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【特集】靴も人生も輝かせる 靴磨き職人の“世界一”の技 「特別な日も、日常も」 福岡

2024年7月13日 7:47
【特集】靴も人生も輝かせる 靴磨き職人の“世界一”の技 「特別な日も、日常も」 福岡
「世界一」に輝いた靴磨き職人

ことし5月、福岡市の靴磨き職人が、世界大会でチャンピオンに輝きました。靴だけでなく、履く人の人生をも輝かせる「世界一の技」を見せてもらいました。

日常使いする靴に、特別な一足。どんな靴でもピカピカに磨き上げる職人が福岡市にいます。

福岡市中央区にある靴磨き専門店「ボストン・アンド・リオールズ」。職人の西上悦弘(にしがみ・よしひろ)さん(32)はことし5月、イギリス・ロンドンで開かれた靴磨きの世界大会で優勝しました。

大会は制限時間20分で、新品の靴をいかに美しく磨けるかを競います。こちらが西上さんが磨いた靴。周囲の景色が映り込むほどピカピカに仕上がっていました。そして。

■司会
「靴磨きのワールドチャンピオンは…ニシガミ・ヨシヒロ!」

2度目の挑戦で頂点をつかんだ西上さん。優勝が決まった瞬間、思わず涙しました。

■ボストン&リオールズ・西上悦弘さん(32)
「今までのお客様がかなり喜んでくれるので、ちょっとでも恩返しができたのかなと思うので、優勝できてよかったと思っています。」

世界一の技を見せてもらうべく、記者の靴を磨いてもらいました。

■西上さん
「けっこうシミとか、黒い汚れがありますね。」

■松原健介記者
「変わるものですか。」

■西上さん
「顔が映り込むぐらいには光らせられると思います。」

購入から4年以上、日頃の取材で履いていて汚れやシミが目立ちます。

■西上さん
「手の熱でクリームを溶かして、より革の中に入れていく。靴の曲線によって、どう光らせたら一番美しく見えるかなと考えて磨いています。つま先は濃い目のワックスを使って磨いたり、靴によって使うクリームは変えています。」

磨き始めて、およそ20分。

■西上さん
「完成です。」

■松原記者
「すごいですね。最初とは比べものにならないぐらい。」

黒い汚れやシミは目立たなくなり、表面はキラキラと光り、まるで鏡のような輝きを放っています。これが「鏡面磨き」という技法です。

■西上さん
「厚くワックスで膜を作ることで、より光って見えています。つま先だけ厚く塗って「はき口」にかけてワックスの厚みを少しずつ薄くしていくことで、こういうグラデーションがかかった光沢になります。」

大学生の頃に靴磨きを始める

靴磨きを始めて11年という西上さん。きっかけは何だったのでしょうか。

■西上さん
「僕の母が靴が好きで、その影響で僕も靴が好きになった。大学時代のアルバイトも、もちろん靴屋で。靴を買う時はワクワクして買っていたのですが、お客さまが靴を買うときにそこまでワクワクしてないというのに気づいて、どうしたらもっと靴に興味を持ってもらえるかなと思って始めたのが、靴磨きだった。」

大学在学中に独学で靴磨きを始め、2014年に会社を設立しました。口コミやSNSで徐々に評判が広がり、現在は、月に400足程度をピカピカにしています。料金は当日渡しでスタンダードが2200円、プレミアムシャイン(鏡面磨き)が4400円です。

■西上さん
「初めてですか?」

■訪れた人
「はい、初めてです。インスタを見て。」

SNSをきっかけに店を訪れたという男性。自分の結婚式で履く靴を磨いてほしいと依頼に来ました。

■訪れた人
「嫁さんと前撮りで撮った写真も、これを履いたりとか思い入れがあるので。輝くような靴にしていただければうれしいです。」

■西上さん
「特別な日に磨いてというのも、その人の晴れ舞台に少しでも役に立てるというのが、僕はうれしいです。」

「特別な日」以外でも、西上さんは髪を切る感覚で靴磨きを利用してほしいといいます。

■西上さん
「靴って目線から一番遠いところにあるので、最後にという人が多いのですが、靴がきれいなことでお客様の魅力もアップすると思うので、ぜひ磨かせてほしいと思っています。」

靴だけではなく、履く人の人生をも輝かす。西上さんはそんな思いで、これからも磨きの技術を極めていきたいと話しています。

※FBS福岡放送めんたいワイド2024年7月9日午後5時すぎ放送

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