値下げすると発表。中には、値上げの話が多く聞かれるキャノーラ油も、通常458円が358円と100円引きに。これは、値上げによる節約意識が高まる中、瞬間的なセールではなく長い期間、生活を応援する企画として実施するということです。
このように、一部では値下げの動きもありますが、多くのものが値上がりする中、消費者の買い物に変化はあるのでしょうか。このスーパーで、買い物中の人に聞いてみると…。
(買い物客)
「極力、安いもの、まあ、いつも買うものでも、値段を見て、きょうは高いからちょっとやめよう、こっちの商品に変えようだとか、そういう買い方してますね」「物価が高いから、やはり10円でも安く」
値段には、かなりシビアになったといいますが、このスーパーで月1回行われるセールには期待しているといいます。その名も「77特売セール」。これは、普段からよく使う商品をセレクトして、税抜き価格77円均一で販売するというもの。チラシには「物価高に負けずに頑張ります」の文字が。
(食鮮館タイヨー 野方 俊夫 店長)
「やっぱり、お客様にはお値打ちで、良いものをお買い上げいただきたいと、そういう気持ちでやっております」
通常よりも2割から3割ほど安い商品を中心に、中には普段よりも100円以上も安く販売されるものもあるといいます。
(食鮮館タイヨー 野方 俊夫 店長)
「仕入れはどんどん上がっていますので、私たちも仕入れの部分でかなり苦労してやっております」「物流の追加のコストをカットして仕入れ値を抑えたり、そういう努力をしています」
さらに、スーパー以外でも値下げをする動きが。
静岡市役所の中にあるこちらのお弁当屋さん。人気は、この「厚切りロースかつ丼」。実はこれ、以前は648円で販売していましたが、今は…。
( 竹酔 三宅 純平 社長)
「税込み550円で何とか頑張ってやっております」
価格高騰が続く中で648円でも、決して高いとは言えませんが、なぜ100円もの値下げができたのでしょうか。そのきっかけは、意外にも円安による輸入商品の“値上げ”だったといいます。
( 竹酔 三宅 純平 社長)
「輸入の冷凍のものを使っていたが、そういうのが上がってきて、もう一回、国内のものとか地産地消でいいものを仕入れられないかというのを見直して、お肉屋さんにも自分たちの考えを伝えさせていただき、なんとか厚くておいしい部位を仕入れさせていただいて、それを工夫して社内でパン粉を付けさせていただいて、金額を抑え努力させていただいている」
これまでは衣がついた冷凍とんかつを使っていたそうですが、それを、国内業者から生肉を仕入れ、パン粉をつけるところからあえて手作業にすることで、値下げに成功したといいます。
(買いに来た人)
「びっくりしました、安さに。これは続けてくれるとありがたいかな」
(買いに来た人)
「持った時重いなと思ったんですけど、この量で550円だったら、コンビニで買うより安いなと思うので、ありがたいです」
( 竹酔 三宅 純平 社長)
「お昼ご飯を買う一つもなかなか苦しい中で、弁当屋としてできることと言ったら、安心でおいしくてたくさん食べられてという基本的なこと」「その原点に返って、おいしいお弁当を何とか安く出させていただこうという気持ちで、やらせていただいている」