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自由参加に“解散”も 任意加入の団体「PTA」のあり方は 歴史と役割を紐解く 北海道

2024年6月1日 10:00
自由参加に“解散”も 任意加入の団体「PTA」のあり方は 歴史と役割を紐解く 北海道

全国でPTAの在り方が話題となっています。

PTAは、なぜできたのか、なくなるとどうなるのか、道内の事例を取材しました。

デリケートな話題?「PTA」の加入で議論に…

視聴者の方からこんなメールを頂きました。

この春2番目の子どもが札幌市内の公立中学校に入学したという保護者の男性からです。

「PTAの加入について議論がおきている。いままでは暗黙の了解で勝手に加入させられていたが、この春ついに入会するかしないかのアンケートが来た」

新学期が始まると、ほぼ毎年話題になる学校の“PTA問題”。

その歴史や役割、色々な意見がありながらも令和のいまなお存在するワケなどを紐解きます。

まずは、メールをいただいた男性に話を聞きました。

(中学生の父親)「下手に話すとどこにどういう意見を持っている人がいるかわからないので、反感を抱きたくないのでずっと黙ってきた」

ほかの保護者の手前、顔を出さないことなどを条件にインタビューを受けてくれました。

それだけPTAの話題はデリケートだといいます。

(中学生の父親)「(PTAに)入っていないことで(子どもが)嫌がらせを受けるニュースを相当見る。どこかで言わなければ変わらないかなと思って思い切って取材を受けた。ずっと任意の団体だと考えていたが、なぜ勝手にお金を引かれているのかなとずっと疑問に思っていた。入学式のあとすぐPTA入会式が勝手に設定されていて、説明してから始めた方が良いのではないかって」

(宮永キャスター)「これまで何か活動をしたことは?」

(中学生の父親)「学校によっては1年間で1人1活動何か参加してくださいと。図書館の貸し出し係、見守りをやった。やりたくなかったが、1つやれと言われたのでやったりしたこともある」

この男性は長年疑問に思っていたPTAの在り方について、勇気を出して疑問を投げかけたところ、入会を問うアンケートがきたということです。

いる?いらない?PATの必要性と歴史

(宮永キャスター)「PTAはいるのかいらないのか、マチのみなさんにも聞いてみます」

(不要と回答した人)「最近コロナもあってあまり活動自体そこまでいまはないので、今はなくていい」

(必要と回答した人)「運動会とかでお世話になりました。お祭りとかを学校でした時も。あった方が、何かいざという時にまとまるのではないか。団体行動の時とか、いろいろな時に必要もあるかもしれない」

いる・いらない、様々意見があるなかでこんな人もー

(マチの人)「うちの学校は4月からPTAがなくなって喜んでいる。なくなったからといって何か変わるかといったら、変わったわけではない」

札幌市内で30人に聞いてみると、PTAは「必要」と回答した人は12人、「なくても良い」と回答した人は18人いました。

そのほかにも、こんな声が聞かれました。

「親同士のつながりが持てる」「子どものために活動できる」「学校行事で良い席に座れる」「忙しいので引き受けられない」「会費の使い道が不透明」「トラブルのもとになる」

そもそもPTAとは、P=ペアレント(親)・T=ティーチャー(教員)・A=アソシエーション(組織)

この頭文字をとったもので、本来は学校と保護者をつなぐための任意加入の団体です。

昭和・平成・令和と、学校現場のいろいろなことが変わってきていても、PTAはずっと変わらず存在している…そんな印象もあります。

そこで長年にわたり、全国のPTA事情を取材してきたライターの大塚さんに、PTAの歴史、そして取材を通じて感じる現状を伺いました。

(PTA事情に詳しい 大塚玲子さん)「戦後、アメリカのGHQが『アメリカにPTAという団体がある。日本にも作りなさい』ということで、文部省(当時)に指示を出して全国の学校に作らせたのが始まり。学校に奉仕しますというものではなくて、日本の大人たちにも民主主義を学んでほしい意図があったと言われている。本当は全員必ず入らなきゃいけないものではなく、入りたい人が入るものだということが知られるようになったのと同時に、入りませんという選択をする人がすごく増えている」

(宮永キャスター)「逆に任意だと、入らないことで子どもに不利益が…という話もあるが」

(PTA事情に詳しい 大塚玲子さん)「入らないんだったら、お子さんにこれはあげられませんとか、登校班から外れてもらいますみたいな話も比例して増えていると思う」

PTAは戦後から続く組織で、大人にも民主主義を学んでもらうことを目的に、GHQの指示で発足したということです。

現在は、PTAに加入しない人が増えています。

少子化や共働き世帯の増加など、学校を取り巻く環境も大きく変わってきている中で、新しい形の「PTA」を目指して、道内各地で積極的に取り組んでいるところも出てきています。

自由参加に“解散”も「令和のPTA」

札幌市北区の北陽小学校で登校の見守り活動をするのは、PTA会長の鈴木さんです。

(宮永キャスター)「この学校のPTA活動で、何か特徴的なことはありますか」

(北陽小学校PTA 鈴木和会長)「活動のスリム化といいますか。私がこの学校に来てからコロナで活動できない時期もあったので、それなら一気に変えようということでいま変革の時期」

これまではほぼ毎日当番制で実施していた登校の見守り活動を、去年から自由参加方式にしたのもスリム化のひとつ。

親の見守りがいない日もありますが、特に問題は起きていないといいます。

時代に合わせた積極的な取り組みが、札幌市PTA協議会から表彰されました。

(札幌市PTA協議会 中野吉朗前会長)「PTAをメリット・デメリットで判断するのは違う。子育ての当事者が学校全体・地域全体で包括的に社会教育を行うのがPTA。そういう意味で、その枠として保護者と教職員とで作るPTAはなくなってはならない」

道南の厚沢部町の小学校です。

天候に左右されることなく体力作りができるように、校舎内を走る時間を設けるなど、子育て・教育に関してマチをあげてユニークな取り組みを積極的に進めています。

その厚沢部町でPTAの活動について伺おうと、小学校の「PTA会長」渋田さんを尋ねてみると…

(厚沢部小学校元PTA会長 渋田潤介さん)「PTAはなくなった」

厚沢部町では3年前に、町内に4つあるすべての小中学校でPTAが解散したというのです。

渋田さんは「元会長」というわけです。

(厚沢部小学校元PTA会長 渋田潤介さん)「人がどんどん少なくなってきて、PTAの活動自体も厳しいという学校が増えてきたのもあるし、教員の働き方改革の推進という部分もあります」

PTAが解散したことで、関連会議への参加や会費などの負担が大きく減ったといいます。

親だけではなく教員側にも波及効果がー

(厚沢部町教育委員会 二宮和之事務局長)「これまでPTA組織があった時は、会計業務や役員会の準備に先生が時間を費やしていた部分もあったが、それが一定程度減ったということで、その時間を子どもたちに向き合う時間であったり、先生も色々業務を抱えているので、そういうところに時間を使えるようになったと考えています」

厚沢部町では3年前にPTAを廃止し「保護者の会」となりました。

PTAがなくなったことで会議が減ったり、会費の使途が明確化し大幅に安くなったということです。

渋田さんは少なくとも現時点でPTAを解散し困ったことはないということです。

PTAという名称はどうあれ、時代や地域にあった形で、子どもたちを育てる・見守る仕組みが求められています。

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