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【佐久市 中3男子死亡事故】「ひき逃げ」か、否か 7日最高裁判決 高校入学目前で絶たれた命 事故からまもなく10年両親の思い…

2025年2月6日 20:23
【佐久市 中3男子死亡事故】「ひき逃げ」か、否か 7日最高裁判決 高校入学目前で絶たれた命 事故からまもなく10年両親の思い…

佐久市で当時中学3年生の男子生徒が飲酒運転の車にはねられ、亡くなってから来月で10年が経ちます。

あの事故は、「ひき逃げ」だったのか、否か。

7日、最高裁の判決が言い渡されます。

10年前、最愛の息子の名前は、両親より先に、墓石に刻まれました。

和田真理さん
「2月7日に最高裁で判決が言い渡されることになったよ。救護義務違反、報告義務違反が認められますように、加害者に懲役刑が与えられますように見守ってくださいということをお願いしました」

和田樹生さん当時15歳。第一志望だった高校への入学を控えた2015年3月23日。
JR佐久平駅近くの横断歩道で、車にはねられ、亡くなりました。
車を運転していた池田忠正被告が、事故の後に取った行動が、ひき逃げにあたるのではないか、いま、問われています。

事故が起きたのは、樹生さんが塾からの帰宅途中だった午後10時7分。
110番通報は事故の7分後、さらにその3分後に119番通報がありました。

被告は携帯電話を持っていましたが、いずれも、被告以外からの通報で、救急隊の到着は、事故から23分後でした。

和田善光さん
「実際に息子が倒れていた現場に被告人が到達したというのは(午後)10時17分ごろ。実際の事件が起きてから10分後ぐらいのことになります」

道路交通法では、事故があったときには、「ただちに」負傷者を救護することが定められています。しかし、被告は、歩道まで跳ね飛ばされていた樹生さんを見つけるより前に、コンビニに立ち寄っていました。

飲酒運転がばれないよう口臭防止用品を買うためです。

和田善光さん
「コンビニを退店してから現場に現れるまで3分以上ぐらいの時間が経っております。その時刻について何をしていたのか?被告人側は代理人を通して「その答えについては差し控えさせていただく」ということで、何の回答もありませんでした。そのような態度に被告人が事件を真摯に見つめ直して反省しているというようなことは、われわれはもう微塵にも感じられません。」

被告の行動について、3年前の長野地裁では、「ただちに」救護を行わなかった=すなわち、「ひき逃げ」にあたると認め懲役6か月の実刑判決。

これを不服とした被告は控訴。おととしの東京高裁は、被告が、樹生さんを発見した後に、人工呼吸をしたことなどから、「ただちに」救護を行わなかったと評価することはできないとして、逆転無罪の判決を言い渡しました。

樹生さんの母 和田真理さん
「樹生にかける言葉は見つからないです。このまま刑が確定するのであれば、こんな国に産んでごめんねとしか言えないです。」

去年12月、検察の上告を受けた最高裁は、双方の主張を聴く「弁論」を開催。

ひき逃げの解釈を巡り、全国的にも注目が集まる中、過去に北海道や岡山で起きた交通事故の遺族も傍聴に。

北海道の事故遺族 白倉裕美子さん
「自分たちも今回の和田樹生君と同じ中学校3年生の娘を交通事故で亡くしているんですけど。救急にも警察にも通報されずに娘はもうずっと道路に放置された状態で何分もいたんですね。それを加害者の罪としてちゃんと罰してほしいというのか裁いてほしいという思いっていうものは今この22年経っても、結局は汲み取ってもらってないなっていう思いは強くあって。長くいろんな事件をこう見てきているんですけど、司法が大きく変わったなっていう感覚は私たちの中にはやっぱりなく。。。」

岡山県の事故遺族 吉岡由里恵さん
「私の母も同じようなひき逃げ。私の母は一審では判例を変えて実刑にしてくださって。すごい、その裁判官に勇気というか感謝したし、その実刑が出たっていうのを広めたかった。だけど、高裁に向こう(被告)が控訴してきたから。で、結局、執行猶予になってしまって。じゃあ、新しい判例をどうして作っていかないんだろう?って。なんでこう判例を変えていってくれないのかな?って。私たちはそこに頼む、お願いするしかないのに、なんかしっかりしてくれてない、頼りたいのに頼れない世の中がなんかすごいもどかしくて」

7日下される、最高裁の判決。

「無罪」とした二審判決を破棄して最高裁が自ら判決を出すか、高裁への差し戻し、すなわち裁判のやり直しか、または、「無罪」を支持したままの上告棄却、この3パターンがあります。

検察側は、救護以外の行動に「一定の時間を費やした時点で救護義務に反している」として、無罪の破棄を主張。

一方、弁護側は、「現場を離れた時間やその後の行動から考えると救護義務違反は成立しない」として、上告棄却、「無罪」を主張しています。


7日の判決前、最後の墓参りとなった1月。

和田善光さん
「車での交通事故を起こした。その時にですね。救護措置を遅延、中断した結果、失われるような命があっては決してならないというふうに思っています。そういうことはもう、この事件で最後にしてほしいと。…。絶対に救護義務違反が認められるだろうと、それを本当に見守っていてくれと、その思いです」

最終更新日:2025年2月6日 20:30
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