兵庫県の斎藤知事のパワハラなど7つの疑惑を調査する百条委員会が、19日午後1時半から行われました。死亡した告発者の遺族から提出された陳述書や音声データを採用・公開することを決定しました。その後、「ワインをまだ飲んでいないので、またぜひ」などと話す音声データが委員会の場で流されました。
■「まだ飲んでいない」「折をみてよろしくお願いします」音声デ ータが流れる
兵庫県の元西播磨県民局長だった男性は、今年3月、知事のパワハラ疑惑などを告発し、19日に予定されていた百条委員会の証人喚問を前に、7日に死亡しました。遺書が残されていて、自殺とみられます。
関係者によると、男性は「死をもって抗議する」という趣旨のメッセージとともに、百条委員会で発言する内容をまとめた陳述書と知事の”おねだり”疑惑に関する音声データを残していました。
知事とみられる音声の内容
「ワインをちょっとまだ私は飲んでいないので、ぜひまた。この間はイチゴ、塩はあれですけど、また折をみてよろしくお願いします」
この音声データは、2022年11月、上郡町の西播磨県民局で、このエリアの町長や議会の議長、県議会議員らが兵庫県の斎藤元彦知事と意見交換をする会合の際に録音されたもので、男性職員の遺族が陳述書などとともに百条委員会に提出していました。
■陳述書も公開「出張先でマスコミが少ないと調整不足と罵倒され た」
百条委員会では冒頭、死亡した男性職員への弔辞や黙とうが行われ、遺族から提出された陳述書や音声データの採用が全会一致で決まり、一般への公開も決まりました。
公開された陳述書には、11ページにわたって告発した7項目についての想定質問と回答が記されていました。その中には、
「職員に対するハラスメントは、知事個人にとっての不都合、不満が原因となった叱責、罵倒である。この理不尽さに職員は耐えられないと思います」
「出張先でマスコミ取材が少ない時は県民局や広報広聴課職員が準備不足、調整不足と罵倒された」
「ハラスメントについては枚挙にいとまがありません」
などと、パワハラに関する告発に加え、「道の駅で地元の農産物を少しお土産として渡した際に、『ありがとうございます。いつも知事が一人で持って帰られるので、すみません』と言われた」など、“おねだり”疑惑についての記述もありました。
■斎藤知事 ワインの受領を認める「仕事として大事」
19日午後、斎藤知事は記者団の取材に応じ、音声データについて「私のやりとりだと思う。県議会議員から、『西播磨には特産品がたくさんあり、ワインの取り組みを後押ししてほしい』とお願いがあり、それを受けて『私もまだ飲んでいないので』と、現場を見たいという趣旨も込めて発言した」と話しました。
また、その1週間後に上郡町の梅田修作町長が県庁を訪れた際、2本のワインを受け取り、自宅で飲んだことは事実だと明かした上で、「知事になってから1年で、いろんな方から『知事、食べてみてください』『ここに来てください』と言われ、産業振興につなげるために、飲ませていただいた。その魅力を伝えたり、施策につなげたりすれば、仕事としては大事なこと」との見解を示しました。
