クマなどの捕獲 市街地での猟銃使用条件緩和へ 山形県猟友会「ハンターの不利益にならないように」
山形県内では2月、市街地へのクマの出没が相次ぎました。現在、住宅密集地では捕獲の際に猟銃を使うことは認められていません。こうした中、政府はクマなどの捕獲の際、市街地での猟銃の使用条件を緩和させる改正案を決定しました。県猟友会に受け止めを聞きました。
2月、県内で相次いだクマの出没。1日に新庄市中心部に出没したクマは翌日(2日)、麻酔銃が使用され捕獲されました。
一方、3日には酒田市安田地区の車庫に1頭のクマが迷い込みました。1日半以上居座った後、夜になって車庫を抜け出し、その後、発見には至りませんでした。
いずれも、クマが出没したのは住宅密集地で、現在の鳥獣保護法では猟銃を使うことが禁じられているエリアでした。
県内では去年(2024年)、市街地でのクマの目撃は90件確認されています。
環境省によりますと、こうしたケースは全国的にも相次いでいて、クマによる人的被害は昨年度、全国で統計開始以降最多となる198件、219人を記録しました。周辺に住宅が集まる市街地にクマが出没した場合、基本的に猟友会などのハンターは猟銃を使うことができません。そのため駆除のタイミングを逃したり襲われたりする危険性が指摘されていました。特に、凶暴なクマなどに対応する場合、猟銃以外の手段では捕獲や駆除が難しいとされています。
21日に閣議決定された鳥獣保護法の改正案では人の生活圏に現れたクマやイノシシについて、住民の安全が確保できるなど条件を満たしていれば、市町村の判断でハンターが猟銃を発砲することができるとしました。
具体的には、クマが河川敷や広場に出没したり、建物に立てこもったりした場合、市町村の職員が住民を避難させるなどして周囲の安全を確認した後、委託を受けたハンターが発砲できるようになります。必要に応じてハンターが私有地への立ち入りを可能にする規定や銃弾が建物に当たるなどした場合は自治体が補償する規定も設けられるということです。
県猟友会の悪七美男副会長は今回の規制緩和について、「おおむね賛成」としています。
県猟友会・悪七美男副会長「各市町村に申請して、それから警察が発砲許可を出したから、時間はかかっていた。各市町村で許可が出るのはたしかに早くていいことなんですけど。発砲した後が問題になるのかなと思います。発砲した後の対応を明確にしてもらわないと、私たちが一番困ると思う」
悪七副会長は、法改正によって捕獲にかかる時間の短縮につながることを期待していますが、一方で、猟銃を使ったハンターが不利益を被ることがないよう配慮してほしいと望んでいます。
今回の法改正について県みどり自然課は「国の定めるマニュアルに基づいて自治体側の対応も変えていく」と話しています。改正法案は今の国会に提出され、環境省は市街地へのクマの出没が増える秋までに市町村の体制が整うよう準備を進めるとしています。