【続報】弁護側…修被告の証人尋問で“瑠奈被告との英語のやり取り”提出 母・浩子被告の裁判で
札幌・すすきののホテルで2023年7月、男性の首を切断し、頭部を持ち去った事件で逮捕・起訴された親子3人のうち、母親・田村浩子被告の4回目の裁判がきょう(2024年10月1日)札幌地裁で午前11時から始まりました。
弁護側による修被告の証人尋問が行われています。
起訴状によりますと、浩子被告は2023年7月、娘の瑠奈被告(30)が殺害し切断した当時62歳の男性の頭部を自宅に隠すことを容認し、頭部を損壊する様子をビデオ撮影するよう瑠奈被告から頼まれ、それを修被告に依頼して遺体の遺棄や損壊を手伝ったとされる死体遺棄ほう助と、死体損壊ほう助の罪に問われています。
この裁判では、頭部を自宅に遺棄し、損壊した瑠奈被告の行為を容認したとされる浩子被告に、「ほう助」という罪が成立するかが争点となります。
事件をめぐっては、娘の瑠奈被告が殺人などの罪で、父親の修被告(60)が殺人ほう助などの罪で起訴されています。
【証拠として音声データ提出】
弁護側による父親・修被告の証人尋問が始まり、修被告が録音していた娘・瑠奈被告との会話の音声データが証拠として提出されました。
音声データは6時間以上あるものを弁護側が抜粋していて、録音された期間は2020年10月3日から、被害男性に初めて会った2023年5月28日までです。
録音されていた会話は、修被告と瑠奈被告が英語で会話していて、修被告の証人尋問によると、瑠奈被告は「シンシア」として発言していて、「シンシア」が「妹」と呼んでいるのは瑠奈被告を指していると思われるということです。
▼2020年10月6日録音(英語での会話)
瑠奈被告「I want to kill you」(お前を殺してやりたい)「Why don't you follow my order」(なぜ、私の命令に従わないのか?)などと修被告に罵声を浴びせる。
▼2023年1月22日録音(日本語での会話)
瑠奈被告「ちょっとでも力をつけてテメェらを、殺してやる。ずっとそう思って生きてきたんだよ、私の妹と私は!」
修被告「クリニックではこのレベルだと対応できないというふうに思われる」
瑠奈被告「うー!」
修被告「なるべく早く見てくれるところを…」
瑠奈被告「うー!」
修被告「今までと違う薬で違う効果が期待できるかもしれない」
▼2023年1月22日録音(英語での会話)
瑠奈被告「I kill everyone! That’s all !」(私はみんなを殺す! それだけだ!)
修被告「I don’t kill any」(私は誰も殺しません)
このほか、瑠奈被告「責任も取らないくせに!とっととやんなさいよ、そのクソアマを!」などと英語でののしる。
▼2023年6月1日録音(日本語で会話)
瑠奈被告「相手は自分の意のままだと思ってるから、そう思わせといて、主導権はこっちにある」「もうなんか無の気持ちで、こうなったらどこまでも私、ビッチのふりできるから、なんか我慢比べみたいだと思った。でもまさかそんな子に見えないでしょ?」
【弁護側による修被告の証人尋問】
▼瑠奈の発言について、「私の妹」と言っているが、瑠奈被告に妹がいたことは?
「ないです。」
▼妹とは誰か?
「瑠奈のこと。瑠奈の魂。」
▼妹を殺した!と話している主体は?
「シンシアさんが中心だと思う。他にもたくさん魂はいるが、中心はシンシアさん」
▼シンシアの魂が殺したいと言っているのは?
「自分と浩子のこと。わたしたちの対応により、瑠奈の魂が死んだとシンシアは思っている」
▼ 瑠奈被告から危害を加えられたことは?
「ないです」
▼ ナイフや包丁を振り回したりは?
「私たちに向かって直接はない」
▼興奮している間は?
「何を言っても落ち着かないので、火に油を注がないようにしていた」
▼首の撮影をさせられたことについて、撮影を先延ばしにすることはできなかったのか?
「目があと一つしか残っておらず、その日は金曜日の夕方だったが、翌日朝イチで関西に出張する必要があった。日曜の夜に帰ると2日間家をあけることになり、浩子に撮影を頼むことになると思った。このような損害行為は考えるだけで身の毛がよだつ行為で浩子は耐えられない。言い方は悪いが「さっさと終わらせたほうが良い」と考えた」
▼修さんは被害男性にどうなってほしかった?
