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【フカボリ】子どもの命を守る「チャイルドシート」体格に合わせて

2024年10月4日 18:38
【フカボリ】子どもの命を守る「チャイルドシート」体格に合わせて

「フカボリ」です。県内でも紅葉狩りなど秋の行楽シーズンが近づき車に乗って家族で出かける機会も増えるのではないでしょうか。そこで、今回は子どもの命を守る「チャイルドシート」について掘り下げます。

先月は「チャイルドシート」使用の重要性を考えさせられる事故がありましたね。

そうですね。福岡県で発生した事故では幼い命が失われてしまいました。
ことし8月、福岡県で路線バスと軽乗用車が衝突し母親が運転する軽乗用車に乗っていた5歳と7歳の姉妹が死亡しました。姉妹は「チャイルドシート」を使用しておらず、「シートベルト」を使用していました。警察は死因について「シートベルトによる腹部の締め付け」が要因と考えられるとしています。

とても痛ましい事故ですが、国の法律で6歳未満は「チャイルドシート」の使用義務があり、「年齢」を基準としています。ただ、今回の福岡県の事故では「チャイルドシート」の使用義務がなく、シートベルトを着けていた7歳の子どもが亡くなりました。

去年から「チャイルドシート」の使用推奨基準の見直しを検討していたJAF=日本自動車連盟は9月、基準を140センチ未満から150センチ未満に引き上げました。

ちなみに、最新の統計調査では岩手県民の平均身長が150センチを超えるのは11歳から12歳にかけてです。JAFは法律で義務付けられている6歳未満という年齢基準ではなく身長や体格に合わせた使用を呼びかけています。

命を守るために、なぜ体格に合わせた「チャイルドシート」の使用が重要なのか取材しました。

取材したのは、チャイルドシートの使用推奨基準を引き上げたJAFの岩手支部です。

JAF岩手支部  日戸一樹さん
「身長の引き上げについては140センチの子どもがどうしても首にシート(ベルト)がかかってしまったり、腰ベルトがお腹にかかってしまうケースがあり見直しを検討して先日発表した」

こちらは、身長114センチの6歳の例です。左の通常のシートベルトだと首と腹部にベルトがかかるのが分かります。一方、右の「チャイルドシート」を使用すると鎖骨と腰骨の正しい位置にシートがかかることがわかります。さらに、身長140センチ弱の10歳の例も同様に座面を高くする「チャイルドシート」が必要であることがわかります。

しかし、警察庁とJAFが行った「チャイルドシート」の使用状況では、1歳未満から4歳までに比べ、法律で使用が義務づけられる6歳未満が近づく5歳になると急激に使用率が低くなっています。

JAFの検証では、体格に合った「チャイルドシート」を使用した場合、衝撃は受けますが、体がシートに拘束され、頭部の接触はありませんでした。警察庁のデータでは不使用の場合の致死率は正しく使用した場合と比べて4.2倍と算出しています。

まず、「チャイルドシート」を正しく取り付けるポイントを聞きました。

JAF日戸さん
「チャイルドシートをつける際に一番多い取り付けのミスがチャイルドシートがしっかり固定されていない腰ベルトの締め付け不足が一番多い」

座席にはクッション性があり背中側にスペースができやすく不安定なため、危険です。

日戸さん
「取り付ける場合はチャイルドシートに体重をかけて乗っていただいてその状態でシートベルトを引っ張っていく。しっかりチャイルドシートが密着するような状態で締めます」

しっかり体重をかければ密着させることができます。また、学童用の「ジュニアシート」など、どの年代の「チャイルドシート」でもベルトをかける位置に注意しなければなりません。

日戸さん
「ジュニアシートもシートベルトを着用したときにベルトが通る位置が決まっています。ベルトが通る位置が正しく通っていないと腰ベルトがお腹の柔らかいところに来てしまいますし、肩ベルトが首にかかってしまう可能性がありますのでしっかりジュニアシートであってもシートベルトが通る位置を正しく確認していただいて正しく着用していただくのが大切です。

体格に合わせた使用の重要性がわかりましたが、福岡の事故の後、使用する方の意識に変化はあったのでしょうか。

全国の店舗で「チャイルドシート」を販売する西松屋チェーンによると、福岡の事故のあとの8月下旬から先月末までの販売数は、150センチまで対応のもので前の年と比べて全国でおよそ1.8倍、岩手県ではおよそ1.6倍に増えていて意識が高まっているのかもしれません。

取材したJAFの日戸さんは、「チャイルドシートの取り付けを今一度確認していただいて、使用する際にお子さんの体格に本当にあっているか確認してほしい」と話しています。

    テレビ岩手のニュース