技能五輪の「家具部門」で史上初の4連覇 家具職人になるため沖縄から天童に 同期と切磋琢磨
さまざまな職種の若手職人が自分たちの技術力を競う「技能五輪」の全国大会が11月行われ、天童市の家具メーカーに勤務する男性が大会史上初となる4連覇を達成しました。家具職人を目指して沖縄から天童にやって来た男性の技術と仕事への思いを取材しました。
天童市の家具メーカー「天童木工」に勤務する石橋葵さん(23)。現在入社5年目です。
石橋さんは25日まで愛知県で開かれた「技能五輪」の全国大会に家具部門の県代表として出場。家具部門には全国から25人が出場した中、見事、最高賞の金賞に輝きました。石橋さんが金賞に輝くのは4年連続。大会史上初の快挙を成し遂げました。
天童木工・石橋葵さん「今まで誰も達成したことがない記録が去年の3連覇だったが、それを超える新しい記録を立てられたのがすごくうれしい」
大会では課題として事前に提示された設計図を基に出場者たちが作品を制作。図面通りに正確に作られているかなどを採点方式で審査します。制限時間は2日間であわせて11時間。短時間でより精巧な作品を作る技術が求められます。
天童木工・石橋葵さん「これが実際課題として公表されたキャビネットの試作品。引き出しがあって扉と中に棚板が入っている」(Q.どういったところが採点基準になる?)「例えば引き出しの部分は機械加工が禁止なのでどれだけ手作業できれいに作れるかそれも差が出てくる。接着の部分に隙間が空いていると減点されてしまうのでぴったり収まるように作っている」
沖縄県那覇市出身の石橋さん。中学2年生の時に家具職人を目指すようになりました。
天童木工・石橋葵さん「自宅の食器棚の扉が壊れてそれを見よう見まねで直したことがあって今思えば簡単なものだしきれいなものじゃないけどすごく楽しくて家族が喜んでくれたのが強い印象として残っていてそれから家具職人を目指してずっとやってきた」
地元の工業高校へ進学すると在学中に技能五輪に2度出場。大会で見た天童木工の技術力に魅了され、遠く離れた山形での就職を決意しました。
天童木工・石橋葵さん「自分が天童木工がすごくいいなと思ったのは作っている家具を見てもどうやって作っているか分からないものばかりだった。技能五輪以外でもそういう勉強がしたい技能五輪で仕事しながらでも結果を出したいと思って天童木工を選んだ」
現在は企業の会議室や自治体の議場に置かれるテーブルなど特注の家具を作る仕事を担当しています。大会前には就業時間後に毎日夜遅くまで会社に残り自主練習を重ねました。
天童木工・石橋葵さん「すごく家具を作っているのが好きなので時間が経っても時間を忘れるくらい。普段の仕事から忙しくても楽しみながら仕事できるので嫌だなと思ったことはない」
今回の技能五輪には石橋さんのほかに天童木工から2人が出場。このうち大滝陽平さんが銅賞、庄司将史さんが敢闘賞に輝きました。出場者全員が入賞するのは天童木工として初の快挙で、3人とも入社5年目の同期です。
天童木工・石橋葵さん「結果を見た時はすごく感動して今までで一番うれしかった」
天童木工・大滝陽平さん「同期ですけど憧れがある」
天童木工・庄司将史さん「これからも背中を追いかけていきたい」石橋葵さん「今後は背中を追いかけるだけでなく前に進むように頑張ってほしい」
年齢制限のため石橋さんたちが技能五輪に出場できるのはことしで最後。今後はこれまで学んだノウハウを生かした高品質のものづくりを目指していきます。
天童木工・石橋葵さん「ちょっと厳しい要望が来ても対応できる職人になって、若い職人が減ってきているのでそういう人を増やすためにも技術などをいろいろ公表して少しでも家具作りに興味を持ってもらいたい」
一流の家具職人を目指し、石橋さんは天童から新たな家具を作り続けていきます。