「問いただして謝れば修復可能かと。謝らなければそれまでだなと思っていた」
▼修被告は被害男性をどう思っていた?
「このままフェードアウトしてくのが一番いいと思った」
▼瑠奈被告と一緒に被害男性を探しに行った?
「一緒にすすきのに行って、最初にクラブを探した。その間、娘はスリラーバーにいた。その後一緒に被害男性を呼びつけるクラブに行った」
▼修さんはどういう気持ちで被害男性を探した?
「見つからなければいいなと、本人の気持ちがもういいやとなってくれればと」
▼被害男性のことを何も知らないと思うが、被害男性がいそうな場所を探したのか?
「まったく本人からは個人情報が聞けていないと。あだ名と週末に上の年代向けのクラブに行くことが多いと聞いて、その条件で探した」
▼被害男性を探しに行くときLINEで被害男性を「シカ」と呼んでいた。「シカ」と呼び始めた経緯は?
「被害男性を探すとき、娘も家族も誰も知らないのに、あだ名で呼ぶのは娘にとって響きがよくない。別の呼び方がないかと思って呼んだんだろう。娘の方から「シカ」と呼ぼうと直前に言われた」
【概要】6月4日の初公判を振り返る
検察側は、「事件前に瑠奈被告が被害男性から性的トラブルを受け、殺意を募らせていたことを認識していた」と指摘し、浩子被告が娘の犯行を容認したと主張。
一方、弁護側は「警察に通報や娘を出頭させなかったものの、頭部が自宅にあると知っていることをもってほう助とは言えない」などとして無罪を主張。
浩子被告は裁判長に認否を尋ねられると、「手助けするつもりは全くなかった」などと起訴内容を否認。「自宅に頭部があることを知った時には、すでに頭部は浴室にあった」とし、頭部を自宅に隠すことを「容認したことは違います」と話した。
ビデオ撮影については、「ビデオ撮影を求められたが、何を撮影するかは知らず、助けを求めるつもりで夫に依頼した。容認していない。とても耐えられない状況だった」などと涙ながらに語っていた。
検察側は、事件前、瑠奈被告と被害男性の間でトラブルがあったことなどを主張。
瑠奈被告と被害男性の間に性的トラブルがあったことや、いびつな家族関係が明らかになった。
<特異な親子関係と生活状況>
◇不登校・友人なし…瑠奈被告の生活
▼娘の瑠奈被告は小学2年生のころから徐々に学校を休みがちになり、中学入学後は一切登校ができなくなる。
▼浩子被告と父親の修被告は、瑠奈被告を精神外科に受診させ、主治医の意見も聞き、中学3年生からフリースクールに通わせる。しかし瑠奈被告はフリースクールにはほとんど通えず、18歳ごろから自宅で引きこもりの状態になり、昼夜逆転の生活を送る。瑠奈被告は両親が一緒でなければ外出ができず、そのほとんどは修被告の送迎でゲームセンターや趣味のドールショップなどに行く程度で、友人もいない。
◇「田村瑠奈は死んだ」娘の変化
▼瑠奈被告は18歳のころから自殺未遂を繰り返すようになり「田村瑠奈は死んだ」「田村瑠奈の体には5~6人の魂が入って、体を借りているだけ」と言い、妄想が出始めた10年以上前から現在まで、自身が「田村瑠奈」である認識はない。
▼浩子被告と修被告も娘を「瑠奈」と名前で呼ぶことを許されなくなり「お嬢さん」などと呼ばなければならなかった。瑠奈被告も、浩子被告を「彼女」、修被告を「ドライバーさん」などと呼ぶようになった。
◇妄想・自殺未遂…精神科に通院
▼瑠奈被告はその時々で話し方や様子が別人のようになる時があり、時折虚空を見つめて、妄想上の恋人との会話も繰り返すようになる。
▼精神科医である修被告は、瑠奈被告の精神が不安定にならないよう、瑠奈被告の妄想に対し、肯定も否定もしないスタンスだった。そのため浩子被告も、瑠奈被告の妄想を否定しないよう細心の注意を払って接していた。
▼瑠奈被告は精神が不安定になると、意味不明な言葉を叫び、自宅の壁を殴って穴を空ける、さらに自傷行為や自殺未遂をするため、両親は瑠奈被告の希望は可能な範囲でかなえるようにしていた。
◇自宅はごみ山積み…父親はネットカフェで生活
