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【解説】SNS型投資詐欺「普通の仕事だと思っていた」被害者にも加害者にもなる驚きの手口とは?

2024年8月14日 18:59
【解説】SNS型投資詐欺「普通の仕事だと思っていた」被害者にも加害者にもなる驚きの手口とは?

 大阪市内に拠点を置いていた2つのSNS型投資詐欺グループが一斉摘発された事件で、警察は14日、主犯格の男ら40人を詐欺などの疑いで再逮捕したと発表しました。
 
 この日、詐欺などの疑いで再逮捕されたのは、SNS型投資詐欺グループの主犯格山田吉彦容疑者ら40人。

 山田容疑者らのグループをめぐっては――。
 泉達也記者
 「一斉摘発が入った詐欺グループの拠点から男が出てきました」

 警察が2つのグループの拠点を一斉摘発。これまでの逮捕者は92人に上っています。被害額は合わせて約9億5000万円に上るとみられ、拠点からは約2400台のスマートフォンを押収しました。

 逮捕後に釈放された20代男性を取材すると……。
 「アカウントは90個持っていて、1日450人ほどに送っていた」「普通の仕事だと思っていた」

 さらに、釈放された、別の男性の父親は……。
 「まさか自分の子が関わっているとは思わなかった」

 私たちの身近に潜む詐欺グループ。知らない間に取り込まれてしまうその驚きの手口とは?

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(泉達也記者)
 今回ですね、打ち子と呼ばれるメンバーが、SNSでメッセージを送って、その方に投資を持ちかけます。そして、その投資に関する指導料名目であったり、投資に関する商材購入費としてお金を騙し取っていたという事件なんです。

(中谷しのぶキャスター)
 そのノウハウとかそういうことは共有されていたんですか?

(泉達也記者)
 今回取材した打ち子の方は、しっかりしたマニュアルのようなものはなかったというふうに話はされていたんですけれども、どういったメッセージを送るかといった、テンプレートのようなものであったり、月曜日は、皆さんやっぱり仕事で疲れている方多いので、この時間にメッセージを送れば返信してもらいやすいみたいなアドバイスは、リーダーからあったというふうに話されていました。

(中谷しのぶキャスター)
 では、打ち子はなぜ加担したのでしょうか?

(泉達也記者)
 今回取材して分かったことなんですけれども、打ち子の方は騙しているとは思っていなかったんです。どういったことかといいますと、この方は友人から営業の仕事があるというふうに持ちかけられてこのグループに参加しました。そしてこのグループで仕事のする際には、合法だとリーダーから説明を受けていました。平日の正午から午後9時までの定時のようなものもあり、働いている人たちも怖そうな人はいなくて、本当に普通の人たちが働いていたということで、自分としては会社に勤めていると思っていたというふうに話していました。

(中谷しのぶキャスター)
 そう思った要因は他にもあるんですか?

(泉達也記者)
 取材の中で話していたのが、採用の際には面接もありますし、メンバー間で親睦を深める飲み会もあったと。そして給料は歩合性なんですけれども、この方は月に15万円ほどもらっていたということなんです。また、詐欺商品の営業実績によっては、月100万円から200万円を稼ぐメンバーもいたということです。部屋のホワイトボードには各メンバーの売り上げが記載されていて、メンバー間で切磋琢磨といいますか、競い合うような雰囲気の中で、普通の会社と思って、仕事と思ってやっていたというふうに話していました。

 そしてこの方とは別の方で、逮捕されて釈放された方の同居する父親に話を聞いたんですけれど、「何の話ですか。息子が詐欺グループに加担していたことを知らなかった。本当に普通の仕事をしているだけだと思っていた」というふうにおっしゃってまして、本当に我々の身近にこうした詐欺グループというものが潜んでいるんだなというふうに感じました。

(中谷しのぶキャスター)
 私たちは今後どういうところに気をつければいいのでしょうか?

(泉達也記者)
 気をつけないといけないことは、本当に被害者にも加害者にも、投資詐欺というのはなり得る可能性があるということなんです。絶対に儲かるという甘い言葉、あなただけに教えます、というような甘い言葉につられて被害者にならない。また、自分自身が知らないうちに加害者になってしまっている、自分の子供であったり、周囲の人たちが加害者になるかもしれないということを、しっかり頭において、少しでも危ない何かおかしいなと思ったら、関わらないということが重要だと思います。

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