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奨学金を“企業が肩代わり”…その狙いは? 進学の負担を軽減する取り組み広がる 北海道

2024年5月2日 18:43
奨学金を“企業が肩代わり”…その狙いは? 進学の負担を軽減する取り組み広がる 北海道

大学などの進学に負担が大きくのしかかるのが授業料です。

広く利用されているのが奨学金ですが、その返済を“企業が肩代わり”する取り組みがいま広がっています。

その狙いを取材しました。

北海道登別市の専門学校生・下河純大さんです。

幼いころからの夢だった自動車整備士になるため、日々実習に励んでいます。

下河さんはある制度を活用して、この学校に通っています。

(下河純大さん)「企業奨学金という制度で、自分が就職する会社から奨学金をいただいています」

日本工学院北海道専門学校が一部の学科で導入しているのは、学生の学費を企業が負担する奨学金制度です。

学校は道内外の40社以上の企業と提携しています。

奨学金を希望する高校生は予め提携先の企業の試験を受けて、仮内定を得た上で学校に入学。

2年間の学費およそ225万円に対し、企業ごとに120万円から240万円が支援されます。

卒業後にその企業に就職し、5年間勤務すれば返済は不要です。

学校側は学生を、企業側は働き手を確保できるというメリットがあります。

下河さんもすでに苫小牧の自動車会社から内定を得ています。

(下河純大さん)「ちょっとでも親の負担を減らしたいなと思ったので使用しました。先に就職先が決まっていることで勉強に集中できているのでとてもいい」

日本学生支援機構などによると、いまや日本の大学生の半数以上が奨学金を利用しています。

一人当たりの平均借入額は300万円ほどで、返済にはおよそ15年かかるなど、社会に出た後大きな負担がのしかかります。

こうした現状に、新たな取り組みを進める企業もありました。

社員が遠隔で確認しているのは、リアルタイムの工事現場。

人手不足を解消しようと、DX化を推進している札幌市内の建設会社です。

この会社では去年の春から奨学金の代理返還制度を導入。

社員が学生時代に借りた奨学金の返済を、総額200万円を上限に会社が月1万円負担する制度で、社員およそ180人のうち、20代から30代の17人が利用しています。

入社6年目の高橋さんも支援を受けている1人で、残り100万円ほどだった奨学金の返済期間が8年から4年に短縮されたといいます。

(高橋若那さん)「額が大きいことと返済期間が長いので、働いてから10年ほど借金を抱えている気持ちの負担につながっていた。返済期間が半分になることを知って気持ちが楽になりました」

企業が返済を負担する背景にあるのが、建設業の慢性的な人手不足です。

ラピダスの千歳進出に伴い、人材獲得競争がさらに厳しくなる見込みのなか、奨学金制度で人材の確保と定着につなげたい狙いです。

(田中組 川島敦常務)「建設系を目指す学生が(ラピダス進出で)電子系に行くと思う。これから徐々に求人が厳しくなってくる。奨学金を肩代わりすることはモチベーション維持のためにも非常に有効」

学生や社会人の大きな負担となっている奨学金。

あの手この手で返済を支援する取り組みは今後も広がりそうです。

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