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博多張子の工房 若手職人が新たな挑戦 来年の干支「巳」の置物作り

2024年11月26日 18:05
博多張子の工房 若手職人が新たな挑戦 来年の干支「巳」の置物作り

福岡県に古くから伝わる工芸品・博多張子の工房では、来年の干支にちなんだ「巳」の置物作りが最盛期を迎えています。職人の数が減っている博多張子ですが、若手職人が伝統の世界に新たな風を吹かせています。

愛きょうのある瞳に丸みを帯びた体は、新年らしい金銀の装飾をまとった来年の干支「巳」です。

江戸時代から伝わるとされる博多張子の工房で製作しているのは三浦智子さんです。

三浦さんは4人しかいない博多張子の職人の中で最も若い39歳です。

三浦さんは「張子を気軽に飾ってほしい」と、ことしから干支の置物作りを始めました。

■博多張子の職人・三浦智子さん
「ぷっくりとかわいい形を表現したくて形を作った いままでは だるま・虎など基本的な伝統的なものを作るのに必死になっていて やっと ことし勇気を出して作ってみました」

干支の置物は2種類です。12月にかけて合わせて約200個を作る予定で、いまが生産の最盛期です。

一つ一つ手作りのため、時には。

■三浦さん
「(張子の置物には)個性があるので 『この子なんだか傾いている』とか」

張子の技術は江戸時代中期に関西から博多に伝わったとされ、戦前の最盛期には十数軒で博多張子が作られていたといいます。

商人の町である博多の張子は、縁起を担ぐ目的から金粉をまぶした作品が多くみられることが特徴です。

粘土などで作った型に和紙や新聞紙を幾重にも貼るのが、張子という呼び名の由来です。

手間はかかりますが、紙のぬくもりや作り手の個性を感じられるのが魅力です。

三浦さんの師匠は義理の父親にあたる隆さんです。

初めは手伝うだけでしたが、次第に気持ちが変化してゆきました。

■三浦さん
「代々受け継がれてきたものを途絶えさせるのが もったいないという気持ちが出てきた 博多の人たちから すごく愛されていたり 博多の文化と密に関わっていることに すごく魅力を感じた もっとそれを幅広い年齢とか いろんな方に知ってもらいたと始めた」

三浦さんは若手の職人として伝統の世界に新しい風を吹き込んでいます。

去年、三浦さんが考案した「色和紙だるま」です。

仕上げのニスをあえて塗らないことで、表面に貼った和紙の風合いを生かしました。

■三浦さん
「職人さんが一枚一枚手ですいた和紙は繊維も入っていて 肌触りが柔らかく温かみがあったので 皆さんに感じてもらいたいなと」

柔らかい雰囲気が現代のインテリアに合うと人気です。

■吉村史織アナウンサー
「この小さい虎も張り子でできているんです 3センチくらいですかね とてもかわいいです」

代々手がけている虎の置物は全長約25センチですが、最近の需要の高まりを受けて、親指サイズの製作も始めました。

■三浦さん
「すでに(目が)チカチカしてきます」

三浦さんは博多張子の魅力の発信にも力を入れています。

■三浦さん
「これ(絵具)とこれ(絵具)で 色を作ってもいい」

■参加者
「このピンク色(がいい)」

■三浦さん
「こちらで混ぜる桜色みたいな 優しいピンク色になります」

福岡県内で定期的に絵付け体験を行っていて、この日は福岡市で干支の置物作りの体験会を開きました。

■5歳の参加者
「(絵具を)塗るところが楽しかった」

■8歳の参加者
「(絵付けが)きれいにできました」

■10歳の参加者
「(張子の)歴史もそうだし 昔使っていたものとかも もっと知ってみたい」

■三浦さん
「伝統工芸は縁遠いものがあったりするかもしれないが もっと皆さんに身近に感じてほしいと思う これを途絶えさせてはいけないと思う どんどんいまできることに挑戦して 自分ができることをやっていきたい」

一枚一枚、紙を重ねてゆく張子のように、三浦さんは新しい挑戦を重ねながら伝統を未来につないでいます。

最終更新日:2024年11月26日 18:05
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