淡々と話す父親に…裁判長は「感情が伝わりにくい」札幌・すすきの殺人事件 9回目裁判詳報②
![淡々と話す父親に…裁判長は「感情が伝わりにくい」札幌・すすきの殺人事件 9回目裁判詳報②](https://news.ntv.co.jp/gimage/n24/articles/3a81353c712b484782371e1af41554cb/b823a0cd-87ad-40bf-abaf-22455a3e92c3.jpg?w=1200)
札幌・すすきののホテルで2023年7月、頭部のない男性(当時62)の遺体が見つかった事件で、逮捕・起訴された親子3人のうち、殺人ほう助や死体損壊ほう助などの罪に問われている父親の田村修被告(61)の9回目の裁判が2月6日に札幌地裁で開かれました。
裁判では修被告に対する被告人質問が行われ、最後には裁判官からの質問が続きました。
「どうして瑠奈被告は死体を見せるのか…」
◆裁判官からの質問
Q. ナイフを複数本買っているが、過去にも複数買い与えていた?
A. はい。
Q. 瑠奈さんは自傷行為をすることもあったが、刃物を与える不安はなかったのか?
A. だいたい(自傷行為は)カミソリでやることが多かった。買い与えていたものはそういうことには使っておらず、お守りなどとして使っていたので、自傷行為をする心配はありませんでした。
Q. 瑠奈さんが口角から耳にかけて切っているのもナイフではない?
A. おそらく顔そり用のカミソリじゃないかなと。
Q. 切っているところを見たことは?
A. ないです。
Q. そうだとしてもそれよりも大きな刃物を与えるのに不安は?
A. 確かに危険なものだから「取り扱い注意ね」という感じでしたが、危険で不安だから与えないということではありませんでした。
Q. 「首を拾った」と言われて何も聞いていないと。まともな答えは返ってこないかもしれないが、聞くことは精神状態を把握するのに必要なのでは?
A. いま考えるとその通りでもありますし、そのとき勇気を持って「なぜやったの?」とじっくり聞いてあげればよかったのかも。とんでもないことが起きているから話が通じないなと絶望したような感じでした。
Q. 撮影してほしいと聞いたときには何をするんだろうと思った?
A. 持ってきたものに関しての何かをするんだなとは思いましたけど、まさか損壊行為をするとは思っていなくて。何をしようとしているのかなと具体的にイメージはできていませんでした。
Q. どうして瑠奈さんは死体を見せるのか心当たりは?
A. 積極的な意図は本人にはなかったのではないかと。損壊したものも自分の作品として見せたかったんじゃないですかね。推測ですけど。
Q. 自分の作品を見てほしいと?
A. 見せたら満足するという感じで、ずっと見せつける感じではないです。
「一生涯、背負って生きていく所存」
◆裁判長から最後の質問
Q. 瑠奈さんが過去に親に内緒で大それたことをしたことは?
A. そもそも引きこもりで何もできていないので、自殺未遂を繰り返していたことがそれに入るくらいかなと。特に思い浮かびません。
Q. 7月2日に自宅に帰って3日以降に結局はあなたとしては娘かわいさに警察に行くことなどはできなかった?
A. はい。
Q. 頼まれてビデオ撮影はしたと?
A. はい。
Q. 自身の行動や判断について、良心の呵責を感じている部分はあるか?
A. いまはもう悔やんでも悔やみきれない。どこかのタイミングで身をていしてでも行動すべきだったのかなと。何も行動しなかったことについては取り返しのつかない、悔やんでも悔やみきれない。道義的責任は十分痛感しております。それについては何を言われてもその通りだと思います。
Q. すごい事件ですよね?
A. はい。
Q. 話を聞いていると割と淡々と話している感じに見えて、どういう感情なのかが伝わりにくいといいますか。その辺も含めていまの道義的・社会的責任という意味で話せることは?
A. 法廷においてはできるだけ冷静に落ち着いて話すことを心掛けています。良心の呵責がないとか胸が痛まないとか口先だけだとか思われているのであればそういうことでは決してない。それだけは伝えたいです。
Q. 今後はどうやって暮らしていく?
A. 被害弁償をして、娘がどうなるか分からないですけど、親として引き続き支えていかなければならない。私がどのように生きていけるかは社会からどのような役割や立ち位置を与えられるか。とにかく一生、一生涯、浩子とともに背負って生きていく所存でございます。(※声を詰まらせながら証言)
起訴状によりますと、父親の修被告は2023年、犯行に使われたのこぎりやキャリーケースなどを購入し、娘の瑠奈被告(30)に提供。
瑠奈被告を事件当日に車で送迎したほか、瑠奈被告が殺害し、自宅に持ち帰った男性の頭部を損壊する様子をビデオで撮影するなどした罪に問われています。
修被告は初公判で「娘の犯行を知ったのは事件があった後」などと起訴内容を否認し、無罪を主張しています。
修被告の裁判は2月18日に結審し、3月12日に判決が言い渡される予定です。