▼田村家の自宅は、瑠奈被告が小学生のころまでは、家庭教師の先生や浩子被告の友人が来るなど、普通に整理整頓された家だった。しかし瑠奈被告がごみも含め、物を捨てることを嫌がるようになったため、自宅内は瑠奈被告の物やごみであふれかえるようになってしまった。自分の物を触られることも極端に嫌がるため、両親は瑠奈被告が置いたものを移動させたりすることすらできなかった。
▼事件直前は、足の踏み場もほとんどないような状態となり、居間は浩子被告が寝起きするスペースを確保するのがやっとで、修被告は自宅で寝るスペースをとることができず、ネットカフ ェで寝泊まりしていた。それでも修被告は、出勤前あるいは退勤後、必ず自宅によって浩子被告に頼まれた買い物をしたり、浩子被告の作った食事を受け取るなどしていた。1人で外出できない瑠奈被告が、ゲームセンターなどに行きたいと言った時は送迎もしていた。
◇特異な親子関係…娘に対する治療
▼瑠奈被告は6年ほど前、精神科のクリニックに通っていて、診断名としては躁うつ病という診断を受けた。その後瑠奈被告は、クリニックにも通わなくなり、修被告が薬を処方するようになった。
▼浩子被告ら両親と瑠奈被告は、周囲から見ると非常に特異と評価される親子関係になってしまっていた。
<頭部を自宅に遺棄…動画撮影までの経緯>
◇引きこもりだった娘の変化に喜んだ浩子被告
▼瑠奈被告は、数年前からホラー映画やSМに興味を持つようになっていた。それまでずっと引きこもりのような生活を送っていた瑠奈被告だが、2023年2月ごろから急に外出することが出てきたが、うつの症状がよくなっているわけではなかった。
▼2023年5月28日、瑠奈被告の希望ですすきのにあるクラブの閉店イベントに修被告が連れて行くことになった。
▼瑠奈被告がいわゆる「クラブ」という場所に行ったのは、この時が初めて。午前3時ごろ、修被告が瑠奈被告をイベントに連れて行き、浩子被告は自宅で過ごした。
▼午前7時半ごろ、修被告から、「瑠奈被告がクラブで知り合った人と意気投合した」という連絡がきて、浩子被告は喜んだ。長い間引きこもりで、両親以外との交流がない瑠奈被告が、誰かと遊びに行くことは、母親である浩子被告にとっては、大きな前進だと思ったから。
◇被害男性との出会い・トラブル
▼その後、帰宅した瑠奈被告と修被告から聞かされた話に浩子被告は驚いた。その内容は、瑠奈被告がクラブでカラオケに誘われた人物について行ったところ、ホテルに連れて行かれ、そこで性的トラブルになったことだった。トラブルになった相手が被害男性だった。
▼瑠奈被告は男性に怒りを示していたものの、浩子被告には男性について「謝ったら許してあげる」と言っていた。
▼浩子被告は細かなことは聞いていなかったが、修被告から聞いたところによると、瑠奈被告は性的トラブルによって気分が落ち込むとともに、強い怒りの気持ちを持っていた。
◇両親は男性に“娘と会わないよう”懇願
▼6月中旬ごろ浩子被告は、瑠奈被告が修被告とともに、すすきののクラブを何件か回って男性を探し、7月1日に会う約束をしたと聞かされた。
▼修被告と浩子被告は、一度トラブルになった男性と再び会うことには消極的だった。しかし瑠奈被告の意思は強く、とても楽しみにしている様子だったこともあり、とめるようなことは一切言っていない。
▼そこで浩子被告と修被告は、男性に対し、瑠奈被告に会わないよう直接求めることにする。7月1日午後、修被告が公衆電話から男性に電話をかけ、瑠奈被告の関係者を名乗り、この後、待ち合わせ場所に行かないでほしいと頼む。しかし男性は「向こう(瑠奈被告)も会いたがっているわけだから」などと言って拒否したため、修被告は会うこと自体は止められないと思い、瑠奈被告が嫌がることをしないよう男性にお願いした。
◇「頭を持って帰ってきた」母親が見た地獄
▼事件翌日の朝、浩子被告は浴室に見慣れないプラスチックのケースと、そこに入った黒いごみ袋のよういなものを目撃する。瑠奈被告が嫌がるので、黒いごみ袋が何かは確認していない。
