【里山WEEK】里山の恵みから生まれた玄米珈琲って?里山は「宝の山」資源を循環させる暮らし
【里山WEEK】今週は里山について考え、理解を深めるテレビ信州「里山WEEK」。
こちら、ただのコーヒーではないんです。里山を守るサイクルの中で作られている、ある飲み物なんです。
長野市信州新町、その山あいにある信級地区。
55世帯、およそ100人の集落です。
ここで暮らす、植野翔さん41歳。
植野翔さん
「見渡す限り自然のものばっかり というのはなかなかないので、それがすごい(信州の)魅力ですね」
植野さんに淹れていただいた、一見、コーヒーのような「黒い飲み物」。
木下キャスター
「芳ばしい香りがそのまま深い味 いなっていますね。後味すっきり。でも香りが余韻といいますかしっかり残りますね。」
その正体が、こちら。真っ黒になった米です。
植野さん
「玄米を焙煎してコーヒー風の飲み物にしてある。玄米茶はお茶に香りづけとして 軽く炒った玄米が入っているこ とが多い」
玄米珈琲は玄米100%。焙煎度合いが全然違く、コーヒ ーのように深く焙煎しています焙煎した玄米を粉末状に挽いて、お湯を注いでできるのが、「玄米珈琲」、黒い飲み物の正体です。各地で作られてはいますがまだまだ珍しい存在。ノンカフェインのため、子供や妊婦にも優しい飲み物です。
東京出身の植野さん。大学院修了後、すぐに長野市に移住し、2010年から、信級地区で米作りをしています。
植野さん
「東京の暮らしは全て買って消費 してという暮らしになってしま うので自分の暮らしそのものが 環境に負荷をかけている。自然の一部として暮らしをして いる姿を見てそれが素敵だなと 思って飛び込んだ」
信級の米は山から湧き出る新鮮な水で育ち、日中の寒暖差によって実が引き締まっているのが特徴です。
植野さんが収穫する米の一部を使って「玄米珈琲」を作っています。
植野さん
「ここで炭を焼いてこの窯の中で 炭が焼けたあとだしてその窯の 余熱で玄米を焙煎して玄米珈琲 を作るってことをやっている」
植野さんのもう一つの顔、それは炭農家。地元の職人に教えてもらいながら炭窯を一から自分で作りました。
炭焼きに利用しているのは地元の山から切り出した木材や古民家から出た廃材。
火を焚きつけるスギの葉も山から調達するなど、資源を無駄なく活用しています。
植野さんにとって里山はいわば「宝の山」です。
2、3日経つと炭は完成しますが、取り出した後の熱をただ冷ますのはもったいないと、玄米の焙煎を始めました。
余熱を利用するため、環境への新たな負荷はありません。
植野さん
「お米を焙煎するときは強力な熱 が必要で「(窯の中の)遠赤外線が空間全 体に輻射熱で焙煎されていくの でふっくらとさっくりと炒りあ がるそれがほかではできない」
里山で生まれた炭と米。それを組み合わせて作る玄米珈琲は、地元の信州新町の道の駅をはじめ、県内外の飲食店などで販売されています。
植野さん
「資源を循環させて作ることで場所も保たれるし暮らせたらい いなと思っているのでただ荒れていくだけの農地とか そういのはもったいない。それがエネルギーになったり、商品になったりというのが気持 ちいいというのがありますね」
玄米珈琲は、里山を守りながら、人の生活も豊かにしています。
玄米珈琲。ミルクや砂糖を入れて飲んでもおいしい。ノンカフェインだからこそ、お子さんや妊婦さんでも飲める。
玄米珈琲を飲みながら、里山の恵とそれを守っている地元の人たちに思いを馳せたいですね。