県消防防災ヘリコプター墜落事故から8年 消防隊員など9人死亡 知事「隊員1人1人の安全確保を」犠牲者の父「息子を思い出さない日は1日もない」
松本市の山中に県の消防防災ヘリコプターが墜落した事故から5日で8年となり、松本市では追悼式が営まれました。事故の教訓を風化させることなく、隊員たちは活動に取り組んでいます。
献花台にあるのは犠牲となった9人の遺影。松本市にある慰霊碑で営まれた追悼式には遺族や消防関係者、阿部知事などおよそ50人が参列しました。
阿部知事
「私たち消防防災航空隊の任用に携わる者全てが、航空隊の任務達成の大前提は隊員1人1人の安全確保であることを深く肝に銘じて活動を行ってまいります」
8年前の5日、訓練のため、松本空港を離陸した県の消防防災ヘリコプター「アルプス」が松本市と岡谷市にまたがる鉢伏山に墜落しました。乗っていた機長と整備士、そして、消防隊員7人の合わせて9人全員が亡くなりました。
亡くなった高嶋典俊隊員の父 高嶋俊郎さん
「思い出さない日は1日もない。息子のことを絶えず日々。8年も経っているので風化させたくないなと。ちょっとした油断が事故につながるので、3月5日の悲惨な事故を思い出してもらい、業務に取り組んでもらいたい」
去年1年間の出動件数は79件と事故後、最も多くなり、救助活動などに重要な役割を果たしている県の消防防災ヘリコプター。
おととしから操縦士が4人となったほか、去年10月からは通年運航が可能となりより安定的な体制が整いました。
隊員たちにはあの日の教訓が今も受け継がれています。
ヘリに救助者を引き上げる訓練隊員
「ホイスト、巻き上げ!」
この日、「アルプス」が定期点検のため、格納庫での訓練を行っていた消防防災航空隊。来年度から配属される新たな隊員も加わり、救助活動の手順などを確認していました。
安全運航のために…。大切にしているのは、先輩、後輩関係なく指摘ができるような関係づくりです。
近藤智宏隊長
「人間は必ずミスをする、そういったものだという認識をしております。新隊員でも指摘ができる組織づくりをしていくことが必要であると思っております」
危険を感じたとき、適切に発言できるような隊員の育成。これまで築いてきた安全への取り組みを風化させないと近藤隊長は力を込めます。
近藤智宏隊長
「亡くなった隊員たちの思いを引き継ぎつつ、我々の隊としての言葉としてある、凡事徹底、無事帰る、私もそうですし、新しく来る隊員にも引き継いで、二度と同じ事故を繰り返さないという思いを持って安全運航を継続していく」