▼瑠奈被告から「頭を持って帰ってきた」と聞かされる。浩子被告は半信半疑だったが、頭部のない遺体発見の報道を見て、瑠奈被告の言葉が本当ではないかと考える。恐ろしくて中身は確認していない。
▼瑠奈被告から「見て」と言われる。あまりに普通の言い方だったため、警戒せずに浴室に行くと、洗い場に人間の頭部が置いてあった。
▼浩子被告は「この世の地獄がここにある」と思い、深い絶望感に襲われた。
◇頭部を直視できず、夫に助けを求めた浩子被告
▼7月7日、瑠奈被告が浴室で作業をすると言って、浩子被告に動画の撮影を頼む。具体的に何をするか、浩子被告は聞いていない。
▼浩子被告は頭部を直視できず、理由をつけて断り、修被告に助けを求めたところ、修被告が撮影を了承する。
▼その後、修被告が外出してしまったため、2人きりになった瑠奈被告から再び撮影を求められる恐怖を感じ、「撮影カメラマンするでしょ?」と修被告にメッセージを送信。軽い表現になったのは、瑠奈被告が浩子被告のメッセージを見ることがあったため、瑠奈被告に見られてもいいような日常的な表現を使った。
◇“運命を受け入れよう”逮捕されるまでの日々
▼自宅に頭部があることを知ってから、修被告と浩子被告の生活は言葉に尽くしがたいストレスを感じるものだった。2人ともなすすべもなく、あえてこれまでの日常どおり過ごした。
▼浩子被告は、かなり早い段階で警察の尾行に気づいていたので、両親はそう遠くない時期に瑠奈被告が逮捕されるだろうと思っていた。一緒に暮らせなくなる日がすぐそこまで来ていること、警察が来た時は運命を受け入れようと考えて、その日までのわずかな時間をこれまで通り家族として生活する選択をした。2人とも瑠奈被告だけが逮捕されるとしか思っていなかったところ、修被告と浩子被告まで逮捕されることになった。
◇死体遺棄ほう助罪について
▼浩子被告は、瑠奈被告が頭部を自宅浴室に置き続けたことを認識しながら、そのまま生活したことは間違いないが、瑠奈被告が頭部を隠す意思を持っていたとは思っていなく、隠匿を容易にする意思はない。
▼浩子被告は、瑠奈被告をとがめたり、警察に通報するなどのことはしていないが、頭部を隠す行為を容認するような発言も一切していない。特に何もしないまま生活を続けたことを、死体遺棄のほう助と評価することは不可能で、犯罪は成立しない。
◇死体損壊ほう助罪について
▼浩子被告は瑠奈被告からビデオ撮影をしながら頭部を損壊する計画を立てているとは聞いておらず、認識していない。修被告に対しても、抽象的に撮影を 依頼した。
瑠奈被告が浴室で頭部を損壊した際、浩子被告はその場にいなかった。
◇検察側の主張
検察は、浩子被告が娘の犯行を容認したと主張。
検察側の冒頭陳述は以下の通り(一部抜粋)。
▼浩子被告と修被告は、瑠奈被告に対し、幼少のころから叱ったりするようなことはせず溺愛し、成人した後も瑠奈被告の要望には最優先で応え、望むものも買い与えた。
▼瑠奈被告の食事の世話などは浩子被告がしていたが、常に瑠奈被告の機嫌を伺い、浩子被告は毎日のように瑠奈被告の様子をSNSで修被告に報告。
▼瑠奈被告にほしい物や食べたい 物を聞いて、それを修被告に買 って帰るように伝えた。
▼浩子被告と修被告は、瑠奈被告のことを「お嬢さん」と呼び、敬語を使っていた。
▼瑠奈被告は所有物の向きが、自分が置いた位置と違うなどと言った些細なことでも、浩子被告らに叱責。修被告が運転中であっても、その首を絞めて自分の怒りをぶつけるなどした。
▼それに対して浩子被告らは、瑠奈被告を叱ることはなく、謝るなどしてその怒りが収まるのを待っていた。
▼浩子被告は、瑠奈被告から「お嬢さんの時間を無駄にするな。私は奴隷です」「立場をわきまえて無駄なお金を使うな」という趣旨の誓約書を書かされ、奴隷のように扱われても、反論したりせず従っていた。
▼修被告も瑠奈被告から「ドライバーさん」と呼ばれ、瑠奈被告が望めば、ゲームセンターやクラブなどまで車で送迎し、夜通し遊ぶ瑠奈被告に徹夜で付き合った。
