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【解説】「専用米」の生産もコメ不足が深刻 そのウラに天候、外食産業の需要増、南海トラフ地震の影響

2024年8月20日 18:23
【解説】「専用米」の生産もコメ不足が深刻 そのウラに天候、外食産業の需要増、南海トラフ地震の影響

 私たちの食卓に欠かせないコメが不足している状況ですが、今、様々な種類のお米が流通しています。「専用米」と呼ばれるコメが生産されていて、例えば「弁当・おにぎり」用、「回転寿司」用、「カレー」用の品種、さらに「日本酒」専用のお米など、多岐にわたっています。今の米不足の状況は何が原因なのか、足立夏保キャスターの解説です。

■コメ不足の主な3つの要因とは…

(足立夏保キャスター) 
 コメ不足となっている要因は、主に3つが考えられます。まずは、天候です。去年の記録的猛暑・雨不足による不作があります。次に、コメの需要が高まっていて、消費量がアップしていることも要因です。おにぎりブームなどで外食産業の需要が増えているほか、インバウンドが影響しているとの話もあります。インバウンド客のコメの需要は、前年同時期と比べ約3.1万トン増えたという推定もあるほどです。そして今月8日、宮崎で起きた地震で、南海トラフ地震臨時情報が発表され防災意識が高まったことがあげられます。水やコメの買い占めが起き、コメの販売店によると「注意呼びかけの期間は、いつもの10倍以上の問い合わせがあった」ということです。

 では、今のコメ不足がいつ落ち着くのかということですが、大阪市にあるスーパー・フレッシュマーケットアオイの内田社長に話を聞きますと「9月から新米が徐々に出回り始め、10月には供給量も価格も安定するのでは」ということです。

 そして、まもなく新学期も始まります。お子さんをお持ちの方は、給食にどんな影響が出るか心配もあるかと思います。大阪府の公立小中学校の半分に給食のコメを提供する「大阪府学校給食会」によりますと、「精米業者と年間契約をしているので、必要なコメの量は確保できている」ということで、今のところ心配ないということです。

■そもそもの原因?50年以上続いた「減反政策」と影響

 猛暑や地震の影響などが今のコメ不足の要因になったということですが、そもそも、ここに原因があったという声もあります。それが日本のコメ政策です。コメの過剰生産を抑える目的で「減反政策」が50年近くにわたり行われていました。2018年に廃止されましたが、その後もコメの生産量は減り続けています。そのワケは、国はコメが余ってしまうことを防ぐため、引き続き生産量の目安を示して、過剰生産を抑えていることにあります。ただ、農家からは、天候などによる不作を見通しているのかという疑問の声がでています。さらにコメが余ることを防ぐ目的で転作にも補助金が出され、コメ農家が減っている状況もあります。日本農業法人協会の関係者からは、「国内だけでなく海外からも米の需要はあるので、国は生産量を増やす政策を推進すべき」だという声が聞かれています。

■カギとなる?「民の力」

 こういった状況の中で進んでいる取り組みが、「民の力」を使うというものです。農機具メーカー「クボタ」は米作りに参入し、農業の人手不足、高齢化などの課題を解決するために、AIやロボット技術などテクノロジーの力を使って省力化などで解決しようとしています。

 Q:高岡さん、これから日本のコメ産業はどうなっていくのか?
 (高岡達之特別解説委員)救い主が一つありまして、それが総合商社です。高齢化でコメを作れない農家の土地を集め会社にして、流通するコメを作ろうという取り組みです。もう一つの要因が、カレー専用、日本酒専用といったように、特定の料理や商品に使うというように、コメが分業になってきているため、足りないからスーパーに出すというわけにはいかなくなっています。主食のコメがなくなることが危機だと国が思うのであれば、コメを作ることが儲けになる、現金になる、そういう動機づけをやっていかないといけません。

 食卓に大切なお米を守っていくために、国や企業・私たちがどう取り組んでいくか、考えていく必要があります。

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