乗客家族らの悲痛な声「生きる意味がなくなった」 「桂田さん!」法廷で呼びかけるも… 知床観光船沈没事故
今回の裁判では11人の被害者家族が桂田社長を前に意見を述べました。
最愛の家族が被害にあった帯広市の男性は「生きる意味がなくなった」と悲痛な思いを訴えました。
(行方不明者の家族)「許せない相手なので感情をコントロールできるか心配はありますけど、きちんと裁判官や傍聴している方に伝わるように意見陳述したいと思っています」
裁判所に向かう帯広市の男性。
当時7歳の息子と母親が今も行方不明のままです。
事故の前日、旅行を楽しむ最愛の息子。
「今から船乗る」
それが2人との最後のやりとりになりました。
事故からまもなく3年。
息子は1月に10歳の誕生日を迎えました。
(行方不明者の家族)「最近は息子の誕生日にケーキを置いてロウソクに火をつけて、お祝いしました。おめでとう。10歳だね」
男性は2024年、行方不明の息子を死亡とみなす「認定死亡」の手続きをしました。
裁判に参加するための苦渋の決断です。
(行方不明者の家族)「20分で終わるようにまとめました」
裁判に向けて準備をする男性。
桂田社長と最後に会ったのは事故直後の5月。
それから3年、直接話す機会はありませんでした。
(行方不明者の家族)「今回の事件で一番責任を負わなければいけない桂田が、責任を全て他人に押し付けて全く反省している様子がないんですよ。いままでの態度・言動を見ていても。運行管理者や統括責任者を社長のほかに兼任しておきながら、自分に責任がない、全て船長が悪いという主張はおかしいじゃないですか、どう考えても。そこは一番訴えたいですね」
(行方不明者の家族)「息子の部屋に行ってから」
12日、自宅を出る男性は息子の机に心の内を語りかけます。
(行方不明者の家族)「行ってくるね。やっと始まったよって」
桂田社長の責任を直接追及したい。
男性は法廷でその思いを訴えました。
(行方不明者の家族)「私は2人が被害に遭っただけでも苦しいのに、桂田氏の全く反省が感じられない態度に接すると、さらに追い打ちをかけられるように苦しく、辛い気持ちになります」
男性は途中「桂田さん!」と呼びかけましたが、身動き一つしませんでした。
(行方不明者の家族)「KAZUⅠが沈没した事件以来、私の人生は生きる意味がなくなってしまったと感じています。この事件に関してはまだ誰も責任を取っていないので、私の気持ちは何も変わっていません。私は死ぬまでこの喪失感は消えないと思うし、笑うことはあっても心から笑うことはできないと思っています」
被害者家族の悲痛な思いは桂田社長にどう届くのかー
事故の責任をめぐり今後、法廷で争われます。