▼このように家族の中では、瑠奈被告が圧倒的な上位者であり、わがまま放題に振る舞い、両親は奴隷扱いをされても叱ることはせず、「瑠奈被告ファースト」の親子関係が形成されていた。
◇犯行状況
▼浩子被告は2023年7月3日ごろには、瑠奈被告が自宅に男性の頭部を隠していることを知ったが、7月24日、修被告とともに容認し生活を続けた。
▼瑠奈被告は浴室で、ビデオ撮影しながら頭部を損壊することを計画。
▼浩子被告は瑠奈被告から「ビデオカメラで死体損壊作業するところを動画で撮ってほしい」と求められ、実行を容認。修被告に対してSNSで「撮影カメラマンするでしょ?」などとメッセージを送り、依頼した。
▼修被告は浩子被告の依頼を応諾し、頭部を損壊する様子をビデオ撮影した。
【2回目】7月1日…修被告が出廷
検察側は瑠奈被告の手帳を証拠として提出し、瑠奈被告が被害男性について「間違ったやつに連れて行かれた」「自分で始末する」などと記載していたことを明らかにした。
修被告は証人として出廷し、事件当時の状況を証言した。
<父親・修被告の証人尋問>(やりとりを一部抜粋)
▼瑠奈被告に殺害の意思はあったと思うか。
ありません。
▼いつ頭部があることを知ったか。
7月2日未明、すすきのから家に着いた時に、瑠奈被告が「首拾った」と言って、初めて知った。
▼夫婦の仲は?
私は浩子被告のことを信頼し尊敬している。
▼頭部を置いていいと言ったことはあるか。
ありません。
▼頭部を切断したと具体的に聞いたことはあるか。
ありません。
▼なぜ通報しなかったか。
現場まで自家用車で行っているので、すぐに娘が逮捕されると思った。私の手で警察に突き出すのは娘を裏切ることになる。娘が抱えていることを受け止めきれず、裏切る行為になると思った。
娘がもっと壊れてしまう、追い詰めたくなかった。
▼いつ警察の捜査の手が及んでいると感じたか。
浩子被告との会話で、「私服警察に尾行されている」「ゴミステーションから私たちのごみを持って行っている」などと話した。
▼瑠奈被告が頭部を損壊しようとしていることは、いつ知ったか。
カメラを持って、浴室に入った時
▼直前まで何を撮ってほしいか、わからなかったか。
何をするか、具体的に言われていない
▼瑠奈被告は被害者を殺害したと言ったか。
言っていないです。
▼動機について、なぜ瑠奈被告に尋ねなかったか。
本人から何も言わないことに対して、こちらから尋ねるのはもとより頭にありません。
▼両親は瑠奈被告の奴隷のような立場だと、検察が主張していることについて
娘の心がこれ以上、壊れないようにするにはどう接していくのか考えて行動している。無理強いされたり、支配されているということはない。
▼両親が娘を甘やかして好き勝手させていたという主張について
妄想が出るまでは、それなりにしつけをしてきたつもり。本人の精神状態から追い詰められると、取り返しのつかないことになるので言えなかった。
▼瑠奈被告が言うことを断ることもあったのか。
娘が「生きているのがつらい、首を絞めて殺してくれ」と言われ取り乱し半泣きだった。私は「できません」と答えた。
▼どんな時に瑠奈被告の言うことを断るのか。
できないこと、してはいけないこと、命とかかわること、犯罪になることは断る。
<被害男性の妻などの供述調書(一部抜粋)>▼夫の49日は何も法要できていない。長い夢をみているようです。何があったか知りたい。
▼私にとってはよい夫で、子どもにとってはよい父でした。家族を大事にしてくれる夫で、感謝しきれない。
▼夫があやまったことをしたのであれば代わりに謝りたい、なぜ殺されることになったのか知りたい。
【修被告が急遽出廷せず】8月30日・3回目
検察側は浩子被告のスマートフォンを解析した結果、浩子被告が修被告にLINEで「車のGPSは残りますか?」とメッセージを送り、その後、やり取りの履歴を消していることなどの証拠を読み上げた。
予定されていた修被告の証人尋問は、修被告が新型コロナの陽性反応が出たため中止となっていて、4回目の裁判では、証人尋問を通じて反論するとみられる。